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外来種のアリ「ヒアリ」が各地で発見され、人的な被害や生態系への影響が懸念されています。ヒアリの危険性が続々と報じられる中、ネット上では「在来種はヒアリと戦ってくれるので、むやみに殺虫剤をまくべきではない」とのウワサも流れています。
ヒアリはどのくらい危険な生物なのか、一般家庭ではどのような対策を講じるべきなのか、また在来種は本当にヒアリと戦ってくれるのか。環境省に問い合わせたところ、アリの生態に関しては専門家でないためコメントできないとのこと。そこで、アリの生態系に詳しい日本蟻類研究会所属の准教授に取材しました。

准教授はヒアリに刺された時の危険性について「警戒はするべきですが、アナフィラキシーショックさえ起こさなければ、命を落とす危険性は少ない」とコメント。しかし、アリ塚を踏んでしまうとそれをきっかけに襲ってくるケースがあるほか、子どもが誤ってさわってしまい襲われることもあり、その攻撃性の高さから油断は禁物としています。また、刺された時の痛みは強烈で「子どもであれば泣き叫んでしまうほど」だとか。
人的被害に注目しがちですが、それ以外にも従来の日本の生態系を破壊してしまう危険性も。また、家畜への被害や植物の根にかみつくことによる植物への影響も懸念されているそうです。

ネット上で言われる「日本の在来種がヒアリと戦ってくれる」という話については「ヒアリは非常に強いため、勝負にならない。戦ってもほぼ在来種が負けてしまうだろう」とコメント。かつて、アメリカにヒアリが侵入した時にもアメリカの在来種はヒアリに追いやられてしまったそうです。
今後ヒアリが日本に定着する可能性については、「なんとも言えないが、気がつくと増えていたということはあり得る。女王アリが次々見つかるようなことがあれば、その可能性はある」としました。
ヒアリの対策について、殺虫剤をまくことはある程度有効ですが、それも抜本的な問題解決につながらないとのこと。現状、ヒアリの「弱点は無い」(准教授)そうです。

また、東京農工大学 農学研究院 動物生命科学部門の佐藤俊幸准教授にも話を聞きました。やはり在来種で天敵となりうるアリや寄生蠅といった生物は、現状国内には見当たらないそうです。ヒアリは攻撃力も繁殖力も高く、ひとたび定着すれば新たな女王アリが巣別れしていき、あっという間に生息域を拡大していくんだとか。
既に定着している北米では、在来種のアリがいるフィールドといないフィールドに女王アリを単独で置いた場合、在来種のアリがいるフィールドで女王アリを排除したという実験結果もあると佐藤准教授。しかし、これはあくまでも営巣初期の女王アリ単独の場合です。働きアリがいた場合、抑止することはほぼ不可能だそうです。
現在はまだ定着は確認されておらず、水際で防げるかどうかという状況。ヒアリは「港湾施設や都市部など人の手が入って整備されているところのほうが定着には好都合」なんだとか。在来種のアリもおらず、ヒアリの女王アリが単独でも営巣しやすければ定着も容易になるのは明らかです。「過剰反応でなんでもいいから周辺の在来種のアリを殺しておけば安心という問題ではない。在来種にとってもいい迷惑」と佐藤准教授。
22年前に大阪で初めて発見された特定外来生物の毒グモ「セアカゴケグモ」は、現在41都道府県にまで生息域を広げています。ヒアリの場合も、定着を許せば交通網の発展もあって飛び火的に生息域を拡大していく可能性も高いと、この段階での定着阻止こそが重要と注意を呼び掛けています。
※【追記】7月11日12時に東京農工大学佐藤准教授のコメントなどを追記しました。また、当初ヒアリに「かまれる」という表現をしていましたが、「刺される」に修正しております。
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