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ゲイばかりが孤独、というわけでもない
モテるとか、告白されるとか、好意を寄せられるとか、一般的にはポジティブな意味で解釈されることの方が多いが、果たして実際の当事者はそうだろうか。モテたって好きな人に好かれなかったら悲しいし、好きでもない相手に告白されたら重たいし、苦手な人に好意を寄せられたら鬱陶しい。けっきょく、自分が好きだと思う相手に好きだと言えない限りは、誰しもけっこう寂しくて孤独なんじゃないかと思う。
田亀源五郎先生の最新作『僕らの色彩』は、そんな孤独を描いた作品だ。

主人公はゲイであることを隠している高校生の井戸田宙。彼はクラスメイトの吉岡健太に片思いをしているが、カミングアウトをしていないから好きだと伝えることができない。態度に表すこともできない。それなりに好きなアイドルについて語り合う男子高生たちとうまく馴染んでいた宙は、しかしある日「ホモなんて気持ち悪い」という彼らのふざけあいに、想いを寄せる吉岡までもが笑っていたことにショックを受け、学校を飛び出してしまう。
学校には戻らず、海辺で寝転がっていた宙に、歩み寄る見知らぬ年配の男性がいた。彼は宙が寝ていると思ったのか、「好きだった」と告げてくる。宙は後日その男を見つけ後をつけると、とあるカフェにたどり着く。彼はカフェのマスターで、宙と同じゲイであった。
ゲイであることを隠していることの閉塞感や、それをカミングアウトできる場所が学校外にできることの安らぎなど、一見すればこれはセクシャルマイノリティである男子高生の抱える孤独を描いた作品だ。しかし『僕らの色彩』では、次第に彼に想いを寄せる幼馴染・仲村奈桜の描写にも焦点が当てられていく。奈桜にカミングアウトをしてスッキリした宙は、時折暗い顔を浮かべる奈桜には気づかない。彼の孤独が癒されている瞬間、奈桜はまた別の孤独を感じている。
物分かりがいい奈桜の抱く孤独は、誰かに癒されることはあるのだろうか。まわりから見たら普通だけど心は孤独、という表現は、この作品では宙にだけ当てはまる言葉ではない。
誰かが誰かを好きになる、それは素敵なことだ。しかし、そこには、その事実により自分の「好き」を隠さなければいけなくなってしまう他人がいたりする。自分の「好き」で傷ついてしまう人がいたりする。
それは仕方のないことなんだけど、もどかしい。若いがゆえにみずみずしい恋心をもち、傷つきやすい繊細さをもつ彼らに、読んでいて胸がしめつけられる作品だ。
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