
仕事の繁忙期やテスト前など、何かと忙しいときに飛び交う「あ〜っ、俺2時間しか寝てねえからな〜、っべ〜わ」の声。
なぜ人々は、自分が2時間しか寝ていないことを主張したがるのでしょうか。
実は、心理学のある考え方を知るとその答えが見えてきます。
自分の不利を主張すると有利だ
その考え方とは「主張的セルフ・ハンディキャッピング」。簡単にいえば「自分で自分のハードルを上げる発言をする行為」のことです。
ハンディキャップ、つまりここでは「2時間しか寝ていないこと」を背負うとどうなるのか。もちろん失敗しやすくなりますね。これがミソ。
つまり、失敗したら睡眠不足が「仕方なかった」の理由となり、逆に成功すれば「逆境を乗り越えた俺、すごくね?」という栄誉の傍証になります。
失敗しても成功してもプラスになるハンディキャッピング。不利を積極的に自己主張していくことは、良いことづくめなのです。
さらにこれのお仲間に、自分に都合の悪い事態を実際に作り出してハードルを上げる「獲得的セルフ・ハンディキャッピング」があります。「テスト前に部屋の掃除をする」というアレです。「掃除してて勉強時間がなかったから、点が悪くても仕方ない」というハンディキャップを自ら作るのです。
失敗の理由と成功への逆境を作りだす点では、どちらも変わりありません。
とはいえ、利用して良いわけではない
自己の不利を主張し、あるいは作り出す、この「不利なほど実は有利」な心理傾向。しかし、利用はオススメしません。
「基本的帰属エラー」の話をしましょう。これは、「人間は、ある人の行動を見たとき、その理由を環境などの『外』よりも人格などの『中』に求めがち」という偏見のこと。
友人がテストで30点を取ったとしましょう。あなたはどう思うでしょうか? 忙しくて勉強時間が取れなかったと考えますか、それとも「コイツ勉強できないな」と思いますか?
基本的帰属エラーによれば、より強く思われるのは後者。つまり人間は「あいつのテストの点が悪かったのは、家事とかで大変だったんじゃなく、単に頭が良くないからだろ?」と思いがちだ、ということです。

想像してみましょう。あなたがもし追い詰められて、その言い訳として「2時間しか寝てねえわ〜」と言ったとしたら。聞いた側はこう思うのです、「睡眠不足になるような忙しい用事があったわけじゃなくて、能力が低いから寝る時間の調整をミスったんだ」と。
自ら不利を打ち明けた人間は、その不利の原因が、「自らの能力の無さ」や「人間性の欠如」にあるとして周囲から捉えられてしまいます。これほど怖いことはありません。
心理学を理解してより良い生活を
睡眠不足自慢に隠れた心理と、それに付随する恐ろしさ、理解していただけましたでしょうか。
心理学は「自分の考えの偏り」「相手の気持ちの傾向」などを教えてくれる、生活に寄り添った知の体系。日常生活で聞こえてくるあのせりふの裏には、心理学で解き明かすことのできる事実が隠れているかもしれません。
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