6月16日(現地時間)、フランス北部ドゥナンの劇場で求職者13人によるコンサートが行われました。これはフランスの雇用を担う公的行政機関「ポール・アンプロワ」、いわば同国におけるハローワークが文化施設とパートナーシップを組み、企業側とのマッチングを目的としたもので、「芸術活動が雇用に必要な資質を引き出す」という意図に沿ったプランです。

企業や聴衆の前で自分のスキルを披露する13人の求職者
参加した求職者は、21歳から60歳までの男性8人女性5人の計13人。彼らの中には長期間就業していなかったり、生活保護を受けていたりする人もおり、各々の専門も秘書、エンジニア、電気工事士などさまざま。
今回選ばれたのは、全員が共通して履歴書に「音楽のスキル」を記載していた人で、毎週土曜日、8週間に渡って担当者のサポートを受けながらリハーサルをして準備してきたそうです。
8週間、毎週土曜日、求職者はチームのサポートのもと、リハーサルを行った
コンサートは、フランスのシンガーソングライターであるクララ・ルチアーニやマキシム・ル・フォレスティエなどの曲を通常のミニコンサートと同じように構成して開催。演奏の合間には、求職者らのプロフィールが映し出され、コンサート後には企業の採用担当者と募集職種などを話す時間が設けられるのだとか。
この取り組みは2021年に「ポール・アンプロワ オー=ド=フランス」地域局長フレデリック・ダネルとルーヴル美術館ランス別館の館長マリー・ラバンディエが発足した「雇用へ続くアート」の一環として行われたもの。
その意図は、「芸術活動はどんな分野であれ、個人の資質を引き出し自己開発につながる」というもの。求職者は自分に自信をもち、企業側は芸術活動による自己表現で彼らの資質を見出すことができるという、「求職者側の素早い就職」と「企業側の人材発掘」を両立させることを目的としています。

すでに美術館やサーカスなど他の分野でも取り組みは行われていますが、今回のようにコンサートが開かれるのは初の試み。企業側は実際に、コンサートによって欲しい人材を見出すことが可能なようで、終演後に各企業から声がかかる人と、まったく声がかからない人とに分かれていたそうです。
フレデリック・ダネルは終了後、「今日では企業にとって採用は困難なこと。私たち雇用関係者は、イノベーションを起こし、解決策を見出すことが必要」と述べています。また、参加した求職者の中には、「ポール・アンプロワ オー=ド=フランス」に対しての信頼が増したとコメントする人もいました。
コンサートが行われた「オー=ド=フランス」では2021年の第4四半期失業率が8.9%で都市部よりも高い傾向にあります。ただしこれは第1四半期9.4%に対して減少しており、「ポール・アンプロワ オー=ド=フランス」による積極的な対策が徐々に功を奏しているとも言えます。
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