ファンタジーなのにヘルメット魔界塔士Sa・Ga:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
ファンタジー世界から新宿へ
システム面だけではなく、シナリオのほうもすごかった。携帯機ゆえにデータ容量も決して高くないが、マップを狭く感じさせないように工夫されている。
まず大きな工夫は、冒険の舞台を大きな塔にしたことだ。
塔を中心にして、4つの世界が階層立てになっている。それぞれの世界はあまり広くはないが、塔を中心にした世界の全体像を思い浮かべれば、上のほうの世界は空中に浮かんでいるわけで、広くなくても違和感はない。
この塔の上には、楽園が存在するという。モンスターが現れ、すさんできた世界から抜け出すため、塔を昇っていくのがこのゲームの目的だ。
4つの世界では、塔への入口に封印がほどこされており、そのままでは上の階に進めない。プレイヤーはそれぞれの世界で、封印を解くクリスタルを探すことになる。
1階の「大陸世界」では、3人の王が持っている剣、よろい、たてを入手するのが当面の目的。
ここで出てくる玄武は、四天王の1人。四天王は4つの世界をそれぞれ支配しており、クリスタルを手に入れようとする主人公たちと対立する。
「海洋世界」では、まず地下のダンジョンを通って、動く浮島を探す。見つけたらそれに乗って海を移動する。最後は海底に潜む、四天王の青龍を倒す。
「空中世界」では、四天王・白虎を倒そうとするレジスタンス勢力が存在する。主人公たちは白虎の配下となり、レジスタンスと戦うふりをして、白虎を倒すすきをうかがう。フィールドを高速で移動できる乗り物「グライダー」が登場。
「都市世界」は、それまでとは違う、異色ずくめの世界となる。
まず舞台がいきなり、荒廃した未来世界である。しかも町の名前が“アメヨコ”、“アキバ”、“シンジュク”といった、東京の地名。
外を歩いていると、四天王の朱雀が自ら襲ってくる。シルクハットの男が助言したとおり、この時点では倒せないので、逃げたほうがいい。
どうにか町にたどり着き、朱雀を倒そうとしている暴走族(!)と協力。朱雀のバリアを破る装置を作るための部品を探す。
防具もこの世界観に合わせて、「バトルスーツ」や「アライのメット」が登場。
ゲームボーイの先入観を打ち崩す
魔界塔士Sa・Gaのシナリオの白眉は、実はクリスタルを4つ集め終わったその先にある。
四天王を束ねるアシュラを倒すため、さらに塔の上へと歩いていくのだが、その途中にはさまざまな部屋がある。死体の転がるシェルターや、死んだ冒険者たちの記録が残る部屋。
4つの世界以外の場所は、ゲームのシナリオに直接関係がなく、行かなくてもゲームはクリアーできる。しかし、そういう場所をあえて設けたことで、背景世界に“深み”が増しているように思う。
それまでのRPGではあまり見られなかったような、重々しい空気が漂っているのだ。
「アシュラの破壊活動のおかげで大儲けしている会社」なんてのも、ストーリー上必要のない場所だが、ここを見た後、別の場所で多くの人々が死んでいるのを目にすると、やりきれなさを感じてしまう。
現実の戦争でも、これに似たケースがよく報道される。現代の人にこそ見てもらいたい場面だ。
ストーリーは、アシュラを倒した後、プレイヤーの誰もが驚くような展開を見せる。携帯ゲーム機のRPGとは思えないくらいの、壮大かつ思い切った展開である。
もっとも、このゲームの世界全体が、携帯ゲーム機のRPGならではの狭い世界だからこそ、こういう展開になっても違和感が感じられないのかもしれない。
終盤のダークな雰囲気といい、壮大な展開のストーリーといい、「ゲームボーイのRPGなんだから、そんなに大したことは、やってこないだろう」という、プレイヤーの先入観を見事に裏切ってくれる。
もしかしたら、河津秋敏氏をはじめ、制作スタッフの皆さんは初めから、ゲームボーイというゲーム機に対する先入観を打ち払うために、魔界塔士Sa・Gaを作ったのではないだろうか? そんな気すらしてしまう。
少なくとも、このゲームを作るにあたって、「ハードの性能に限界はあっても、作るゲームに限界はない」というような信念は持っていただろうと思う。
翌年(1990年)に発売された「Sa・Ga2 秘宝伝説」も人気が高い。
成長システムは一部変更になり、人間は「ファイナルファンタジーII」のように、使った能力が成長するようになった。また、アイテムを装備してパワーアップする、“メカ”が新たに登場。
9つの世界で秘宝を集めながら、主人公の父親を探すのが目的。世界の中には「大江戸」なんてのもあって、世界観がファンタジーにとどまらないのも前作同様だ。
「Sa・Ga」シリーズはその後、「時空の覇者 Sa・Ga3」を経て、スーパーファミコンの「ロマンシング サ・ガ」に移行する。ただし「ロマンシング サ・ガ」は、確かに同じ河津秋敏氏の作品ではあるが、コンセプトが違うので、元の「Sa・Ga」とは別のシリーズと考えたほうがいいと思う。
携帯用ゲーム機の「Sa・Ga」シリーズは、以降発売されていない(2002年に魔界塔士Sa・Gaが、ワンダースワンカラーに移植されているが)。
今、ニンテンドーDSがめちゃめちゃ売れてることだし、スクウェア・エニックスさん、DS向けに「Sa・Ga4」を作ってみるのはいかがでしょうか?
|
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
-
サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
-
「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
-
「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
-
「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
-
【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
-
授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
-
高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
-
小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
-
考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
- 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
- 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
- チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
- 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
- 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
- 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
- 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
- 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」