会計を済ませようとかばんを探ったら、あれ、財布が見当たらない。落とすようなタイミングなんて無かったし、もしかしてお金を盗まれた!?
ほとんどの場合は、財布がかばんの奥にもぐりこんでいた、本当は自宅に忘れているだけなどの勘違い。しかし、もしも本当に財布を盗まれてしまったら、どうなるのでしょうか。

知らぬ間に盗難被害 → 警察には「落とし物」として報告?
カード類が悪用されないように、急いでクレジットカード、キャッシュカード会社などに連絡したのち、警察署や交番に行ったとしましょう。落とし物の場合は遺失届、盗難の場合は被害届を提出することになります。
今回のようなケースで提出するのはもちろん被害届……と言いたいところなのですが、実際には遺失届で対応することが多いのではないでしょうか。というのも、犯人が分かっていない場合は、基本的に遺失届を使用することになっているのです。
警視庁のデータによれば、財布類の遺失届は年間で約37万点出されており、そのうち64%が持ち主に返っています。
この数値を多いと見るべきか、少ないと見るべきかは難しいところ。先の説明の通り、この37万点には「本当に落とし物だった」「遺失届を出したけど、実際には盗難だった」という2つのケースが混在している可能性が高く、それを合わせたのが64%という数値だからです。
善意で誰かが拾ってくれるかもしれない落とし物と、悪意で持っていかれる盗難被害。物品が手元に戻る確率は大きく違うはずなのでは?
刑事裁判ではお金は返ってこない
無事、警察が犯人を逮捕してくれたとしましょう。盗まれた現金などが残っていた場合、いったんは証拠品として警察などに預けられる可能性がありますが、確実に返してもらえます。
では、犯人がお金を使い込んでいたり、お金の行方が分からなくなっていたりした場合は、どうなるのでしょうか。犯人の親族などが資産を持っていれば返してもらえることもありますが、返してもらえない場合は裁判を待つことになります。
事実関係が詳しく捜査された後、犯人は検察に起訴されます。ここで行われるのは、犯人の有罪/無罪や、刑罰の程度を決める「刑事裁判」。ですが、刑事裁判には「犯人は被害者にお金を返せ」と命令する力がありません。

「えっ?」と思う方も多いかもしれませんが、「刑法」という刑罰を定めた法律にのっとって、検察という国家機関が訴える刑事裁判とはそういうものなのです。犯人に罰金が課せられる可能性もありますが、それは被害者ではなく、国に対して支払われます。
仮に有罪判決が下ったとしても、犯人が自主的に返そうとしない限り、お金は戻ってこないのです。
民事裁判なら……?
民事裁判では、個人の訴えで特定の個人に対する損害賠償請求などを行うことができます。盗難の場合、返還に応じようとしない犯人を被害者が訴え、裁判所が事実関係を鑑みて「返還する義務があるかどうか」の判断を下します。
ただし、民事裁判で勝っても、すぐにお金が戻ってくるとは限りません。犯人が盗んだお金を使い込んでおり、そのうえ資産や貯金もない、つまり「支払能力」がないこともありえます。
また、民事裁判を行う場合、弁護士への相談費用などがかかります。取り戻せる金額が小さいと、出費がかさみ、かえって損してしまう可能性があります。
財布を盗まれたくらいだと、取り返すのは厳しいかも
上記のような理由から、盗まれてしまったお金が必ず戻ってくるとは言い難い部分があります。もしそのような被害にあってしまったら、現金については「戻ってきたらラッキー」くらいに考えて、一刻も早くカード類の利用停止対応などに専念したほうが良いでしょう。
「財布をなくしたときにやるべきこと」は以下の記事にまとめてあるので、あわせて参考にしてみてください。
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