GAノベルから刊行されている大人気ライトノベル『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました』(以下『スライム倒して300年』)が、全30巻(!)で完結を迎えました。

画像:SBクリエイティブ

 いかにもライトノベルの魅力十分という感じの、登場人物の楽しいかけあいや仲むつまじい様子で大人気のシリーズなのですが、その面白さの理由には本文の軽快さのみならず、美麗なキャラクターイラストの良さもあることは論をまたないところでしょう。

 もともとライトノベルといえば、イラストがあって初めて完成するものとはいえ、『スライム倒して300年』の場合、特に本文とイラストの絶妙なマリアージュが物語を効果的に盛り上げている印象があります。紅緒さんが巧みに描き出すアズサやベルゼブブは、いずれもかっこよくてかわいく、「こここ、こうでなくっちゃ!」と思わず言葉に詰まるほどの美しさ。

 そして、30巻完結ということは、30枚のフルカラー表紙イラストがそろったことを意味します。このたび、作品の完結を記念して、「ねとらぼ」で“あなたが好きな表紙イラスト”のアンケートが行われることになったとのことで、今回いち読者として、作品評と合わせてその魅力を語らせていただきたいと思います。もちろん『スライム倒して300年』のファンであればお気に入りのイラストがあるかと思いますが、ぼくにだってあるんだぞ!(そこで対抗する必要ある?)。

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ライター:海燕

ジャンル横断エンタメライター。主にマンガ・アニメ・ゲーム・映画を題材に、読者が感じる違和感や評価の分かれ目を言葉にする記事を執筆。最近の仕事は『このマンガがすごい!2025』CLAMP特集、マルハン東日本「ヲトナ基地」連載など。
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『スライム倒して300年』、あなたはどの表紙イラストが好き?

 さてさて、そういうわけで『スライム倒して300年』とぼくらのレベル99最強魔女・アズサさんの魅力を語っていきましょう。

 まず、この作品のあらすじを簡単に語っておくと、あるとき、ブラックな環境で仕事をやりすぎて死亡してしまい(あるよね)、そこで転生を遂げ(まぁ、ある)、そのあと300年間ひたすらスライムを倒しつづける生活を送って、いつのまにかレベル99になってしまった(いや、ないだろ)「高原の魔女」アズサのスローライフ・ストーリーです。

 物語の冒頭の時点で、アズサはすでにレベルがMAXになっているので、ほぼほぼ最強です。というか無敵です。別段チートではなく、来る日も来る日も数十匹のスライムを倒していった結果として、いつのまにか強くなってしまっただけなのですが、普通の物語なら少しずつ成長していくプロセスをショートカットしていることになります。

 そのうえ、一人で家にひきこもってひたすら優雅に平穏な暮らしを続けていたわけです。……うらやましいですね。ぼくもそうしたい。

 しかし、そんな彼女のピースフルな毎日も、レベル99であることが世間に知れ渡ったことによって終わりを迎えます。自分が望んだわけではないものの、どういうわけか「世界最強」になったアズサのもとには、そんな彼女に挑もうとしたり彼女の助けを必要としたりする、さまざまな面々が押し寄せてくるのでした。

 そして、前世のこともあってか、明るくお人好しで人たらしで面倒見が良いアズサは、そんな人たちをどんどん受け入れていきます。この世界に一人も血のつながった人間がいない彼女にとって、その子たちは「娘」であったり、「妹」であったり、「姉」であったりすることになります。

 そう、どう見てもアズサハーレム――じゃない、家族です。ちょっと怪しい子も混じっていますが、家族なんです!

 『スライム倒して300年』は、そんなアズサを中心として、ドラゴンやらスライムの精霊やら、上級魔族のハエの王(!)やら、なかなかにファンタジーな出自を持つ少女たちが楽しいスローライフを送る物語です。

 途中、さまざまなイベントやトラブルはありますが、主人公が世界最強なので、安心して読めるシリーズといえるでしょう。たくさんの女の子がワイワイきゃぴきゃぴしている作品が好きな人には文句なしにオススメです。

 それでは、カバーイラスト30枚の解説というか、好みのイラストの話を少々。

 今回、この記事を執筆させてもらうにあたって、どのイラストも素晴らしくよく描けていることは前提として、どれが最も好きか、30枚の絵を並べてじっくり考えてみたのですが、まあ、ちょこんと座ったアズサがキュートにウィンクしている第1巻のイラストはちょっと別格というか、これがあって初めてシリーズがスタートするので除くとして、第12巻のイラストは特に好きかなという結論になりました。

第1巻 表紙イラスト(提供:SBクリエイティブ)
第12巻 表紙イラスト(提供:SBクリエイティブ)

 アズサと彼女の「妹」であるドラゴン娘・ライカが向き合っている構図で、2人の仲の良さが伝わってくるように思います。この作品の魅力は、アズサと周りの少女たち(年齢的にはおよそ数千歳だったりしますが)のハッピーなやり取りにあるので、やはり組み合わせになっているイラストは魅力的に映りますね。

 そういう意味では、アズサと2人の「娘」、ファルファとシャルシャが一緒に描かれている第5巻のイラストも良い。アズサは結婚していないけど「娘」がいるわけなのですが、ファルファとシャルシャは「母」に似たのか、とびっきり性格も頭も良く、その愛らしさがたまりません。

第5巻 表紙イラスト(提供:SBクリエイティブ)

 2人と一緒にいるときはアズサはそれだけで楽しそう。2人の「ママ」を満喫している印象です。

 で、その文脈でさらにいうとみんな大好き、ぼくらのハエの王ベルゼブブさんが表紙イラスト初登場を果たす第7巻も欠かせません。

第7巻 表紙イラスト(提供:SBクリエイティブ)

 アズサにとって、ベルゼブブは「お姉ちゃん」にあたる存在。“齢300歳のアズサにお姉ちゃん?”という気がするかもしれませんが、大丈夫、ベルゼブブは3000歳だから! さらに彼女の場合、性格的にも能力的にも十分に「お姉ちゃん」が務まるんですね。

 その他の表紙としては、ウェイトレス姿をしたアズサの背中に、同じ格好のライカが抱きついている第18巻のイラストなどはベリベリキュート。「高原の魔女」と「竜王」、この2人だけで世界を滅ぼせるのではないかというくらいのコンビなのですが、もちろん2人ともそんな気はないので世界は平和なままです。このお話がコメディでほんとうに良かったですね!

 そして、気になるのは最終巻となる第30巻のイラストです。アズサが光を受け、どこかへ去っていこうとしているようにも見えるこのイラストは、今までの29枚とはまた一風違った、どこか寂しい印象をかもし出しています。他のイラストとはまた異なる意味で、気になる1枚です。

 さて、そういうわけでどのイラストもたいへん魅力的ながら、ぼくの好みで何枚か取り上げて紹介させていただきました。もちろん、これをお読みの皆さんにも特別な1枚があることと思います。そういう方はぜひ、アンケートにご協力ください。どのイラストも紅緒さんの画力が冴えわたるものばかりなので、票は割れるかもしれませんが、ぼくもどのイラストにどんな感想が集まるのか楽しみにしています。

 今までたくさんの読者を楽しませたくれた物語に感謝を。そして、本を取り出してこれらのイラストを見れば、アズサたちはいつも笑顔でそこにいます。

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10月13日からStan Shotで最終巻刊行記念セレクトイラストグッズの販売もスタート

 完結を記念して、好きなイラストを選んで自分だけの公式グッズが作れるメモリアルコレクションがStan Shotで販売中です。販売期間は、2026年10月13日(火) 12:00 ~ 2027年1月13日(水) 23:59。詳細は公式Webサイトをご覧ください。