“エブリパ”でオンラインデビューすることは、この上なく幸せなことである「エブリパーティ」レビュー(1/4 ページ)

見ず知らずの人とオンラインでゲームをプレイするのは、どうも気後れがしてしまう。思い浮かぶのは、ゲームの上手い人ばかりが集まるマニアックなムード。自分など相手にもされないのでは……。そんな不安感を、このゲームが拭い去ってくれる。勝ち負けにとらわれず、オンラインでもオフラインでも「ああ、楽しかった」という気分になれる“エブリパ”って、感嘆に値するほど素晴らしい。

» 2006年01月12日 12時00分 公開
[小泉公仁,ITmedia]

取っつきやすく、飽きのこない新機軸のボードゲーム

 2005年末に日本でも発売されたXbox 360では、旧Xboxの不振を考えてか、著名な日本人クリエイターによる日本市場向けタイトルの強化にも注力している。本体と同時発売になった「エブリパーティ」も、その1つだ。開発は、元カプコンの岡本吉起氏率いるゲームリパブリック。ストリートファイターシリーズなど数多くのヒット作に関わった事で知られる氏が、Xbox 360の第1弾にボードゲームタイプの作品というのはちょっと意外にも思える。グラフィック性能に長けるXbox 360なので、見た目やゲーム性で派手なものが用意されるものと想像していただけに、意表を突かれたような感じだ。

 その意図するところは、プレイするにつれて次第に読めてくる。エブリパーティのコンセプトは、「年齢、性別を問わず、すべてのユーザーが気軽に楽しめる」ということだったが、本当にそうなのだ。操作もルールも至って明快で、ややこしさを感じさせる部分がなく、とにかく取っつきやすい。それでいて戦略性が要求される一面もあり、数時間ほどのプレイで飽きられるような内容になっていない。Xbox 360が旧Xboxユーザー以外の層にも受け入れられるためには、こういうタイプのゲームも必要との判断が働いたものと思う。

画像 Xbox 360のローンチタイトルとして発売された「エブリパーティ」。“パーティゲーム”というジャンルを掲げたボードゲーム風の内容で、年代を問わずにプレイしやすい作りが特徴。これまでのXbox陣営では、あまり見られなかったタイプのゲームだ

“ほのぼの和み系”に見えて、実はかなりシュール?

 エブリパーティでは、キャラクターデザインに「ちびまる子ちゃん」などでおなじみのさくらももこ氏を起用し、ゲームオリジナルのキャラクターに加え、「神のちからっ子新聞」(ビッグコミックスピリッツで連載中)のキャラクターも多数登場することが見どころのひとつ。人物の性格や外見をやや誇張気味に表しながら、身近にいる誰かを思い起こさせるあたりが彼女の描くキャラクターの魅力と思うが、注目したいのは、原作の持ち味を崩さずにキャラクターを3D化していること。3Dポリゴンで描かれたキャラクターは、どの角度から見ても違和感がなく、紛れもなく“さくらももこキャラ”として成立しているのが見事だ。

画像 さくらももこ氏デザインによる個性的なキャラクターが、ゲーム中に数多く登場することも“エブリパ”の魅力。3Dポリゴンを用いながら、さくらももこキャラならではの持ち味がきちんと再現されていることに注目

 この味わいあるキャラクターに加え、街並みもどこか懐かしさを感じさせる雰囲気で、ビジュアルからはほのぼのとした印象を受ける。が、そのビジュアルが醸し出すイメージとは裏腹に、ストーリーはかなりシュール……。笑いを誘うというより、ある種の脱力感を伴う展開がやたらおかしい。

 そのストーリーは、1人用モードの「おはなしすごろく」の中で楽しむことができる。舞台は「神力子市」(じんりきこし)という町で、見るからにありふれていて何の特徴もないところだが、住人たちにはどことなく活気がない。そこに降り立った主人公(プレーヤー)が、ある老婆からなぜか“救世主”と称され、困っている市民たちの手助けをする羽目に。といっても、依頼というのが「スーパーの特売でメロンを買ってきてくれ」だの「自動車教習所で待つ人に届け物をしてくれ」だの、どう見ても“救世主”向きじゃない。そんな任務を押しつけられた主人公は、すごろく風のマップを巡って、誰よりも早く目的地に到達しなければならないのだ。

画像 モードは全部で6つ。このうち、「おはなしすごろく」は1人プレイ専用のモードで、ストーリーに沿って様々なマップをクリアしていく
画像 物語は、主人公(プレーヤー)が電車で“神力子市”にやってきたところから始まる。そこで出会ったナゾの老婆から、「アナタは、この街を救う救世主なのですじゃ!」と言われ、悩みを抱える市民の手助けをすることになるが……
画像 最初の依頼は、この怪しいおじさんに請われて、スーパーに行ってメロンを買ってくること。メロンにただならぬ執着を見せるおじさんが、シュールすぎてちょっとコワイ……
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/14/news189.jpg 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  4. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  5. /nl/articles/2411/15/news016.jpg 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  6. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  7. /nl/articles/2411/15/news009.jpg 高2のとき、留学先のクラスで出会った2人が結婚し…… 米国人夫から日本人妻への「最高すぎる」サプライズが70万再生 「いいね100回くらい押したい」
  8. /nl/articles/2411/15/news058.jpg 「腹筋捩じ切れましたwww」 夫が塗った“ピカチュウの絵”が……? 大爆笑の違和感に「うちの子も同じ事してたw」
  9. /nl/articles/2411/14/news023.jpg “膝まで伸びた草ボーボーの庭”をプロが手入れしたら…… 現れた“まさかの光景”に「誰が想像しただろう」「草刈機の魔法使いだ」と称賛の声
  10. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた