「GENJI」完成披露パーティは“和”で演出――神威アクションはSCEJの柱となるか?(1/2 ページ)

“和”で演出された「GENJI」完成披露パーティが5月25日、港区の八芳園で行われた。ゲストも多数駆けつけ、主題歌や初公開のCMなどが公開された。佐伯氏からのコメントも掲載。

» 2005年05月26日 03時45分 公開
[加藤亘,ITmedia]

 ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン(以下、SCEJ)は、岡本吉起氏率いるゲームリパブリックとのコラボレート第1弾となる「GENJI」の完成披露パーティを開催。静御前役で声優に初挑戦した香椎由宇さんが艶やかに色を添えた。

 「GENJI」は、プレイヤーが義経と弁慶の2人のキャラクターを使い分け、打倒平氏を目指し戦うアクション・アドベンチャー。義経・弁慶の史実をモチーフに、ゲームならではのファンタジー要素を加えた本作は、神秘の力を持つ石「天鋼」(あまはがね)を物語の軸とし、義経・弁慶と平氏(平清盛)との戦いが描かれる。

 なお、本作はゲームリパブリック名古屋分室が中心に開発が進められ、6月30日発売が決定している。価格は7140円(税込)。

開宴前の完成披露パーティ会場では、厳かに琴の音色が鳴り響く。「GENJI」では音楽は元より効果音でも“和”にこだわっている。今回のパーティも和を重視した演出が随所の施されていた

 パーティの幕が開くと、源九郎義経と武蔵坊弁慶に扮したアクターが、ド派手で迫力ある演武を披露。本作は義経と弁慶のダブル主役で、プレイヤーが任意に切り替え可能であることから、このような演出になった。

ちなみにこのアクションは、ゲーム中でも殺陣・モーション監督を担当した清家三彦氏の指導によるもので、出演されている方々もモーションキャプチャーなどに参加している

 演武のあとは、主催者代表としてSCEJシニア・バイス・プレジデントの桐田富和氏が「GENJI」完成について――「一昨年の9月に製作がスタートした本作は、先日マスターロムがあがり、今回の完成披露となりました。実は昨年の3月にファーストプレイアブルロムというのができまして、そのとき初めて「GENJI」をプレイしたのですが、まだPS2でもこんな表現ができるのだという強烈な印象を受けました。製作現場では大いなる挑戦を繰り返し、見事な作品として発売できる」と製作に関わったスタッフ・関係者に感謝と慰労の言葉を贈り挨拶とした。

岡本氏をゲーム業界の暴れん坊(私生活でも)と表現した桐田氏は、その完成度を製作側にいながらもハッとさせられたと明かす

 続いてゲームリパブリック代表取締役の岡本吉起氏が「GENJI」について――「元気のない日本のゲーム業界に喝を入れる、世界でも通じるゲームを作る、とカプコンを退社したのが2003年の7月1日でした。そしてちょうどぴったし2年目の今年6月30日に「GENJI」が発売になるということで、なにか因縁みたいなものを感じます。将来的にゲームリパブリックの、そしてSCEJの代表になるような作品だと自負しています」と自信を覗かせながらも、「2年前に会社を設立したときに、こうした場に立てるとは思ってませんでした。

こうしてこの場にいられるのもたくさんの方々の協力があってこそと思ってます。海のものとも山のものとも思えない私のためにありがとうございます」と製作にゴーサインを出した桐田氏や、関わったスタッフすべてに感謝の言葉を贈った。

岡本氏は「買ったユーザー誰しもがエンディングまで遊べるゲームを目標にしていたが、本作はそれができた作品。皆様にがっかりしたとは言わせない」と語る

 「GENJI」は、美術監修・キャラクターデザインに「ゼイラム」や「タオの月」の雨宮慶太氏。殺陣・モーション監督に「水戸黄門」や「魔界転生」でのアクション監督も手がける清家三彦氏。作曲は「PRIDE」や「東京湾景」などに楽曲を提供した高梨康治氏が担当している。また、オープニング・イベントムービーには「鬼武者」からの付き合いとなる白組が起用されるなど、各方面から多大なバックアップを受けている。

 次に岡本氏は「GENJI」のプロモーションを兼ね、先に話題にもした開発陣をステージに招いた。

左が岡本氏。右がディレクターの醤野貴至氏。歴史をベースにしながらも、持つ者に神秘の力を与える天鋼が重大な影響を与えたのなら、とゲームなりの解釈を加え、「歴史の裏には天鋼あり」と世界観を構築するに至ったと説明
左から背景ディレクターの高森聡之氏。キャラクターディレクターの喜多綱毅氏。そしてモーションディレクターの蟹江尚氏。

 背景ディレクターの高森聡之氏は「今回は“雅”がテーマ。平安時代は今より空気が澄んでいて映える色があると思う。自然の中の青色や、建物の朱色などの重なり、配色バランス、色調調整に気を配った」と背景へのこだわりを述べると、その色彩を押し出した背景に力負けしない存在感が必要だったと、キャラクターディレクターの喜多綱毅氏が雨宮慶太氏をキャラクターデザインに起用した内幕を語った。そんな雨宮氏のデザインワークの一部も公開された。

 最初からダブルキャストとして義経と弁慶が同等に用意されていることについて醤野氏は「義経がメインなのは当たり前だが、従者としての弁慶ではなく、対照的なプレイヤーとして表現したかった。義経の流れるような舞うような動きと、弁慶の寄せ来る敵をなぎ倒すなどの違いを表現したかった」と、プレイヤーに選択の幅を与えたかったとのこと。

 主人公の衣装については「平安時代のものをモチーフにはしながらも、大胆にアレンジした。2人の対比がシルエットの違いでも表れていますが、義経ならば動きが身軽ということで、たなびく髪の毛など実際に動いたときに映えるデザインを心がけた」と喜多氏がキャラクター制作について語った。

 ここで会場に来ていた殺陣師の清家三彦氏を舞台に招くと、清家氏は「ゲームの殺陣指導は今回がはじめてで、日ごろ人間を相手にしているだけに不安な面があった。だが、打ち合わせなどを通し、攻撃する側とされる側はどういった動きになるのか、どうかわすのか、さらにかわしながらどう反撃していくのかなど、細かく詰めてモーションを取り、それがゲームに再現され活かされているのを見るとすごく嬉しい」と

 本作は“神威”と呼ばれるウリとも言えるアクションが特徴だ。その神威について醤野氏は「ゲームでは自らが敵に向かい斬りかかっていってしまうことが多いが、映画などでは敵の攻撃をいなして攻撃するかっこよさを表現したかった」と解説。

 L1ボタンを押すことによって“神威”が発動すると、プレイヤーは敵の動きを読み取り一撃必殺の攻撃を切り返すことができるようになる。神威が発動した状態で、敵が斬りかかるタイミングに合わせ□ボタンを押すと一撃必殺、さらに天鋼が生み出した特殊空間内にいる敵をすべて倒せば「花」「鳥」「風」「月」の4段階で評価され、通常よりも多くの経験値を得ることができるほか、貴重なアイテムを得ることもできる。

神威発動の弁慶。敵の攻撃を待ち、それに合わせて□ボタンを押す
妙業寺での鵺と弁慶との戦い。うまくタイミングを合わせることができれば、「鵺の爪」という貴重なアイテムを戦闘中に得ることができる
同じく妙業寺屋根上での義経。身軽な義経と鈍重ながら力押しができる弁慶とキャラの使い分けで進むべき場所が変わったりする
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