あっという間に季節が変わって、街中でもうクリスマスツリーを見掛けました。毎日が急激に流れていくのに、いや、むしろ慌ただしすぎる日々だからこそ、ふとぼんやりとしてみたり。今回は、日常の小さな小さなところから生まれた創作のご本です。
今回紹介する同人誌
『ナンの欠片から生まれるメカデザイン』縦約10.5cm×横約15cm 14ページ 表紙・本文カラー
著者:ろこまる
ナンとメカがドッキング? 日常のかたちの面白さに気付く
何か創作をしようとメモ帳を取り出したものの、なぜだか筆が進まない。そんな作者さんは、フードコートでぼーっとしているうちに、さっきまで食べていたカレーについていたナンのかけらに気付きます。
「何だか古代文明の建造物にも見えるし、取っ手付きのスマートな家電のようにも見える」。……そんな視点で生まれた4つのナンのかけらと、そのシルエットを生かしたメカのイラスト4点がまとめられています。
ご本には、着想のもとになったナンの写真と、そこから生まれたメカイラスト、そしてイメージの解説テキストが載っています。メカはどれもまるっこい形が採用されていて、元々はかけらだったという小ささとよくマッチして愛らしい!
ホウレン草カレーに見る愛おしさ
ナンからメカへの変身の要因には形状だけでなく、そのときの状況も組み込まれます。ルーフラック付きミニカーになったかけらが特別だったのは、ナンに食べていたホウレン草カレーがちょっぴり乗っかっているから。緑色のホウレン草カレーがアクセントになって、デザインにつながったそうです。なんてキュートなエピソードでしょうか。いつもなら見逃してしまう、ささやかな違い。それが創作の着火剤になって結び付いてゆく、そんな特別なことが人知れずフードコートの一画で起こっていたとは、何とも味わいのある出来事ではないでしょうか。
「何も思い付かない」からの発想と創作
何かしたいけれどどうにも気分が盛り上がらない。それでもなんとかかんとか取り組む姿勢には、「そんなときある!」と共感してしまいます。そして描かれたメカたちは決して投げやりでなく、食後のひとときから生み出された4種には、描き手の方の作風がうかがえる共通のかわいらしさとロマンが見えています。発想とデザインの楽しさとともに、創作に向き合う真摯(しんし)な姿勢も心地よく感じるご本です。
サークル情報
サークル名:ろこまる工房
X:@rb79_locomaru
今週の余談
偶然にも、先月のレビューと“かけら”つながりになりました。大きなものから小さなものまで。人の心を動かす存在、面白いです。
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