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バーチャルYouTuber、マシーナリーとも子による不定期コラム第24回(連載一覧)です。お待たせしました! とも子 meets 桜井のりお先生が実現しました!

ライター:マシーナリーとも子

徳で動くバーチャルYouTuber(サイボーグ)。「アイドルマスター シンデレラガールズ」の池袋晶葉ちゃんのファンやプロデューサーを増やして投票してもらうために2018年4月に活動開始。前世はプラモ雑誌の編集をしていたとも言われているが定かではない。現在は自分のグッズを売ったりライターやったりして糊口をしのいでいる。お仕事募集中
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/barzam154
wiki:https://wikiwiki.jp/mashitomo/
ポータルサイト:https://www.machinery-tomoko.com/
ホアキーン。マシーナリーとも子よ。
今日は前々回でもお伝えしたとおり『僕の心のヤバイやつ』(僕ヤバ)作者、桜井のりお先生のインタビューをしにやってまいりました。いや、確かに「どうやって『僕ヤバ』みたいなヤベ〜漫画が生まれてしまっているのか……例えば担当編集の人とかに聞き込みできるとおもしろいかもしれないよね〜」みたいな話はねとらぼ編集部と話してたんだけどさ。そしたら「桜井のりお先生オッケーですって!」って来たからひっくり返っちゃったよ。預言者に話を聞きに行こうかなって聖地に向かったら神が降臨してしまったので、えっちょっとそこまで心の準備してなかった ワーってなる感じ?
ともあれいろいろおもしろい話を伺えたので、ぜひとも読者諸兄は今後の『僕ヤバ』発狂の供として参考にしていただきたい。そいじゃ、どうぞ。
『僕ヤバ』『ロロッロ!』の作られ方、Twitter掲載版のひみつ


前回の記事でも狂いながら書いたんですが、『僕ヤバ』には多くの謎……というか明言されてないメッセージとか感情の動きとかがあると思ってるんですよね。更新のたびに毎回感情をズタボロにされてしまっているんですけど……。こういった謎や仕掛けはどんなふうに生まれているんでしょう? 例えば編集さんとのやりとりから生まれるのか、はたまた桜井先生の頭に直感的にビビッと降ってきてしまうものなのか。

アレはですね、完全に先生の頭の中で生まれています。

ですね。打ち合わせもしますけど割と雑談メインといった感じなので……。

そ、そうなのかッ……! 「降りてきて」しまうものなのか!

そういった意味だと我々もいち読者のような感じで……毎回「こう来たかぁ〜〜〜……」と先生の掌で転がされていますね。

桜井先生は「マンガクロス」で『僕ヤバ』を毎月連載しているほかにも『週刊少年チャンピオン』(週チャン)本誌で『ロロッロ!』を連載していますよね。Twitterにも頻繁に漫画やイラストを投稿していますし、「なんでこのペースで描けてしまうんだ……!?」と読んでいて戦慄(せんりつ)してしまうんですけど、どんなスケジューリングで作品づくりに取り組んでいるんでしょう。

週チャンで連載中の『ロロッロ!』。ロボットと信じてもらえないロボット、陰キャ、腐女子、露出狂などアクの強いキャラクターが続々登場するハイテンションギャグ漫画。『僕ヤバ』と同時に摂取すると交互浴みたいで気持ちいいので両方読もう

2週間に1回、作画する週というのを作っていて、その週に2本まとめて『ロロッロ!』をやり、『僕ヤバ』の原稿もチョロっと進めて……って感じですね。隔週で働いてます。

ネームも「もうこれ漫画としてふつうに読めるじゃん!?」というくらい描き込まれてますよね。どれくらいのスピードで描けるものなんでしょう。

(元投稿)

そうですね……。パッと思いついたときに描いたりするので、あまり定期的にやっているわけではないんですよね。順序としてはまず自分だけがわかるコマ割りだけのプロットみたいなものを描いて、そのあと編集さんに見せる用のネームを清書してます。

はぁーなるほど。プロットから絵で始めているんですね。『僕ヤバ』のネームはリングノートに描かれてましたけど、作画作業自体はデジタルで行っているんですか?

『みつどもえ』のころはオールアナログだったんですけど、『ロロッロ!』からデジタル環境を取り入れまして。ネームについては『僕ヤバ』はアナログで、『ロロッロ!』はデジタルで描いてます。

あ! そこは分けてるんですね。

『ロロッロ!』も以前はアナログだったんですけど途中からiPadとApple pencilを買いまして、それからはデジタルオンリーでやってます。『僕ヤバ』については……子どもの頃は紙のノートに描いていたので、アナログで描くことでなんか昔を思い出し……を出しているんですかね?(笑)。キャラのペン入れまではアナログで作業して、それ以降の仕上げはデジタルで、という感じです。

『僕ヤバ』はTwitterにも漫画やイラストを掲載していますよね。特に漫画は本編以上に凝縮された破壊力があって毎回我々読者はヤられてしまっているんですが……。あれらについては、編集さんのほうから宣伝としてやってみようよとか提案されたんです?

本編より甘さマシマシで破壊力満点のTwitter掲載版『僕ヤバ』。ファンのあいだではツイヤバの呼称で恐れられている(元投稿)

や、実は違いまして。『僕ヤバ』の初期って今ほど山田と市川の距離が縮まっていないじゃないですか。でも、なんていうか……よくTwitterで回ってくる、カップルがイチャイチャしてる漫画があるじゃないですか! ああいうのが描きたいんだけど本編だとなかなか描けないな……と考えまして。なのでこう、ちょっと先の話っぽさが出ちゃってるかもしれないと思いつつ描いてみて、載せてるって感じですね。

Twitter版はなんか連載版よりイチャイチャ度が高いなとは思ってたんですがそういう欲望が漏れ出てのことだったのか……!

あと最近Twitter上で漫画の第1話をまるごとアップして宣伝するのがはやってるじゃないですか。

「◯◯が△△する話」みたいなヤツですね。

でも『僕ヤバ』でアレをやろうとすると……第1話に販促パワーがないんですよね! だから新しく描き下ろさないとダメかなぁ〜と思ってやってみたというのもあります。

それもすごい話だ……。でもあれの効果は実際めちゃめちゃあると思いますね。あの1ツイートに込められたパワーでぶん殴られて単行本買ったりマンガクロス見るようになった読者すげーいますよ。私もそうですし……。

Twitter掲載版は現在桜井のりお先生のTwitterモーメントにまとめられている

へへへ。なんですかね。やっぱりTwitter上で読む漫画って……読み捨て、ではないですけど基本的には本編を知らない人が読むものだと思っているので。だからこう……イチャイチャを強調している……なのかなあ? 目に入ったときに「あ!!!」って思ってもらえるようなコマを作ろうと考えながら描いてますね。

今のところTwitter版は単行本には収録されてませんが、紙媒体などでまとめられる機会はないんでしょうか。

おそらくTwitter版だけをまとめた本、というのは出ないかと思いますね。

あぁ〜、そうですか……。でもなんだろ、Twitter上で見るからこその破壊力ってのもあるのかな〜。でも本編の補完みたいになってる回もあるから交互に見比べたりしたいんだよな〜……。

あと、さっき作画の話がありましたけどTwitter掲載のものについては全部デジタルですね。

あ、それでちょっと本編とはペンの感じが違うんですね。ところでTwitterの漫画は一応編集さんの目を通って……。

勝手に描いています。

勝手に!

Twitter見てびっくりすることが多々あります。

完全ゲリラなんスね!! いや、そこはなんかこう、てっきり編集部ぐるみでのTwitter使った仕掛けなのかと思ってました……。じゃあ変な言い方をすれば本人によるファンアートみたいな感じなんすね。

いや〜、そうなんですよ。なんというか……義務感が出るのが嫌で。描きたいときに描きたいものを描いて、エイヤと投稿しています。

先生がゲリラ的に描いているということは……つまり原稿料とかは出ていない、と……。

はい。

はい……。

編集が編集を刺しに行った!

『僕ヤバ』でこれだけTwitter販促が成功しちゃうと、他の作家さんと話すときに「Twitter利用したほうがいいよ〜でも原稿料出せないよ〜」みたいなことにならないかなと(笑)。

そのあたりは前任の担当編集のときから例えばTwitterイラストをグッズに使って、原稿料やその売り上げをお支払いするとか、なるべく別の形で活用させていただいて還元するようにしています。

イラスト使ったタオルとか販売してましたもんね。

いやー、ありがたいっす。

Twitterに投稿したイラストがグッズ化した例。えっちだ!(元投稿)
考察される漫画を目指して誕生した『僕ヤバ』

最新話公開直後はなんだかタイムラインで一種のバトルが展開されているんですよね……。「見ろこのコマの背景を! このディテールにはなにかメッセージがあるぞ!」みたいな考察とかもん絶の発表会が開催されて。こないだの回(Karte.40)で驚いたのは、図書館内に思ったより他の生徒がいるのがわかったことですね……。山田と市川はあんな場所で日々いちゃいちゃと……。

先生は前にも出てきてたけど生徒もおるやんけ! イチャついてるとこ見られてるやんけ!(Karte.40)

あのときはたまたまです(笑)! 偶然あのタイミングでいたというか……いたりいなかったりというか。

山田の距離の詰め方もどんどんすごいことになってますよね。備品倉庫での脚のポジションとか「おいなんでそうなるんだ!」「そのポジションに至ったプロセスでなにがあったんだ!」ってめちゃくそ興奮してしまいました……。

狭い備品倉庫内にて。獲物をつかみ、挟み砕くクワガタムシの大顎のように市川を追い込んだ山田の脚のポジションがすごい。市川もなんで流されてそうなってんだ!(Karte.40)
……とか言ってたら後日Twitterにて補足されてた。山田ッッッ!!!

いやほんと、最近山田を見ていると「山田っっっ!!! そういうところだぞ!!!」とか「頼む山田変わってくれ!!!」って対抗意識めいたものを抱いてしまいがちで……。風邪をひく直前のどさくさに紛れて市川の頭をナデナデしてるところとかもう……。

濡れ市川を拭いてあげつついつの間にか頭なでに移行する山田。うらやましい。市川もこういう役得タイムに限って別のことを考えてるのが……(Karte.38)

インタビュー中なのにとも子の感情がグチャグチャになってきているッッッ! 先生的にはどうですか。Twitterとかでご覧になることも多いと思いますが、こう読者が『僕ヤバ』に撃沈されていっぱいっぱいになってる様子というのは。

や、とてもうれしいですね! この作品は、最初の担当さんと「考察される漫画にしたいねー」と話しながら作っていたので。

は〜、なるほど。めちゃめちゃに試みが成功してしまっていますね。

でも、読み込まないと理解できないような漫画にはしたくなかったんです。サラッとも読めるけど、何度も読み返すことでも発見があるのが理想だったので、そういう反応はすごいうれしいです。

キレイに思惑にハマってしまっているな〜、私。あと、最近本当に市川が魅力的なんですよね。読み始めたころは市川に対して「ああ、お前は私の分身だよ……」って思ってしまうほど感情移入の対象として見てたんですが、今はどちらかというと山田に入れ込んでしまう。市川の魅力的な姿を山田を通して見ているというか……。そういった読者目線の変化は意識されていますか?

描いてる方としてはそのあたりはあまり意識していないんですけど、そうですね……。どちらかというと最近は……こう、女性のファンが……欲しいっていうか(笑)。

わかります(迫真)。

男子のどこがかわいい/かっこいいと思うんだろう? ってのを考えながら市川を描いていますね。

最近の市川、魅力的すぎませんか。夢女子になっちゃう

やはり『僕ヤバ』もどちらかといえば男性人気が高い作品ですし、そもそもチャンピオン系列の誌面自体が男性読者さんの方が多いですからね。

そういった意味だとWeb連載ということもあって女性人気も今後ついてきそうですけどね。

いや……でもなんというか絶対的な性別は関係なくて『僕ヤバ』で市川が魅力的なときは読者全員夢女子の心境で読んでいると思う! 逆もまたしかりだけど。

連載を始めてから手応えを感じたタイミングとかはありましたか?

そうですね、最初に意識したのは14話かな?

市川が山田のことを好きだと自覚した回ですね。

市川が自分の「好き」を自覚する、大きなターニングポイント(Karte.14)

そういう展開を描きたいというのは当初からあったんですけど、やっぱり不安がすごくあったので……。「こういう漫画なんだよ」というのが14話でやっと伝わった感じがありましたね。

他にお気に入りの回はありますか?

そうですねー……2巻収録の話だと……あ、雨の日の回は好きですね。

山田の距離の詰めかたがものすごい回ですね! 男子の雨ガッパを貸してくれと来るんだもんな。山田……怖い女……! そして市川がかわいい……。この回も「どこまでが山田の意図なのか?」とか考えると迷宮みたいな回ですよね。

そうそう、そうなんですよ……。なんだ、山田はウソついてるのかな? ウソついてるのどうなんだろう、という感じが。

ですよね。いやでも山田ならマジボケも全然あり得るし……。

傘を忘れてからカッパを貸してくれと市川に申し出た山田。でも山田のかばんの中には折りたたみ傘が……。真実はどこにあるんだ、山田!!(Karte.22)

あと秋田書店訪れてバキの原稿を見たときの二人の表情とか……。お互いに普段見せない顔を出していくというこの……。

う〜〜〜んなるほどですね〜〜〜! ね! こういうときに限って山田のことが眼中にない市川という……ほんとこの子は! 市川! オイ!という!

職場見学で一同が秋田書店に出向く。いや、マジで前回も描いたけどマジでここの二人の表情いいよね……。与謝野晶子……(Karte.25〜26)

う〜〜〜んそうなんですよねぇ〜〜〜!

この回って編集部が完全再現されてますよね。

そうそう、そうなんですよ! 直接行ったわけではないんですがたくさん写真を撮ってもらって、それを(アシスタントに)見てもらいながら描いてもらったりして。

歴代担当編集が出演しているんですよね。

え! そうなんスか!!

この主に案内をしてくれてる女性が『僕ヤバ』の前担当さんで、バキの原稿を持ってきてくれた人は『みつどもえ』の5代目担当さん……今は別冊少年チャンピオンの編集長で。あと、エレベーターに乗ってきたのはYGさんっていう『みつどもえ』の2代目担当です。

『浦安鉄筋家族』とかも担当していた人ですね。

レジェンド担当集合回でもあったのか……!



リアル秋田書店社員な方々。

実際に中学生が職場見学で秋田書店に来たりするって聞いたんですよ。それで描いてみようかなーと思った回ですね。

そうそう。中学生に原稿見せてあげたりとか、グッズをプレゼントしたりってことがあるんですよ。だからあれは割とリアルな回なんです。

へぇ〜。ところでちょっと『僕ヤバ』の話とは外れるんですけど、お聞きしてるとやっぱり漫画の担当編集さんってけっこう交代するんですね。付きっきりというわけではなくて。

そうですね。理由としては単純に会社の人事の関係で変わっちゃうのがほとんどですけどね。『みつどもえ』だけで5人、『みつどもえ』に限らなければもっとたくさんいます。

私の場合、『みつどもえ』や『子供学級』で連載が始まってまもなく担当さんが変わっちゃったことがあって。それは結構ツラかったですね。だから「この作品は(担当編集との)二人三脚で作ってきました」みたいなのを見るとうらやましく思うこともあったり。

確かにちょっとそれは心細いかも。『僕ヤバ』スタートのときはどうでしたか?

『みつどもえ』でもお世話になった担当さんが異動で編集者ではなくなっちゃって。でもしばらくしてヤングチャンピオン編集部に移ると聞いて、だったらまた担当してもらいたいと思って『僕ヤバ』のネームを持っていったんです。それが最初の『僕ヤバ』担当さんで、比較的その方と作り込んだ感はあります。

『僕ヤバ』は連載開始時にヤングチャンピオン編集部から「今度こういう漫画が始まるんですけど週チャンに何回か載ったあとはWebに移行しますんで」と説明を受けたんです。そのときに秋田書店って柔軟だなと思いましたね。例えば集英社だったらヤングジャンプ編集部から「週刊少年ジャンプが……」とは連絡こないです。

私、じつは『僕ヤバ』は1巻発売後から読み始めたので最初は『週チャン』に掲載されてたって知らなかったんですよね。とはいえ当初から基本はWebでの連載を考えていたんですか?

そうですね。最初からWebでやろうという企画でした。まずは周知してもらうために週チャンで4話分載せてもらったという感じですね。
舞台が目黒な理由

そういえば読んでいて「おや?」と思ったことがありまして。『僕ヤバ』に出てくるおやつに実名の場合があるじゃないですか。「ねるねるねるね」とか。あれがまた作品の生々しさにもひと役買っている気がするんですけど、実名じゃないときもあって。アレはどういう使い分けなんでしょう?

なにげに山田と市川が明確に接近しはじめた重要回である(Karte.7)

「ねるねるねるね」は一応ちゃんと許可をいただきまして。使っていいよーということだったのでそのまんま出してるんですけど「プルーチェ」は……。

あれはモジリネームでしたね。

学校でこのテのものを食おうとするの豪気がすぎるぞ山田!(Karte.18)

あれはほら……最後にぶっかけるじゃないですか(笑)。

あっ! そっか!!

ちょっとどうなんだろと思ったので、アレは変えました。

あとこれも細かいことなんですが話数のカウントが「Karte」なのも不思議だなあと思って。特に病院とか保健室のお話というわけでもないですし。

あ、それはですね。最初は「中二病が治っていく」のが作品のコンセプトだったんです。その名残ですね。

そういうことだったのか! まあ市川、最近は中二病ちょっとなりを潜めてきてるけど代わりに恋煩いという重い病にかかってますもんね……。

「殺人大百科」もほとんど読んでないですもんねえ。

むしろ今は図書室で殺人関係の本読んでる描写があると安心するまであります。

「殺人大百科」みたいな本は、市川を作るときに実際に買ったりしたんですか?

私、もともと殺人関係の本が好きで持っていまして……。

わかります。

殺人サイボーグが理解を示している……。

『完全自殺マニュアル』とか昔流行りましたもんね。

ありましたね。『人殺し大百科』という本は実際にあって、いろいろな殺し方を網羅してるんです。

市川も序盤は本からインスピレーションを受けて、どう山田を殺してやろうかと考えていたはずなのに……。いざ山田が鼻血を出すと血相変えて追いかけちゃうし素で「山田は優しいからな……」とか考えちゃうし……。

恋に煩わせれ「山田、今いちばん殺したい女……」とか言ってたことの姿は見る影もないほどデレてしまった市川

そういえば『僕ヤバ』を始めてから、実際の場所を取材するようになったんですよ。

そうですよね。登場する駅とか実在の場所ですもんね。

舞台は目黒区の洗足なんです。本当にこう、閑静なところって感じで取材は楽しかったですね。

物語の舞台は目黒区洗足。割と良さめの土地である

そうそう、市川がけっこういい家に住んでて「こいつ……実家が太い!」って思いましたね。洗足を舞台に選んだ理由はなにかあるんですか?

私が今埼玉に住んでるんですけど……。

はい。

埼玉には、山田がいないだろうなと思ってしまいまして……。

あぁぁぁ〜〜〜〜ッッッッ……! ちょっと垢抜けた感じということで目黒に!

それを担当さんに話したら「確かにそうですね」って言われちゃって……自分で言い出したこととはいえちょっとショックでした!

ワハハハ、こいつら確かにって言いやがったな! と。

(笑)。他に描き始めて変わったことはあります?

特にないです。
とのことです
空間ありきの物語二人だけの空間を追求する『僕ヤバ』

先日の備品倉庫での一幕もそうですが、毎回市川と山田が陥るシチュエーションのアイデアがすごいなと感心しながら読んでいます。ああしたシチュエーションはどうやって捻り出しているんでしょう? 例えば「今回は市川をこんな目に遭わせちゃおうかなーっ」みたいな発想から出てきたりとか……?

なんて言うんだろ、「こういう目に遭わせたい」というよりも「二人の空間をどんな風にしたいか」ですかね。こう、誰も介入しないような空間を作ろうと。

そうか空間ありきなのか……! そういう意味では持久走の回は天才的でしたね。並走してれば二人だけで会話はできるけど周りには聞こえないから実質密室! みたいな。でも話し込みすぎてコースを外れちゃうという。

クラスメートたちの前で公然といちゃいちゃする回。発想がヤバすぎる。現在Web上での公開は終了しているので未読の方は第3巻発売を待たれよ(Karte.32)

あれ、後ろから見たら話し込んでるのバレバレですよね(笑)。でもその二人だけの空間を、あんまり第三者目線で見せたくないなというのもあって。二人に感情移入しながら読むと、そういう状況を他人に見られたくないって思うじゃないですか。

ああ、そうですよね。二人だけの空間は二人だけのものですからね……。

構想としてはまだまだ市川と山田にやってほしいことはたくさんあるのでどんどん描いていきたいですね!

そうですね……。私も相当これまで『僕ヤバ』に打ちのめされてるけどまだ2巻しか出てないし40話しかやってないんですよね。おそろしいわ……。

『刃牙』で言ったら2巻ってまだ範馬勇次郎出てないですからね。今後まだ見ぬすごいキャラが……。

『僕ヤバ』にも範馬勇次郎が出てくるかもしれない。

範馬勇次郎(概念)が……!? 『僕ヤバ』に……!? 確かに市川パパも山田パパも出てないけど……。
【範馬勇次郎】地上最強の生物。『グラップラー刃牙』3巻ラストで名前だけ登場し、実際に本人が現れたのは5巻のマウント斗羽戦。

そういえばそろそろいい時間だと思いつつ、こちらもぜひ聞いておきたかったんですが『ロロッロ!』では進級というイベントがありましたよね。『僕ヤバ』もループものではなく時間が進むタイプと考えていいんでしょうか。

進んでますね。緩やかに……。

やっぱりそうなのか……! そう考えると中学2年生という年齢も絶妙ですよね。3年になったら進路とか考えなきゃならんし……。本当に市川が、山田と今のような関係でいられるのかとかそりゃあ……そりゃあ中二だったら心配になるよなあ……。悩んじゃうよなあ……。

ですよね〜。『僕ヤバ』の感想に「こういうとき自分はこうしたな〜」とか「いや、それはしないだろ!」とか市川のことを自分に当てはめるものが多くて、それはうれしいですね。

本当にそれはそうですね。あんな青春は自分になかったはずなのになぜか夢幻に自分と市川や山田のことを当てはめてしまうんですよね……。ホントにいい漫画だわ……。いや、あらためまして本日はありがとうございました……。夢のような時間でございました。ほんと『僕ヤバ』好きですし『ロロッロ!』も楽しくて……。今日はライターです、インタビュアーですって感じで来ちゃってますけど、普段は殺人サイボーグVTuberやらせていただいたり池袋晶葉ちゃんっていうロボットを作るアイドルを死ぬほど応援したりしてるので『ロロッロ!』にはものすごく親近感を覚えてまして……。

無理やり自己紹介を差し込んだ……。

まだ先の話ですけど『僕ヤバ』第3巻も準備中ですので楽しみにしていただければと!!

ペース的には……あと半年以内には出そうですもんね! マジで楽しみにしております。ありがとうございました!
【インタビュー出席者】マシーナリーとも子、桜井のりお、ヤングチャンピオン編集部・高橋、ねとらぼ編集部・高橋
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