カリフォルニアに拠点を構えるスタジオaffinixはゲームボーイカラー専用ソフト『Infinity』の無料配布を開始した。『Infinity』は『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』といったゲームボーイカラー黎明期をほうふつとさせるドット絵と、「過ちと破滅」をテーマとした重厚なファンタジーを融合させたJRPGを思わせる作品だ。2001年の時点でほぼ完成していたものの、それから約15年の間、世には出ず眠り続けていた。
ゲームを手掛けたaffinixは7人で構成されたクリエイター集団。ゲームボーイカラーに特化したタイトルを開発しようという志から『Infinity』のプロジェクトは始まった。開発は順調に進んでいったが、発売間際になりパブリッシャーがいないという大きな問題に直面することとなる。主な原因は、マーケットが過渡期にあったということ。時間をかけ『Infinity』は力作として生まれたものの、当時の世間とパブリッシャーの目はゲームボーイアドバンスにくぎ付けだったという。Crave Entertainment(のちに破産)から声がかかりE3への出展に成功したが、最終的に交渉は打ち切られプロジェクトは白紙に。パブリッシャーが見つからないまま年を越し、affinixの面々はゲームが陽の目を見ることがないと悟る。スタッフは会社を離れ、それぞれの道を歩むことに決めた。ディレクションをおこなっていたJustin Karneges氏はソフトウェア会社に転職。ほかのスタッフは別のゲーム会社に、弁護士学校に、出身地である日本へと帰る人もいたようだ。

そして2016年8月13日、スタッフの一人だったEric Hache氏は『Infinity』のROMファイルを公開。「90%完成しているが、10%はまだプレビュー版」というこのファイルは、エミュレーターから開くことで動作する。筆者も序盤を少しプレイしたが、英雄であった主人公の挫折から始まるオープニングにはなかなか引き込まれ、ついつい熱心に1時間ほどプレイしてしまった。戦闘や移動速度からは古さを感じざるを得ないものの、2008年になっても「今の時代に負けないタイトル」と公言されていただけあるという印象だ。使われている英単語も平易であり、日本人でも楽しめる作品になっているのではないか。
2016年5月にはニンテンドーDSの発売によってお蔵入りとなったゲームボーイアドバンス専用ソフト『Broken Circle』が配信されたが、今回のケースも世代が異なるだけでかなり似たようなケースとなっている。新たなゲームハードの発表があると、ついそちらに目移りしてしまいがちであるが、そういった時期は、発売までこぎつけられず世に出ないタイトルが多く生まれてしまう少し悲しい期間なのかもしれない。
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