ニュース
» 2005年09月01日 05時55分 公開

バンダイの戦略とベックの戦術 〜販社と開発のより良い関係〜CEDEC 2005リポート

2005年8月29日から31日の3日間、明治学院大学にて開催された「CEDEC 2005」において、バンダイの鵜之澤伸氏とベックの岡本吉弘氏による、次世代ゲーム機戦略を含むセッションが行われた。

[加藤亘,ITmedia]

 バンダイは基本的に30社にも及ぶ外部の製作会社を使い開発を行っている。だからといってバンダイに開発内製チームがないわけではない。それがベックだ。

 バンダイ常務取締役 ゲームソフトグループリーダー兼ビデオゲームカンパニープレジデントの鵜之澤 伸氏がビデオゲーム事業部に来た際、バンダイでなくても作れるゲームを作っていたという。バンダイはバンダイでなくては作れないゲームを作るべきと、キャラクターゲームに特化している。だからこそターゲットはおのずと明確化するのだ。アニメありきならば、そのアニメを見るコア層向けに“良質”なタイトルを発売する。

 バンダイのビデオゲーム事業部は50人。制作要員はわずか16人、4チーム制という少数で、年間70タイトルをリリースしている。これも前途したように、ベックという100人体制の内製チームと、それぞれの得意分野を活かした外製チームを持つからこそ可能なのだと内情を説明する。

バンダイの鵜之澤伸氏。バンダイビジュアルを経て、2001年ビデオゲーム事業部ゼネラルマネージャーに就任。1996年に例のPIPPINプロジェクトに部長として関わる。鵜之澤氏はPIPPINでの268億円の借金を、昨年度のビデオゲーム売り上げで消化したと明かす。「いざ会社としての借金がなくなると新たに穴を掘りたい気持ちになるのは不思議なもので」と会場を笑わせる

 バンダイは少数だからこそ、プロデューサーの定義がほかとは違うのだと鵜之澤氏は続ける。バンダイでは、クリエイターというより“商売人”であれとしている。制作ではなく、製作という意味でのプロデューサー制度を確立している。バンダイに入社した人間は、あくまでも玩具が好きなのであり、ゲームを扱いたいと配属される人間は希有なのだとか。そういう意味でも、せめて商売人でなくてはならないとも言えるのだ。

 バンダイも当然ながら次世代ゲーム機へのアプローチをしている。しかし、PS2でもそうだったように、あくまで発売2年後までは現有機と共存するというのが、バンダイの戦略だと語る。開発者はつい新しいものに飛びつきたがるが、バンダイがキャラクターゲームに特化し低年齢層を取り込んでいる現状では、現行機での販売が求められていると説明する。鵜之澤曰く「旧ハードの最後の刈り取りはバンダイの役目」なのだとか。

 さて、バンダイの内製チームであるベックだが、「機動戦士ガンダム めぐりあい宇宙」「機動戦士ガンダム ジオニックフロント」「機動戦士ガンダム戦記」などのほか、「機動戦士ガンダム ギレンの野望」シリーズ、「機動戦士ガンダム 外伝」シリーズ、「デジタルモンスター デジタルモンスター」シリーズなどを生み出しており、その組織体系に特徴があるのだと、続けて営業企画部 部長 制作プロデューサーの岡本吉弘氏が登壇する。

ベック営業企画部 部長 制作プロデューサー岡本吉弘氏。ベックでは開発室、CG制作室、サウンド制作室、そしてPS3プロジェクトという部門が営業企画部が統括している。近年では、「交響詩篇エウレカセブン」の企画・開発に携わっている

 特筆すべきは、バンダイではゲーム制作におけるプロセスに「評価版」を重視しているとのこと。あまり聞き慣れない評価版とは、ゲームを企画・開発するにあたり、実質の開発が始まる前に、あらかじめそのゲームの特徴を知るために、いわばパイロット版を製作することになっている。その利点は、ゲームの内容を企画書で理解しても、実際目で見たほうがわかりやすいし、取り返しが付かなくなる前に対処できる。そして、その開発元が予算とスケジュールをちゃんと間に合わせることができるかもわかるのだという。

 ゲーム自体のスタイル(狙い)がちゃんと確立しているか。それがゲームとして成立しているか(おもしろいか)。精度の高い作業コストやスケジュールの見積ができているか、またそれは適正か。ROMに搭載されていない仕様が明確になっているか。その時の(ゲーム的な)流行を取り入れているか。意志を持った作品であるか、など、例え企画が通ってもこれらの要項に沿って開発元は「評価版」を製作しなくてはならないのだ。

 バンダイとベックは切っても切れない蜜月関係と言える。“身内だからこそ”できなくてはならないこともあるのだと結ぶ。バンダイとベックはうまくリレーションが取っていくためには、お互い足りないところを補完しあわなくてはならない。集団合議制がいかに不毛で、企画をダメにするか思い知ったと語る鵜之澤氏は、プロジェクトにおける「事情」や「都合」を排除し、迅速で正確なコストとスケジュールの元、“一瞬で心をつかむ”ものを作らないといけないとのこと。「いい作品は数秒で伝わるもの。瞬間で心をつかまれないものに、いいものなどないんです。CMは大体15秒、長くて30秒の間にそれがなんなのかを伝え、なるほどと思わせているように、ゲームだって瞬時に伝わらないものでないと売れないんです。説明に5分もかかるようなゲームは売れません」と語った。

 ベックは営業企画部の下に「PS3 GUNDAM project」という組織を編成している。ベック内部でもっとも技術力が高い「研究開発室」をベースに、ハイクオリティ映像を提供できる「CG開発室」が参画。各開発室から選りすぐりのゲームプログラマとプランナーを加え、最高峰の体制を作り上げている。今年5月に北米ロサンゼルスで開催されたE3で上映された「機動戦士ガンダム」の出展映像や、7月に催されたPSミーティングで場内を驚かせたプレイアブルデモを制作しており、東京ゲームショウ2005でも経過ROMを出展予定とのこと。

 現在構成人数は40人ほどだが、近々増員しさらなる開発を進めていくとのこと。バンダイは、そしてベックは独自の“らしい”企画・開発体制を維持し、次世代機の世も生き残りをかけて模索していく。

「デジモン」最新作をちょっとだけ映像公開。こちらももちろん「評価版」を製作し課題をクリアし、「製品版」開発に着手しているという

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2311/06/news020.jpg 柴犬「友達〜!!!」 お母さんの寝坊で散歩が遅れた柴犬、ワン友に会えず……→怒りMAXの拒否柴発動に母「スマン……」
  2. /nl/articles/2311/06/news041.jpg 素潜りでイソマグロを突いたら海に引きずり込まれ…… 水深25メートルの激闘が100万再生「怖い」「磯のダンプカー」
  3. /nl/articles/2311/05/news045.jpg カナダ留学中の光浦靖子、得意の手芸でまたしても力作を生み出す 「クオリティ高すぎ」「もープロですね」
  4. /nl/articles/2308/06/news018.jpg 柴犬がプールからあがろうとした瞬間……! 「何回見ても爆笑」「好きすぎる」コントのようなずっこけハプニングが発生
  5. /nl/articles/2311/06/news047.jpg 隣家にいった飼い主、ふと視線を感じると柴犬たちが……? じーっと監視するワンコきょうだいの圧に爆笑
  6. /nl/articles/2311/06/news117.jpg 「スト6」フランス大会決勝、モニターにペンキで中断 環境団体乱入で
  7. /nl/articles/2311/06/news068.jpg 村重杏奈の“最強遺伝子”な弟、7歳バースデーお祝いに黄色い声 姉とうり二つな姿に「幼さが抜けて更にイケメン」「可愛いしカッコイイ」
  8. /nl/articles/2311/04/news008.jpg 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. /nl/articles/2311/04/news016.jpg 突然現れた痩せて汚れた野良猫、「ごはんくだちゃい」と訴えてきて…… 距離が縮まっていく姿に「涙が出ます」と100万再生
  10. /nl/articles/2311/05/news052.jpg 「ここはあんたが座る席じゃないよ」 末期すい臓がんの叶井俊太郎、優先席に座るも高齢者から非難 妻・倉田真由美が明かす
先週の総合アクセスTOP10
  1. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  2. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  3. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!
  4. 「BreakingDown」出場の元プロボクサー、5人から一方的に暴行される 顔面数針縫うも「私は1発も攻撃してません」
  5. 「頭が大きい」「普通ではない」 パリス・ヒルトン、9カ月長男の受診勧めるコメントにぴしゃり「世の中には病んでる人がいるみたい」
  6. 「最期の最期まで闘って」 元「妄想キャリブレーション」水城夢子さん、27歳で病死 2年前には“しばらく療養が必要な病状”で休止
  7. 3児の母・杏、異次元スタイルのパンツスーツ姿が衝撃的 目を疑う脚の長さに「身長の半分股下」「えっ! 本当!? っと思っちゃうくらい」
  8. 志穂美悦子、68歳バースデーに鍛えられた筋肉バキバキの肉体美披露 「いろいろやりたいことがある」「まだ見ぬ自分へ」
  9. 柴犬と父のやりとりに「20分これ見て爆笑してます」「気持ちよすぎるいい返事」 お笑いコンビを超える関係性が100万再生
  10. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 病名不明で入院の渡邊渚、3カ月ぶりSNS更新で「表情に違和感」「そこまで酷い状況とは」 ベッド上で「人生をやり直すこともできません」
  2. 動かないイモムシを助けて1年後のある日、窓の外がありえない光景に 感動サプライズが「アゲハ蝶の恩返し」と話題
  3. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
  4. 「千鳥」大悟、大物美人俳優にバッグハグされた表情に注目集まる 「マジ照れのお顔ですね」「でれでれやん」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 神田愛花アナ、拡散された女子中学生時代ショットにスタジオ騒然「ヤバい」→“アネゴ感”でSNSもざわつく
  7. 「生きててよかった」 熊谷真実、美麗な初“袋とじ”グラビアで63歳の色気全開 真っ赤なドレス着こなす姿に「すごいプロポーション」
  8. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  9. 双子モデル・吉川ちえ、美容整形後のひたいが“コブダイ”状態へ 多額の費用要した修正手術で後悔も「傷がこんなに残りました…」
  10. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!