「私がアニメーターを辞めた理由」という、元アニメーターのbebeさんが投稿したブログ記事が話題です。「単価が上がらない」「クオリティを上げようとすればするほど作業時間がかかり報酬は減る」といったつらい状況を嘆く内容に多方面から注目が集まりました。

アニメ業界における労働環境の過酷さはもはや公然の事実となっていますが、SNSで誰もが発信できるようになり、現場関係者の声もずいぶんと可視化されるようになりました。とはいえ、辞めてしまった人の声というのはやはりなかなか聞こえてこないものです。
アニメーター歴10年のbebeさんは何を考えながらアニメづくりに取り組み、なぜ辞めてしまったのか。アニメ業界に対する思いについて聞きました。
10年たっても単価は変わらなかった
――アニメーターを辞めてからブログを始めようと思った理由を教えてください。
bebe:Web上では「アニメーターになりたい人のための情報」は多くありますが、「アニメーターで悩んでる人や辞めたい人のための情報」はあまり見ないので、そういう情報を発信していきたいと思ったためです。アニメーターを目指しているけれど業界のことが全く分からないという人や、今アニメーターとして働いているけれど悩みがある人たちの役に立ちたいと思いました。
――初投稿の記事でいきなり大きな反響がありましたね。
bebe:私は有名なアニメーターではなく、しかも匿名で始めたブログなので当分は誰にも見てもらえないことを覚悟していました。反響はうれしかったですね。
――ブログでは「報われなさ」に耐えきれなくなり、辞めてしまったという話が印象的でした。
bebe:報われないと感じている人は多いと思います。自分の周りでも多かったです。似た表現でよく聞いたのは「割に合わない」でした。

アニメ制作で感じた「報われなさ」(bebeブログより)
――10年間のアニメーター時代で、何が一番しんどかったですか。
bebe:しんどかったのは、10年たっても作業単価が変わらなかったことですね。

なかなか上がらない単価。1原は「第1原画」の略で、レイアウトとラフ原画を合わせたものを指す場合が多い。1原を演出や作監が修正したものを原画に仕上げる作業を2原と呼ぶ(bebeブログより)
――単価の交渉はやはり難しいのでしょうか?
bebe:フリーの場合、交渉に積極的であるかどうかは制作さんとの信頼関係、自身の実力、仕事内容などで変わってきます。会社所属の場合も基本的にはフリーと同様ですが、会社にいれば自分以外のアニメーターの仕事内容や単価を知れるので、それを参考に交渉がしやすいかもしれません。
ただアニメーターは性格的に交渉が苦手なタイプが多いと思います。技術的に自信がない人ほど、「自分なんかが値段交渉なんて……」と考えがちになり、余計に交渉をする人がいないのだと思います。
――収入的に一番きつかったのはいつですか。
bebe:やはり入社時です。最初の1年は収入が無いつもりで生活費を計算し、それでも大丈夫だという人しかやっていけないと思います。
――確かに、アニメーターは入社したての動画の時期が一番苦しいとよく耳にします。
bebe:だいたい入社して1カ月以内に数人は辞めてしまいます。次に1年たって辞める人が多いです。3年たつと同期入社の人はほぼ辞めるか他社に移ってました。
アニメーターを続けたいのに、作業量と報酬の割の合わなさ故に辞めざるを得ない人たちをたくさん見たので、お金の問題が解決しない限りアニメ業界は衰退していくだろうなと感じています。
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