JR西日本と須磨海浜水族園が協力して開発したカメによる列車輸送障害を防ぐ技術が「さわやかな気持ち」になると話題だ。
毎年夏になるとポイント(分岐器)にカメが挟まり、列車に遅れが生じることが問題になっており、相談を受けた神戸市立須磨海浜水族園で昨年まで園長を務めていた岡山理科大学生物地球学部の亀崎直樹教授がカメの生態に則した対策案をJR西日本に提案した。
陸上を歩くカメが踏切を横断する際、2本のレールの間に落ちることがあるのだとか。カメは障害物に沿って移動する習性があり、そのままレールをたどりポイントに至ると、可動部の隙間に入り込んでしまう。挟まったままポイントが切り替りつぶれてしまうと、信号が変わらなくなり、列車が止まってしまうことになる。

ポイントに挟まったカメ。このままではカメがヤバイ!(実験中に撮影/JR西日本提供)
JR西日本によると、京阪神エリアでは2002年度から2014年度まででカメを原因とする事象が13件あった。昨年8月、保守管理係からなんとかできないかとの要望から、水族園とともに昨年11月から兵庫県神戸市の施設で実験することに。U字溝を埋め、ポイントにたどり着く前にカメを落下させ確保する方法ならば一定の効果が見られると、今年4月から和歌山線の五位堂駅2カ所に“カメ救出装置”を設置した。
U字溝は片側を塞ぎ、片側にはバケツを用意。8月までに10匹のカメを助けることができた。「おそらく10回の事象が避けられたと考えられます」とJR西日本。これまでもっとも事象が多発していた同駅では、今年同様の事象は起きていないという。

防止装置におちたカメ。このあと回収されます(実験中に撮影/JR西日本提供)
五位堂駅での結果を受け、11月からは同じくカメを原因とする事象があった和歌山線の掖上駅にも装置を設置した。「今後は水族園と連携のもと、カメが多い地域や近くに踏切が存在する、池や水田などが近くに存在する箇所を抽出し、先手の対策を施すことも検討しています」とのこと。

掖上駅にも設置。現在2駅3カ所に設置中(イメージ/JR西日本提供)
なお、回収したカメのうち外来種のミシシッピアカミミガメに関しては、野に放たれることなく水族園で余生を暮らすことになるという。
協力した水族園の報告には「列車の遅れを防ぐとともに、カメの事故死を減らす技術を誕生させることができたので、JR西日本と当園、両者ともに、なんとなくさわやかな気持ちになりました」とつづられている。
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