これまでのシリーズをいいとこ取り――珍しくも中身はしっかりしたドット絵RPG「イリスのアトリエ グランファンタズム」レビュー(2/3 ページ)

» 2006年07月07日 15時09分 公開
[篠崎薫,ITmedia]

バーストモードとスキルで展開される派手な戦闘

 戦闘シーンは、イリスのアトリエシリーズおなじみの、サイドビューで展開される。上部には、カード形式で自キャラと敵キャラが行動順に表示されているので、とても分かりやすい。今回の新要素となるのは、画面左下にある「バーストゲージ」だ。敵を攻撃すると増えていき、MAXまでたまるとバーストモードが発動する。すると、相手が一時的にダウンした状態になり、味方が優先的に攻撃できるのである。さらに、与えるダメージも格段にアップするので、強敵でも労せず倒すことが可能だ。

photo バーストゲージは、相手に「Weak」と表示されている攻撃ならば、一度に2増える。反対に「Regist」と書いてあった場合は、2回の攻撃で1増える。それ以外は、1度の攻撃で1ずつ増加する仕組みだ
photo バーストモードに入ると、敵の頭上に★が回り自動的に順番が後回しにされる
photo それまでの10倍近いダメージを与えられるので、一瞬で勝負が付くことも多い

 マップ上には、通常よりも格段に大きいシンボルが配置されている場所があり、そこに出現する敵はタフな場合が多い。そのような相手でも、バーストモードになってしまえば簡単に倒せるのだ。もちろん、それよりも強いボスクラスの敵になると、一度バーストモードになっただけでは倒せないほどのHPとしぶとさを持っている。この時、今回加わったもう1つの要素「ブレイズ」の出番となる。

 これは、通常のRPGで言うところのジョブ(職業)で、シリーズではおなじみのマナたちを集めることで、新しいブレイズに就くことができる。各ブレイズには、行動が素早かったり攻撃力が大きいなどの特徴がある。それらを見極めて、状況にあったものを選んでいくことになるのだ。なお、各ブレイズとも6つのスキルが用意されていて、戦闘で勝利すると得られるブレイズポイントを稼ぐことで、1つずつマスターしていく。最後の1つを覚えるのはなかなか大変で、さりげなくやり込み要素も入っているのだ。長く遊べる要素が多いのはうれしい限りで、このような試みは大歓迎したい。また、どのスキルも派手なので、見ているだけでも楽しいものだ。

photo 大きなシンボルは強敵の証。あらかじめ、HPを回復させてから戦いに挑みたい
photo ブレイズはマナの数だけ存在する。マナは、イベントなどで仲間になるので、取りこぼしすることはないだろう
photo この画面で、ブレイズをチェンジする。右に書かれているのがスキルで、すべてを覚えるには何度も戦闘を繰り返す必要がある

photo スキルポイントの残り数値には注意。0のまま強敵との戦闘に入ってしまうと、苦戦することもある

 覚えたスキルを使うには、画面右上に表示されている「スキルポイント」が必要となる。これは、敵を攻撃するか時間の経過とともに増えていくので、それほど深く考えなくても良いだろう。各種スキルにはそれぞれ消費ポイントが決められているので、その分をためてから戦闘に突入すると、簡単に勝負をつけられる。さらに、バーストモードに入ればスキルポイントが自動的にMAXの9になるため、大量にポイントを消費するスキルでも遠慮なく使える。これにより、バーストモードの存在感が増していると言えるだろう。

レシピを発見して調合のバリエーションが増やせるシステムが秀逸

photo レシピを増やす方法は、実にさまざま。錬金術師レベルが上がるとレシピを思いつくというのは、これまでになかった

 おなじみの調合に関しては、今回も豊富な要素が用意されている。調合に欠かせないレシピは、宝箱などから見つけてくる方法に加えて、材料を入れ替えると自動的にひらめくものと、錬金術師のレベルが上がった時に思いつくものの3つがある。

 材料を入れ替えて新しいアイテムができるときは、カードにイリスマークが表示されるので一目瞭然(りょうぜん)だ。調合するたびに新発見があるので、飽きずに楽しめる。また、錬金術師レベルが上がった時に思いついたレシピは、街や異世界で見かけるイリスマークに触れるとイベントが発生し、自動的に具体的なレシピに書き変わる。これで、さらなる新アイテムが作れるようになるのだ。

photo 思いついたレシピは、街や異世界のイリスマークに触れると具体的な内容に変わる。あちこちを探索して、全部見つけたい

 ただし、イリスマークはどこに表示されるのか分からないので、一度クリアしている異世界でも足を運ぶことになる。ただし、これが意外に面倒ではない。調合の材料は主に異世界で拾い集めるので、そのついでにイリスマークを探し回ることができるからだ。この辺りのバランスは非常にうまくできていて、後述するクエストと絡めての回収作業も行えるため、苦にならないのがいい。

 ちなみに、用が済んだらメニューから「街へ戻る」を選択すれば、いつでも街へ帰れる。時間ギリギリまで粘ってアイテムを取りまくるのも良いし、さっさと帰るのもありだ。また、異世界には所々に湖があり、そこでは「釣り」が楽しめる。操作方法は簡単で、左右に動く目印が「SUCCESS」のところに来た時に、○ボタンを押すだけ。これでゲットできる材料もあるために、ついつい熱くなってプレイしてしまう。

photo 特定のポイントで○ボタンを押すと、エッジがおもむろに釣り竿を垂らして釣りを始める。タイミングを合わせて○ボタンで、魚やモンスターを釣り上げられるのだ

 魚だけでなく、定番の長靴や、時にはモンスターを釣り上げることもあるので、なかなか飽きがこない。異世界での残り時間を釣りに費やすこともできるので、スタイルに合わせて余暇を過ごせるのだ。ストーリーは1本であるものの、途中の自由度が幅広いので、非常に好感が持てた。

 このように、新アイテムを作り、錬金術師レベルを上げれば、ドンドン冒険が楽になっていく。これこそが、錬金術RPGである本作の醍醐味と言えるだろう。残念なのは、イリスのアトリエシリーズではおなじみとなっていた、マナ調合がなくなってしまった点だ。一度材料から調合してしまえば、あとはマナを稼ぐだけで、どこでも調合できたのは便利だったのだが、それがアイテムの価値を下げたと判断されたのだろうか?


photo セーブとロードができるのは自室のみ。旅先にセーブポイントはないので、回復薬を用意するなどの事前準備は念入りに

 また、セーブが自室でしかできなくなったのも大きく変わった部分だ。その分、冒険中の行動に慎重さが求められるので、5作目までの雰囲気に近づいたと言える。昔のアトリエシリーズが好きだった人には、朗報となるかもしれない。個人的には、セーブポイントがないことで自由に止められなくなったのが厳しいと感じたので、代わりに中断と再開をつけてほしかった。

(C)GUST CO., LTD. 2006 / Character designed by Gust / Illustration:双羽 純

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