“直感”と何が違うのか――良質パズルゲーム「通勤ヒトフデ」は電車のお供に:レビュー(2/3 ページ)
そんな本作の特徴は、なんと言っても365面という膨大なステージ数を備えた“毎日ヒトフデ”モードだろう。毎日、通勤電車の中で1問ずつ解くことを前提に作られており、本当に実践すれば、みっちり1年間遊ぶことができる。とはいえ、通勤時間も差があるはずなので、人によっては1日に10問や20問進んでしまうかもしれない。もちろんそれでもOKで、早い人ならば1週間程度で全面クリアできるかもしれない。そのほかにも、ランダムに選び出された問題をいかにして早くクリアするかというタイムアタックモードと、自らが考案してステージを作れるエディットモードが用意されている。さらに、パスワードを入力することで、直感ヒトフデで作ったステージを本作でプレイすることも可能だ。
純粋なパズルゲームになり、新しいおもしろさが加わった
本作の一番大きな変更点といえば、前作までのアクション性がほぼ皆無になり、考える時間が無制限になったこと。前作メインのチャレンジモードは、次から次へと上から降ってくるピースを絶え間なく消すという、正確な操作とスピード、直感が要求されるモードだった。本作にはそれがなくなり、毎日ヒトフデならば、どれだけ時間をかけても良くなったのだ。1問に1分だろうと1時間かけようと、それはプレイヤーの自由。
しかも、何度間違えてもやり直せるだけでなく、リトライすると直前になぞったラインをそのまま残してくれる。これがとても便利で、失敗した部分まで手順を戻し、別の道順を見つけてラインを引くことが出来るようになっているのだ。正しい部分はそのままに、間違ったところだけを考え直せるので、パズルゲームが得意ではないという人でも、次第に慣れていくだろう。逆に、パズルゲームは好きだけれども、前作のようにアクション要素が入っているとダメ……という人には、本作のシステム変更は朗報といえるかもしれない。
さらに、一度クリアしたステージは、もう一度選ぶと2種類の条件が表示されるようになっている。1つはステップ数で、もう1つが始点と終点。ステップ数はカーソルを動かす数で、指定されたステップ数でクリアすれば条件を満たしたことになる。始点と終点はその名の通り、印のある部分からスタート&ゴールすればいい。ところが、これらの条件を満たしてクリアしようと思うと、今まで考えてきた方法ではうまくいかないことが多いのだ。そのため、一度はクリアできたステージにも関わらず、もう一度頭を悩ませることになる。が、見事に条件を満たしてクリアできれば、その満足度はかなりのもの。思わず作った人間に「みたか!」と言いたくなってしまうほどだ。
また、前作にはなかった特殊ピースが、いくつか追加されているのもうれしい配慮。最初はどんな仕組みで動くのかよく分からなかったが、やり込むうちに少しずつ理解できていくため、非常にクリアしがいがあるのだ。特に、特殊ピースがたくさんある面を一発でクリアできると、心の中でガッツポーズを作ってしまうほどうれしくなれる。中でも、消すとその上に乗っていたピースが落ちて来るというコテイピースを上手に使えると、落ちものパズルで言うところの一種の連鎖が見られるので、かなり壮快。反対に、フィールド上で通せんぼの役目を任されているハードルピースが出てくると、反射的に顔を背けたくなってしまう。これがあるステージは情けないことに、かなり頭をひねらないとクリアができなかったのだ。
とはいえ、これらの新ピースが加わったことで、パズルゲームとしてのヒトフデは、より魅力がアップしたことは間違いないだろう。この手の特殊ピースが増えすぎると混乱を起こすが、適度な数であれば頭の回転を促進してくれるというもの。しかも、毎ステージに登場するわけでもないので、途中で飽きることもなかった。
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