江戸川乱歩の著作権が消滅する2016年を目前に控え、青空文庫の用意周到ぶりがすごいんです! おどろおどろしい表紙でお馴染みの「少年探偵団シリーズ」や初期の怪奇・幻想小説や犯罪小説である「変格もの」まで、すでに76作品が作業中リストに入っています。
青空文庫は、著作権が消滅した作品などを公開しているインターネット上の電子図書館。“作業中”とはつまり、江戸川乱歩の著作権消滅にあたって、青空文庫が公開の準備を進めている、ということ。

そもそも著作権には保護期間というものが法律で定められ、歌にしても絵にしても本にしても、著作権を有している人物が亡くなって50年間は、財産的な権利を支配できます。例えば、「吾輩は猫である」や「こころ」などの夏目漱石の作品や「走れメロス」や「人間失格」といった太宰治の作品は、保護期間を過ぎているので、国語の教科書にも自由に載せることができるし、電子書籍で無料ダウンロードできるようにもなっています。またさまざまな出版社から、新たに出版されることもあります。
江戸川乱歩の少年探偵団シリーズでいえば、今では絶版になっている27〜46冊目が、ポプラ社から再販されることが期待できます。そうなった暁には、改めて全巻を読破してみたいものです!
これを見て、懐かしく思ってもう一度手に取りたくなった人や、今までは興味がなかったけれど、手軽にダウンロードできるなら読んでみようか、という人も出てくるかと思います。今読んでみるとまた違った発見ができるかもしれません。


しかし、意気揚々としたのも束の間、そうも浮かれていられない事態であることが分かりました。
最近話題となっているTPPの大筋合意によって、著作権の保護期間が70年に決定されたのです。江戸川乱歩の場合は、2016年中の施行がなされないと見て、ギリギリ著作権の消滅を迎えそうですが、それも予断を許しません。
そこでこの期間延長に大反対なのが青空文庫。もちろん江戸川乱歩に限った話ではないので、このままいけば所蔵数が大幅に減ってしまうことになります。
Web上でも大々的に反対の請願署名を行っていました。

著作者からしてみれば70年の方が良いのかもしれませんが、後生への文化的な発展に遅れが出るという青空文庫の意見も一理あります。それぞれの事情が絡み合った問題ではありますが、今後の動向に注目が集まりそうです。
(伊佐治龍/LOCOMO&COMO)
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