漫画の登場人物が奇病にかかり、作画崩壊で少しずつ顔が崩れていくメタフィクション作品がTwitterで好評です。作者はワッショイ邑野(@muranoPPL)さん。確かな画力で劇画調の世界をきっちり描きつつ、主人公の造形だけがゆがんでいく奇妙な物語を作り出しています。

「現代の医学では手術するしかない」と、精悍に描かれた医者に宣告される主人公の良太。写実的な母親の「まさかうちの子が……だんだん作画が崩壊していく病気だなんて……」という嘆きを聞きながら、デッサンの狂った顔を曇らせます。


顔のパーツが右往左往する症状に苦しみながら、学校の屋上で物思いにふけっていると、精緻に描き込まれた親友のカズマが登場。珍しく授業をサボっている良太を気遣って、体格のバランスが悪い背中に声をかけます。

カズマの厚意を素直に受け入れられず、「お前に何が分かる……」と怒り出す良太。同ページ内で別人のような顔になりながら、「自分が自分でなくなっていくようなこの感覚が! お前に分かるか!?」と、急に間隔が狭くなった両目から涙を流します。


手術が失敗したら病状がもっと悪くなり、2人の友情すら失うかもしれない――そう懸念する良太を見て、カズマも激怒。「お前の作画が変わっても……俺たちの友情は安定だろうが!!」と、不安定な良太に安定作画パンチを浴びせます。

その一発で目が覚めた良太は、恐れずに手術へ臨むと決意。不自然なまでにとがったアゴへ、感動の涙を垂らすのでした。

そして1カ月後、町には仲良く歩く2人の姿が。良太は手術が無事成功し、確かな顔を取り戻したようです。画風はちょっと時代がかったスポ根漫画調になり、周囲から浮いているような気はしないでもないですが、取りあえずめでたしめでたし。

「病気の進行の速さに笑った」「治った顔に医者の趣味が出ている」「どんどん文体が壊れていく小説『アルジャーノンに花束を』を思い出した」など、漫画にはさまざまな感想が。「発想もすごいけど、『崩壊』を表現できるところもすごい」と、作者の画力にも多くの賛辞が寄せられています。
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