クルマが「ガス欠」になったら、どうしますか?

旅行中や人を乗せての移動中、田舎のなにもない道や高速道路上で、燃料計の「E」より下をビシッと指し、燃料警告灯が点灯した状況はかなり焦ります。ナビでガソリンスタンドを探せばかなりの数が見つかる都市部であっても「日曜の深夜」でどこも営業を終えていて焦ることもあります。燃費が良くなった最近のクルマに乗って「まだ大丈夫でしょ」と余裕ブッこいていた結果、いよいよ危険になって入るべきだったPAも華麗にスルーして「あ……調子に乗りすぎた。やばぃ」となって焦る人も、たまにいます。
ガス欠してしまったら、JAFなどのロードサービスを呼んで助けてもらう(少し給油してもらい、最寄りのガソリンスタンドまでたどり着く)、近くのガソリンスタンドまで歩いていって助けてもらう、別のクルマに牽引してもらうなど、普段クルマに乗る人ならば解決方法はいくつか思い付くでしょう。

ではEV(電気自動車)だったらどうなるのでしょうか。EVなので、ガス欠ではなく「電欠」です。EVを「まだ信用できない」などという人の多くは「航続距離」と「充電設備」を気にしてしまうようですね。日産のEV「リーフ」を例に考えてみましょう。

リーフで「電欠」したらどうなるか、どうするか
リーフは、バッテリー残量が乏しくなってくると「リチウムイオンバッテリー残量警告灯」が黄色く点灯します。これは「すみやかに最寄りの充電施設で充電してね」を示す警告灯です。
この残量警告が出ても走り続けて、いよいよバッテリー切れ=電欠寸前の状態になると、出力制限モードに入る「亀マーク(出力制限表示灯)」がメーターに点灯します。出力が制限され、アクセルを踏み込んでも速度が上がらなくなります。高速道路ならば最寄りのPA/SAへ、一般道ならば「充電できる施設が近くにないときは、すみやかに安全な場所に停車して、EVカスタマーセンターに連絡してください」と説明書に書かれています。
なお亀マークは、バッテリー残量がなくなったときの他に、外気温が高い、連続で高速走行や登坂走行をした、急速充電を繰り返し行った、などでモーターやバッテリーの温度が極端に高くなったときにも安全のため点灯します。



停車したとしても、走行用の高電圧バッテリーとは別に一般車と同じ電装用のDC12Vバッテリーがあるので、停止中にハザードランプを点けたり、カーナビからサポート窓口を呼び出して対処方法を聞いたり、レッカーを呼んだりすることは可能です。
日産はリーフのオーナー向けに、定額制の充電サービスなどを含んだ「日産ゼロ・エミッションサポートプログラム2(ZESP2)」を用意しています(※)。そのサービスの一つに、出先でのクルマのトラブルを24時間365日体制で有人サポートする「エマージェンシーサポート」も一定条件下で付帯しています。もし完全に電欠してしまったとしても、レッカーを手配してもらうといった対処が可能です。
(※2019年12月3日追記:ZESP2は2019年12月15日で受付を終了。改定した「ZESP3」を2019年12月16日から展開します)

というわけで、メーカー側でもサポート体制はかなり手厚く整っています。ただしレッカー対応するしかなければ、現時点は恐らくガス欠よりも時間ロスや機会損失が大きいので、現時点、道路を走る上ではガソリン車以上に「電欠にならないように」気を付けなければならないのも事実といえます。
しかしこれはこの先、EVの普及とともに充電できる対応施設や設備の拡充によって解消されていくはず、と期待することにしましょう。
クルマが電欠する心配とは「逆」に、EVは災害などで家が停電したときにクルマに蓄えた電力で助けてくれる「V2H(Vehicle to Home)」の新しい安心感にも期待したいところです。


ちなみに電装用のDC12Vバッテリーならば、一般車経由のブースターケーブルつなぎやジャンプスターターで解決できます。一応、DC12VバッテリーはEVシステムの起動に必要なので、これのバッテリー切れにも気を付けましょう。

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