東京工業大学は、液体のりの主成分によって、がんの「中性子捕捉療法」の効果が大幅に向上するとの研究結果を発表しました。
中性子捕捉療法(BNCT)は、ホウ素化合物をがん細胞に集積させ、熱中性子を照射することでがん細胞を破壊する治療法。従来の方法では治療が困難な再発性のがん、多発性のがんに対しても有効なため大きな期待を集めているといいます。

現在臨床で主に使用されているボロノフェニルアラニン(BPA)というホウ素化合物は、長期的にがん細胞に滞留できないケースもあり、滞留性を長くできれば治療効果をさらに向上できると考えられていたと同大学は説明しています。
同大学の研究グループは、液体のりの主成分であるポリビニルアルコール(PVA)をBPAに加えることで、BPAのがん細胞への滞留性を大きく向上できることを発見。PVAに結合したBPA(PVA-BPA)をマウスで試したところ、従来のBPAと同等以上の集積性を実現するとともに、高いホウ素濃度を長期的に維持でき、ほぼ根治に近い結果が得られたとしています。

PVA-BPAはスライムを作るように、水中でPVAとBPAを混ぜるだけで簡単に合成することが可能と同大学。「製造が容易である上に治療効果も非常に優れていることから本研究成果は極めて実用性が高いと考えられる」とし、今後はステラファーマと協力してさらに研究を行い、安全性を精査しながら臨床応用への可能性を検討していくと述べています。
PVAは、生体適合性の高い材料としてさまざまな医薬品の添加物として使用されています。2019年5月には、白血病治療に使う造血幹細胞をPVAを活用して大量に培養することに成功したと、東京大学と米スタンフォード大学などのチームが報告しています(関連記事)。
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