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4月11日、12日の2日間にかけて、ホロライブ所属の獅白ぼたんさん(以下・獅白さん)主催による『ストリートファイター6(以下・スト6)』の大会『獅白杯オフライン』が、横浜BUNTAIにて開催されます。
『スト6』の大会として開催される『獅白杯』、今回は初のオフラインイベントになります。
今までは個人戦中心だったのですが、今回のテーマは「抗争」とのことで、3人1チームになって戦うことになります。
DAY1『獅白杯4th』では、6チーム(18人)の招待枠と、すでに開催された公募トーナメントを勝ち上がったメンバーで構成される2チーム(6人)の公募枠の全8チームが集まり、ダブルエリミネーション形式(2回負けるまで敗退しないトーナメント方式。勝ち続ける「ウィナーズ」トーナメントと、一度負けた選手が戦う「ルーザーズ」トーナメントがあり、一度敗者になっても優勝のチャンスがあるシステム)で戦うことになります。
プロとアマチュアの垣根なし。ストリーマーとVTuberの垣根もなし。『スト6』プレイヤーとして配信をしている人が、ガチンコでぶつかりあうのが『獅白杯』の特徴です。
それと同時に、今回行われる『獅白杯オフライン』のDAY2では『獅白杯オフライン〜東西対抗戦〜』と題し、2025年10月に実施された『獅白杯~東西対抗戦~』のように西軍・東軍に分かれ、複数の特殊ルールで対決することも発表されています。負けた側には、しっかり罰ゲームあり。ガチンコ対決とはまた別の意味で、誰が見ても大いに楽しめそうなエンタメとしての企画が立てられています。
超巨大な大会を開くことになった獅白さんですが、ここに至るまでの間、何もかもが順調だったわけでは決してありません。『スト6』をやめるかもしれない、と追い詰められるほど悩んだこともありました。格ゲーマーかつイベンターとしての彼女の歩みを振り返ってみましょう。
ライター:たまごまご
オタク・サブカル・VTuber系ライター。MoguLive、コンプティーク、PASH!、ねとらぼ、QJwebなどで書いています。女の子が殴りあうゲームが好きです。
X:@tamagomago
勝てなくて、泣いた日もあった。
獅白さんは元々、格闘ゲーム経験があったわけではなく、ちゃんと遊ぶようになったのは『スト6』からだったそうです。
そんな彼女が2023年6月25日に開催された「第1回 Crazy Raccoon Cup(通称・CRカップ) Street Fighter 6」にチーム「ぎゃんぐたうん地方勢」として参加することが決定。プロゲーマーの小路KOGさんがコーチについて、本格的に練習を始めることになります(ちなみに、小路KOGさんはこのコーチングがきっかけで、ホロライブの沼にどっぷりハマります)。
最初に使っていたキャラクターはモダン(以下・M。今までの操作スタイル(クラシック)と異なり、必殺技がワンボタンで出せるなど、初心者でもプレイしやすいようカスタマイズされた操作性になっている)のマリーザでした。
その後、練習を重ね2023年9月23~24日の「TGS2023×CR CUP STREET FIGHTER 6」にも出演することになった獅白さん。
元々ストイックにゲームに向き合うスタイルの彼女は、チームメイトやコーチ陣とプレイする中でめきめき上達し、みんなと『スト6』をプレイする面白さを知っていきます。ただ、それと同時に苦しさも覚えるようになっていきました。
コンボがうまくつながらない。うまく立ち回れない。そして、勝てない。プロゲーマーのどぐらさんや稲葉さんの手厚いコーチングのもと、自身も裏で練習を積んでMマリーザで本番に向かいます。
しかし、「TGS2023×CR CUP STREET FIGHTER 6 」の試合(51:20くらいから)では、Mリリーに敗北。負けたことによる責任の重さや、うまく立ち回れなかった悔しさなどから、しばらくしゃべることができないくらいに号泣してしまいます(1:04:00くらいから)。
「一応練習はしたんだけど、でもやっぱりちょっとうまく……それが出せなかったから……。泣かないと思ったんだけど……ごめんね本当に」
元からの獅白さんのファンも、彼女がここまで感情をあらわにするのは初めて見たようで、びっくり。チャット欄はたくさんの応援と励ましの声が飛び交いました。
なお、その後の大将戦で大将のどぐらさんが、相手チームの大将であるプロゲーマーのかずのこさんと激闘を繰り広げた結果、見事勝利。チームメイトたちと一緒に、先ほどとは真逆の、感激で号泣します(2:03:20くらいから。激戦だった試合内容は戌神ころねさん(以下・戌神さん)のミラー配信の1:51:20くらいから観られます)。
ただその後の、大将に対して大将以外のメンバーが一本勝負を挑む格上勝負「大将挑戦戦」で、先程の試合で力を使い果たしたのか、大将のどぐらさんがまさかの敗北。この展開にはみんなもどぐらさん本人も仰天&ずっこけ(戌神さんミラー配信の2:07:25くらいから)。ある意味エンターテインメントすぎる展開の試合になりました。
このときの、悔しさと感動と笑いの全部が詰まった試合は、獅白さんにとって大きなものだったのは間違いないでしょう。彼女が試合中に泣いたのは、決して一過性の感情ではありませんでした。今までこのゲームに真剣に挑み続けていたからのものです。のちの配信で彼女はこう語っています(7:15くらいから)。
「恥ずかしいけどさ、ここまできたら言うけどさ、練習中にも結構大泣きしてんのよ(笑)。ホントすまん、マジでコーチ陣には、もうホントに申し訳ない、申し訳ない、あのなんかもうホントにもう、どう扱っていいんだこいつみたいにはなってると思うんだけど、(中略)、こんな時間かけてさ教えてくれてるのにさ、もうコンボがつながらんっつってわんわん泣いてたのね(笑)」
この時の彼女は、まだまだ初心者です。忖度なしの本当の格闘ゲームの試合に出たことで、楽しくも厳しい世界の洗礼を受けました。しかし、彼女はここでやめることはありませんでした。
「続けたくはある。せっかくここまで教えてもらって、ある程度動かせるようになってさ、あっちょっと楽しい、ってなってきてるときだから。ちょっと格ゲー自体は、スト6自体はちょっとやりたくて。ちょっと続けようかなって思ってます」(1:06:40くらいから)
2023年のこの彼女の発言はその後、現実のものとなります。以降、彼女は『スト6』をやりこみ、格ゲーの世界に本格的にのめり込んでいくことになりました。
念願の大会初勝利、そしてマスターランクへ
2024年2月11日の「第3回 Crazy Raccoon Cup Street Fighter 6」に、チーム「じゃすとインパクト」で参戦した獅白さん。使用キャラはMリリーでした。
この試合に向けて、キャラ対策をさらにやり込んできた獅白さん。相手チームの赤見かるびさんのMマリーザに対してしっかりと対空(飛んできた相手を迎撃すること)をし、インパクト返し(攻撃を受け止めつつ技を振ってくる特殊行動「ドライブインパクト」に対して、自分も同じ行動を出すことで返すテクニック)も決めます(試合は2:18:00くらいから)。
そしてついに、念願のCRカップ初勝利をつかみ取ったのです。
これには本人もつい嬉しさのあまり号泣。手に汗握って見守っていたコーチ陣も、大盛りあがり。拍手喝采でした。
実はこの大会のオファーが来た獅白さんは、出ようかどうか一瞬迷った、と語っています(56:00くらいから)。
今までなかなか試合で勝つことができなかった獅白さん。「出るからには勝ちたいけど、でもホントにもう、あたし出て勝てるんかなみたいな、その、ちょっとネガティブな気持ちになってるときだったの」と感想会で自身の思いを語っていました。「勝っても負けても、なんか言ってくる人いるじゃん。で、そういうコメントを目にしたくなかったのよ」と、辛辣なコメントが来ていたことも、本音で語っています。
しかし、友人である戌神さんに相談をしたときの励ましで、彼女は出演を決意しました。出るかどうか迷っているのを打ち明けた時、戌神さんは「ツラいなって思うんだったら全然もうおやすみしてもいいと思うんだけど、ただ、ぼたんちゃんが出るって言うんだったら、ころねは全力で応援するよ」「普段から頑張ってることはもうみんな知ってるから、みんな、出るってなったら応援してくれるよ。ころねもめっちゃ応援するよ」と言ってくれたと獅白さんは語ります。
応援してくれる人たちがいる。そういう人たちのために頑張りたい。そう考えた獅白さんはCRカップへの出場を決意したそうです。勝ち負けのシビアな世界の中で、彼女は配信者としてのプライドを持ち、みんなの応援を背負って、試合に参加したのです。
なお、このときコーチをしていたプロゲーマーのACQUAさんは、獅白さんが勝てるようにあらゆる策を練っていたことを後の配信で語っていました。選手全員が死力を尽くして参加している舞台の中、彼女が試合に出られたのと、試合に勝てたのは、多くの人の支えと彼女の努力あってのことなのでした。
2024年6月21日。ついにMリリーで念願のマスターランク(ランクマッチにおける上位の称号。上級者と呼べるレベル)に到達します(1:05:00くらい)。彼女はなかなか勝つことができず、ときには心無い声に煽られることもある中、くじけそうになりながらも「応援してくれてる人がいるから続けられた」と述べています(1:18:50くらい)。「もうさすがに『やめる』はないわ。もうそのターン終わった」と語る彼女の声からは、格ゲーマーとして歩み始めた力強さがあふれていました。
『獅白杯』が格ゲーコミュニティをさらに活性化させる!
そして獅白さんは、自身が主催する『スト6』のイベント『獅白杯』第1回を開催することになります。
第1回の『獅白杯』は「初級~中級者」と「上級者」の2つのグループに分かれての、ダブルエリミネーション形式のトーナメントでした。
『獅白杯』最大の特徴は、第1回から公募枠があることでしょう。招待された選手だけでなく、『スト6』を配信している人で一定の条件を満たせば参加できる機会が与えられたのです。
CRカップ振り返り配信の中で、『獅白杯』第1回の開催の理由について「選手として大会出る楽しさを教えてもらったからさ、じゃあなんか大会開催する楽しさもさ、ちょっとさ、味わいたいなと思ったわけです」と語ります(1:15:55くらいから)。公募枠を作った理由としては、『スト6』を配信でやっているけど自分が知らないだけの人もいると思うので、向こうから来てもらったほうが早いだろう、という判断からだったと語られています(1:08:30くらいから)。
FPSゲームを頻繁にやっていた獅白さんは、以前から「コミュニティが盛り上がることの大切さ」を感じていたそうです。ゲームをしている人たちのコミュニティを見て面白そうだと思う人が参入してくれることで、ゲームそのものが活性化していく。当時の『スト6』は、まさにそういう状態でプレイヤー人口が増えているのだと感じたようです。
格闘ゲームのコミュニティに触れ、その楽しさを知った獅白さん。今度はコミュニティを盛り上げる側へと歩みを進めました。
2024年10月13~14日の『獅白杯2nd』では「中級の部」「上級の部」のさらに上の「超級の部」が設立され、プロの参加も可能になりました。
加えて、この前月にホロスターズの荒咬オウガさんが主催したイベントの出張版で「電流デスマッチ」も開催。ガチンコの試合だけでなく、お遊び要素ありのイベントマッチも開催されることになりました。これが『獅白杯』ならではの、もうひとつの魅力です。
2025年5月17~18日には『獅白杯3rd』が開催されました。強いプレイヤーが増えたこの時期にあわせ、「マスターの部」「グランドマスターの部」「レジェンドの部」とMR(マスターランク)にあわせたトーナメント形式に組み直されました。
加えて上位の部では「勝ち上がり枠」が用意されました。「マスターの部」で優勝した選手が、「グランドマスターの部」に、「グランドマスターの部」の優勝選手が「レジェンドの部」に参加できる、という仕組みです。下位ランクからのジャイアントキリングが起きるかもしれないこのルールによって、試合の白熱度は更にぐっと高いものになりました。
そして、エキシビションマッチ枠として「パネルデスマッチ」も開催。こちらはVTuber3人とプロゲーマーがチームを組んで4対4で対決する、ユニークな催しでした。チームリーダーとして参加したプロゲーマー・どぐらさんとかずのこさんの“どくかじゅてぇてぇ”なエピソードトーク(4:33:20くらいから)など、見所満載のエキシビジョンとなりました。
2025年10月18日には番外編として『獅白杯 東西対抗戦』が開催されました。こちらは獅白さんが西軍の大将に、同じくホロライブ所属のラプラス・ダークネスさんが東軍の大将になって争うもので、「団体戦」と「勝ち抜き戦」の2通りが用意されていました。
「勝ち抜き戦」はチームモードで、体力ゲージ、ドライブゲージ、SAゲージの持ち越しありで大将を先に倒したほうが勝ちというルールでした。ただ勝つだけではなく、次の人にゲージを回すためにどう立ち回るかなど、みんなで戦略を練るのも楽しいこのルール。力量差があっても全員がなんらか力になれるというのもあり、普段の試合と全く異なるエンタメ性が生まれ、参加者も視聴者も大盛りあがりでした。
獅白ぼたんの細やかな気遣いが、格ゲー界隈を更に盛り上げる
『獅白杯3rd』では選手として、『獅白杯 東西対抗戦』では実況として共演していたeスポーツキャスターのアールさん。長年多くのイベントで活躍してきた彼は自身の配信で、獅白さんについて「イベントの気遣いのこまやかさはね、ちょっとね、凄すぎる」「プロフェッショナルだなぁ」と、彼女の人間力の高さについて語っています(1:07くらいから)。
『獅白杯 東西対抗戦』のチームモードでのチーム戦について、アールさんはこう語ります(10:22くらいから)。
「ししろんは本当に、視野が広いよね。いろんな遊び方あるじゃんこのゲーム、っていうのを伝えようとしてくれている。しかも影響力がある人がそういうのをやってくれると、広がりが大きいからね。(中略)。影響力の強いししろんが『獅白杯』でやってくれるってところにもう、ありがたい。格ゲー界のみんな思ってるし、なんならカプコンの人も思ってるかもしれない」
獅白さんによる『獅白杯』は現在、VTuberファン、ストリーマーファン、格ゲーファンなど、あらゆる層の視線を集める一大イベントになっています。特にガチンコの試合の面白さも、おふざけ要素ありのエンタメとしての面白さも組み込むことで、初心者から玄人まで見ていて楽しめるものになっているのは大きなポイントでしょう。それぞれのファン層が、別の界隈の魅力に迫ることができるイベントへと深化しつつあるのも、見逃せない部分です。
『獅白杯』が『スト6』界隈、格ゲー界隈の盛り上がりに一役買っているのは間違いありません。それはイベントの企画の練り込みや、公募枠の設置などからもわかるように、獅白さんの“参加者もリスナーも皆に楽しんでほしい”という、こまやかな気遣いがイベントの隅々にまで行き届いているからです。
と同時に、獅白さんを励まし支えてきた、コーチ陣や格ゲー界の面々のことも忘れてはいけません。彼女が選手としてこのゲームに真剣に挑む楽しさを味わっていなかったら、コミュニティの温かさに触れていなかったら、途中で心折れてしまっていたら、今のこの『獅白杯』の盛り上がり自体が存在していなかったはずです。特に仲間やコーチ陣が手厚く、彼女に『スト6』の、格ゲーの楽しさを伝えようと尽力してきたからこそ、そしてVTuber界隈と格ゲー界隈がリスペクトしあえてきたからこそ、今の盛り上がりがあります。
『獅白杯オフライン』は会場に行けない人のために、配信も行われるそうです。参加できる人はぜひ現地に足を運んでみてください。参加できない人も家で試合を応援しましょう。その応援が、格ゲー界隈とVTuber界隈のさらなる盛り上がりにつながるはずです。
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