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強い競走馬を作るため、優秀な血統同士を交配させて生み出されるサラブレッド。中でも父親となるオス馬は種牡馬(しゅぼば)と呼ばれ、トップクラスともなれば一度の種付け料は数千万円にも上ります。
記事前編では、そんな種牡馬たちのすさまじくも華やかな世界について紹介してきましたが、光あるところにはまた影も落ちるもの。
そもそもオス馬の99%は種牡馬になれず、たとえなれたとしても、屈辱の仕打ちを受けたり悲劇的な結末を迎えたりする馬も少なくありません。記事後編では、決してバラ色とは言えない種牡馬の生涯をのぞいてみましょう。
散々オンナを興奮させても、抱けない……「当て馬」
「当て馬」とは、メス馬を興奮させて、発情しているかチェックする役割の馬。人気のない種牡馬や廃業した種牡馬らが担う役割です。これを怠れば、発情していないメス馬に大事な種牡馬の身体が蹴られ、最悪の場合生殖機能を失ってしまうこともあるので、その存在は重要です。
この当て馬、かわいそうなのは、メス馬を興奮させて本人もその気になっていても、決してそのメス馬とは種付けができないということ。メス馬が興奮したところで、当て馬はお役御免……という悲しさです。

そんな当て馬を立派に務めているのが、1997年にダートG1のフェブラリーSを勝ったシンコウウインディ。現役時代はかみつきグセで知られていた馬でしたが、当て馬となってからは歳のせいか落ち着いており、優しく甘がみをするほど。興奮したメス馬に蹴られても、けなげにメス馬を興奮させるお仕事に徹しているとのこと。
ちなみに当て馬もモチベーション維持のため、たまには種付けさせてあげることもあるのだとか。しかし、相手が妊娠されても困るので、妊娠の可能性が低い高齢馬があてがわれるそうです。
股間を蹴られて生殖能力喪失……
名門として知られる競走馬の生産牧場・社台ファームが悔やんだのが「ソルティンゴ事件」。ソルティンゴは初年度産駒からスズパレードらの活躍馬を送り出し、ダービーに3頭を出走させるほど優秀でした。
しかし担当厩務員さんが放牧地を間違って、1つのパドックに2頭の種牡馬を放してしまい、馬同士がケンカに。結果、ソルティンゴは相手に大切な商売道具である部分を蹴られ、受精能力を失ってしまいました。ミスを犯した厩務員さんは、数日後に割腹自殺した姿を発見されるという、非常に痛ましい結末となってしまいました。
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