2001年に開館した、スタジオジブリの世界観を体験できる施設「三鷹の森ジブリ美術館」。今年5月から約2カ月かけて初の大規模な全館改修工事を行い、7月15日にリニューアルオープンした。快適度が大幅にアップしただけでなく、宮崎駿監督もこだわっていた外壁、展示室なども塗り直し、15年前当時の色合いが復活。作品のモチーフもところどころに増え、ジブリの世界観がより楽しめるようになった。

2カ月を経て、ジブリ美術館がリニューアル!

外壁や展示室の壁を塗り直すなど、大規模な化粧直しを行った
具体的にどこが変わったのか――同時に始まった新企画展「猫バスにのって ジブリの森へ」(2017年5月まで)と合わせて、見どころを紹介しよう。

「猫バスにのって ジブリの森へ」展のネコバス、本当にもふもふなので後ほど詳細を……!
入場門をくぐって一番目立つ建物の外壁。これまではツタが覆い茂っていたが、「青、赤、黄色を蘇らせたい」という宮崎監督たっての希望で漆喰を塗り直した。出来栄えに本人も「いいんじゃないか」と満足したそう。同様に展示室も、何千点とある展示品を一度外へ出し、壁や梁(はり)、壁紙などを化粧直し。2001年当時の色鮮やかさが戻った。

以前は赤・青・黄色の境界線は縦にまっすぐだったが、塗り直し後はぐにゃぐにゃ。ガウディ作品のような有機的なぬくもりがある

館内の青色もより鮮やかに

ポンプのある中庭。屋根の瓦をすべて取り替えた


常設展「映画の生まれる場所」。壁一面に貼られた絵もすべて一度外に出して、改修

これをきっかけに「千と千尋の神隠し」のイメージスケッチなど、新たな展示品が壁に登場している
また「天空の城ラピュタ」のロボットが置かれている屋上に、パズーたちが炭鉱で乗ったトロッコ列車のようなレールが登場。窓の雨だれにはこっそり、短編作品「パン種とタマゴ姫」のパン種やタマゴ姫があしらわれるなど、ジブリ作品のモチーフが増えた。これまでのステンドグラスに描かれたジブリキャラとともに楽しみたい。

ロボットのいる屋上も改装


ラピュタのトロッコ列車のような、レールも登場

窓の雨だれもリニューアル。「パン種とタマゴ姫」のパン種の形に

1個だけ、金色のタマゴ姫が乗っている雨だれも。2階のある場所から見られるので探してみよう

常設展「映画の生まれる場所」の2つ目の部屋でも

ランプシェードをすべて一新。うち3つには、過去の企画展「クルミわり人形とネズミの王さま展」に登場した、マリー、ネズミの王サマ、クルミわり人形のシルエットが描かれている
「目には見えないのですが」と広報さんが太鼓判を押したのは空調設備。天井をわざわざ開けてまで取り換え、より館内で過ごしやすくなったのだそう。撮影スポットとして人気だった屋上のロボットも、植栽の代わりに石畳を敷くなどして撮影スペースに余裕ができた。外の歩道も水はけを改善するなど、施設全体がより快適に。

外の歩道は15年で水はけが悪くなっていたので、ウッドチップから吸水する材質へと舗装しなおした

映像展示室「土星座」


原画に近い映像を追求して、映写機をフィルム式(左)からデジタル式(右)へ切り替えた
短編作品を上映する映像展示室「土星座」も、「より原画に近い映像を見せるため」と映写機をフィルム式からデジタル式へ一新したなど、あらゆる点で生まれ変わったジブリ美術館。宮崎監督も「ありがとうございました。おかげさまでまた15年がんばれます」と来場者へ感謝のメッセージを寄せた。今後の鑑賞体験も楽しみ!

そして企画展「猫バスにのって ジブリの森へ」もスタート
また企画展「猫バスにのって ジブリの森へ」は、オープン以来制作してきた14の企画展示を一同に集めて紹介。過去の展示の目玉が一挙並んでいるが、特筆すべきは「ねこバスから見た風景展」(2011年)の大人も乗れるネコバスの再展示だ。

入り口をくぐると、ネコバス車内を再現した通路が。もふもふ過ぎる……(よだれ)

しかもなんと、2011年のときよりもふかふか具合がアップしている! 座ったらなかなか立てない……!

そして車外には本展のために顔と前足を新たに装着!
「前回は通路が混みあうためできなかった」と、イスの座り心地をとことんふっかふかに。さらに車外には新たに顔や手もとりつけたのだが、鼻や肉球の弾力がこだわり抜かれている。現在六本木ヒルズで開催中の「ジブリの大博覧会」にもネコバスがあるが、イスのふかふか具合はこちらが上だろう……ぜひご乗車を!


鼻がぷにっぷにしているんです

前足も、手で押し込むとほどよく沈む。弾力◎。史上最高のネコバス、ここにあり


ほかにも「ハウルの動く城」の巨大模型や、「天空の城ラピュタと空想科学の機械達展」(2002年)の鳥型飛行機「アルシオーネ」も

「3びきのくま展」のお父さんぐま、お母さんぐま、子どものくまも再登場! 大きい……!


手回し映写機のコーナーには、宮崎監督が制作中のCGアニメ「毛虫のボロ」の人形が数匹隠れているぞ
三鷹の森ジブリ美術館の入場は、日時指定の予約制。チケットは毎月10日より翌1カ月分を全国のローソンチケットで販売中で、7月分は売り切れ、8月分も残りわずかとなっているとのこと。
(C)Museo d'Arte Ghibli (C)Studio Ghibli
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