今や日常的に聞いたことのない謎の新ルールが登場し社会人を困惑させるビジネスマナーの世界ですが、新たに波紋を呼ぶマナーが拡散されました。「とっくりでお酌をする祭は注ぎ口を使わず丸い部分から注ぐ」というもの。えっ、あのどう見てもここから注いでくださいといわんばかりの注ぎ口はわなだった……?

とっくりからお酌するときの注ぎ口はどうする……?
注ぎ口を使うことが失礼に当たる理由は、「戦国時代に注ぎ口に毒を塗って暗殺する手法が多く使われたから」「注ぎ口が上になると宝珠の形に見えるから」「注ぎ口は円(縁)の切れ目であることから相手に失礼に当たる」といった説があるそうです。

注ぎ口のついたとっくりの例(画像はAmazon.co.jpから)
このマナーは2018年8月にテレビ番組で紹介された他、最近になり取り上げたツイートが多く拡散され話題に。ネット上では、「こんなことにこだわる人とは縁を切りたいのでちょうどいい」「何でこんなくだらないマナーが増えるんだろうか」「ティファールとかでも注ぎ口使わないでやって欲しい」「せっかく注ぎ口があるんだから使えよ」といった声が上がりました。
ただし、ネットで検索すると、2006年にこの件について質問をしている書き込みも見受けられるため、ここ数年で作られたものということではないもよう。果たして、注ぎ口を使うのは失礼に当たるのか。日本サービスマナー協会の講師に話を聞きました。
講師によると、注ぎ口を使わず注ぐマナーの存在や由来については知っていたそうです。とはいえ、注ぎ口から注ぐ行為は、とがめられるようなものではないのでは、とのこと。
とっくりはもともと酒だけではなく、しょうゆなどの保存用に使われていました。酒を注ぐ際はとっくりからお銚子に注ぎ、お銚子からおちょこへと注ぐのが昔の手順です。その後時代が進むに連れてとっくりから直接注ぐようになっていきました。そのため、注ぎ口のないとっくりも数多く売られています。
マナーは人を不快にさせないためのもの。現在のとっくりの注ぎ口は注ぐために作られているものであり、とっくりの製造元の意思を尊重することも重要です。注ぎ口を上にすることで宝珠のように見えることを意識して作られたようなとっくりでもない限り、普通に注ぎ口を使ったほうが良いのではないかということです。

マナーは「守ること」ではなく「不快にさせないこと」が目的
また、このマナーは昔からあるものなのかについても聞いてみましたが、出どころははっきりしないとのこと。とっくり自体は江戸時代に出てきたもので、もし逆に注がれていた時期があったとしても短い期間だったのではないかということです。
以上のことから、お酒の席でとっくりからお酒を注ぐことになったとしても、普通に注ぎ口から注いだ方が良いのではないかというのがマナー講師の見解でした。お酒の席での話題として話す分程度に留め、注ぎ口から注いでいる人がいても口出しするようなことではなさそうです
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