ねとらぼ

プラモデルになるまでも、紆余曲折の連続でした。

──F90の次に出たプラモデルっていうと、除雪機でしたよね。

第二弾キットがこちらの「PLAMAX MF-62 minimum factory みのり with ホンダ小型除雪機 HSS1170n(JX)」

中島 そうです。あの時はいよいよ次のキットということで「うちの現役モデルで候補はありますか?」と聞いたら、出てきたのが除雪機だったんです。うちも商売っけがあるから、最新型の一番いい除雪機を提案したら、いまいち反応が悪くて。「なんで?」って聞いたら「ライトが丸目じゃないとヤダ」と。

高久 F90のプラモデルが売れた理由に、ライトが丸目でちょっとユーモラスだったり優しそうな感じだったというのがあると思うんですよ。でもホンダさんの除雪機って、上位機種になると角目になっちゃう。ということで、丸目の中でも最上位の機種だった、HSS1170nという機種を選びました。

中島 もうプラモデルのプロがそう言ってるんだから、じゃあウチとしてもそれでいいや、となりまして。それでこの除雪機も、商品が世に出るまでけっこう時間がかかったわけですよ。F90で3〜4年、除雪機で2年くらいかかって、これはもう次はすぐ取り掛からないとまた数年かかっちゃう。だから2022年5月の静岡ホビーショーで除雪機のキットを展示した時、高久さんに「次どうする?」って聞いたんです。最初のF90は高久さんから、次の除雪機は僕から提案したから、それなら3つめは「せーの」で同時に言おうということになって、二人同時に「船外機!」って言ったんです。

──だったらもう、次は船外機しかないですね。

中島 ただ、高久さんの考えていたプラモと、僕が考えてたプラモの内容が全然違った。僕は「船外機だけじゃあプラモにならんだろう。せめて船の後ろ半分とかがついてないと」と思ってたんだけど、高久さんに聞いたら「まるっきり違う」と。それで出てきたのが、「船外機だけをそのままプラモデルにする」というプランだったんです。

高久 最初の耕運機は春っぽいアイテム、除雪機は当然冬ということで、次は夏っぽいアイテムの船外機だろうという頭だったんです。横に添えるフィギュアもこれまでのアイテムだと割とモコモコした服装をしてたんで、船外機ならガラッと雰囲気を変えられるし。陸にあげた状態で横に女の子のフィギュアがいるなら、船外機単品のキットでも成立すると思ったんです。陸にあげて、カバーが開いた状態だったら、人が横にいても不自然じゃない。

──なんでいきなり船外機のプラモなんだろう、と思ってたんですが、理由を聞くと確かに「その流れなら船外機しかないな……」という気持ちになりますね。

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企画が進んでから唐突に出現した隠し球、BF350

中島 で、じゃあ次は船外機……ということになったんですが、その時点ではウチのトップモデルってBF250っていうやつだったんですよ。これはV型6気筒の250馬力。

高久 それが最大最強なら、もうBF250でいこうということで、ネットで拾った画像をもとにざっくりした原型を作って、「1/20だとこのくらいのボリューム感か」「これだったらF90を縦にしたくらいの体積だから、全然キットになるな」みたいな部分を確かめたりしました。版権許諾はとりましたけど、具体的な設計には入ってない感じです。

企画が走り出した当初はホンダ最大の船外機だった、BF250

中島 じゃあマリン事業部にも協力を仰ぎましょう、やるぞと宣言に行きましょうということで、浜松まで来て挨拶したんです。「ぜひやってください」「じゃあこれでオッケーですね」という話になったのが2023年の10月くらいなんだけど、実はその直前の9月に、ジェノバでBF350が発表になっちゃったんですよね……。

高久 隠し持ってたんですよね、もっとでっかいフラッグシップマシンを(笑)。BF250を作るぞ〜と思ってたんだけど、「こっちはV8で〜す」ということになっちゃって、あらら……これはどうしよう……と。

中島 「ちょっとカラーバリエーションが出る」程度の話じゃないから、軽々しく外に言えないわけですよ。ホンダの威信がかかっちゃってるから。だから黙ってるしかなかった。

高久 ジェノバでの発表があったあたりでは日本での発表とか発売時期も決まってなかったし、まあ「BF250のプラモを作って、でももっと大きいBF350もありますよ」くらいでいいかな……と思って、同じ年の11月にもう一回浜松に来たんです。

中島 そんな状態だから、その場にいるみんながモヤモヤしてるわけですよ。高久さんとしてはBF250で申請しちゃったから、あらためて「今回のキットは250で行きます」という話をしに来たわけなんだけど、その場でマリン事業部の福田の方から「……BF350ではダメですか?」と逆に提案が出まして。プラモを作りたい方としては「え!? いいんですか!?」と。

高久 そりゃびっくりしますよ。こちらとしてもやりたいですけど、その場合はある程度協力してもらわないと難しいですっていう話をしたら、「できる限りのことはします」とおっしゃってもらえたので、じゃあもうこれはBF350でいこう、という話になりました。

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