美少女ゲームと美少女フィギュア。この食い合わせは悪くない「ディアピアニッシモ」レビュー(1/2 ページ)

ノベルとミュージックアクションゲームを融合させた新機軸ゲーム「エンジェリックコンサート」、「シンフォニック=レイン」に続く、新たな作品「ディアピアニッシモ」。フィギュアの中にゲームという新企画を実現させた本作は、新たな風を巻き起こすか。

» 2006年08月08日 14時43分 公開
[雛見沢秀一,ITmedia]

ゲームデータはぴあのたんに詰まっているのだ

 「エンジェリックコンサート」、「シンフォニック=レイン」という、アドベンチャーゲームにリズムゲームを融合させた「ミュージックアクションゲーム」で、着実にファンを増やしてきた工画堂スタジオ。その新ジャンルに、約2年ぶりの新作「ディアピアニッシモ」が登場する。

photo こちらはゲーム中に登場するぴあのたん。実際のフィギュアは、全長約13センチメートルほどのサイズだ。製作を担当しているのは大手フィギュアメーカーの「ユージン」

 本作の大きな目玉は、パッケージがCD-ROMではなく、“かわいい女の子のフィギュア”ということだろう。「音の妖精ぴあのたんフィギュア」のUSBメモリ(128メガバイト)にゲームデータが内蔵されており、フィギュアをPCに接続してゲームをインストールする、という仕組みになっているのだ。

 フィギュアとして鑑賞でき、さらにUSBメモリとしても機能する「ぴあのたんフィギュア」は、実用性のある合理的なアイテムといえる。彼女を眺めながらゲームを楽しむのも良し、バッグのお供にして一緒にお出かけするも良し。ゲームのパッケージにまで萌えられる時代に、筆者は個人的に大満足である。

 なお、フィギュアとゲームのコラボレーション企画「Music Angel Collection」の第1弾という位置づけである本作だけに、今後ももしかしたら同様の形態のゲームが登場する可能性があるかもしれない。筆者はこのフィギュアをUSBメモリとして活用したいので、次回があれば、もう少し容量を大きくしてほしいと思う。

ノベルとリズムゲームが恋をした

 ゲームの内容について触れていこう。本作は、リズムゲームが楽しめる「ミュージックパート」と、アドベンチャーゲームである「アドベンチャーパート」の2つで構成されている。ストーリーがアドベンチャーパートで語られ、物語の重要な局面でミュージックパートに切り替わるという感じだ。

photo ミュージックパートはもはや別ゲーム。音符に描かれたキーを、タイミングよく押していく

 ミュージックパートでは、五線譜に見立てたウィンドウ上を、右から左に音符が流れてくる。音符にはアルファベットが書かれており、左側にあるワクの上に音符が来たタイミングに合わせて、対応するキーボードを押すというシステムだ。

 タイミング良くたたければ、それだけ上手に曲を演奏することができ、逆にタイミングを見誤ると残念な演奏になってしまう。操作にキーボードを使うため、イメージ的には鍵盤をたたいているような楽しさとともに、うまくプレイできればまるで音楽家になったかのような気分を味わえるだろう。


photo 成功すると、どんどんスコアが加算されていく。ミスすると、画面右側にいるぴあのたんがずっこける

 ミュージックパートは全部で5つあり、それぞれで違う曲が楽しめる。ちなみにヴォーカルは、TVアニメ「涼宮ハルヒの憂鬱」の朝比奈みくる役などで知られる、声優の後藤邑子さんが担当。あの、おっとりした歌声を堪能できるのも本作の魅力だ。

 美少女たちとの交流とともに、ミュージックパートで演奏が楽しめる。美少女ゲーム好きで、しかもミュージックアクションゲームが大好きな筆者にとっては、ストライクゾーンド真ん中なゲームである。また、いち早くミュージックパートを楽しみたいというユーザーのために、メニューには「フリープレイ」というモードを用意。このモードはその名の通り、ミュージックパートだけを遊べてしまうというもの。これは今すぐ遊ぶしかない! というわけで、さっそくチャレンジしてみた。

なんだか強烈に難しいような

photo イージーでは使用するキーも格段に少なくなる。逆にハードは音符の数が多く、16分打ちも出てくるため、クリアーするのはかなり難しい

 フリープレイを開始して1時間。さすがは工画堂スタジオというべきか、今時の萌えなイラストとは裏腹に、ミュージックパートはかなり強烈な難易度を誇っているのだ。例えば、音符に対応したキーをうまく押すためには、ある程度のタッチタイピング能力が求められる。タッチタイピングがあまり得意ではない筆者がチャレンジ……見事に玉砕! ちょっとやそっとできる程度では、軽くあしらわれてしまう。さらに音符が流れてくるスピードが早く、慣れていないと目が追いつかない。音符が流れる速度を変更できれば、ちょっとは善戦できたかもしれないが……。

 では、タッチタイピングができないと遊べないのか? そういうワケでもない。難易度はイージー、ノーマル、ハードの3つが用意されており、使用するキーの数が大きく増減するのである。ノーマルでは“ちょっとお手上げ”と感じる人は、まずはイージーから慣れていくのが良いだろう。

重いテーマを重いと感じさせないシナリオ

 フリープレイで一通りの練習を終えたら、いよいよ本編をプレイ開始。と、その前に本作の大まかなストーリーをかいつまんで紹介しておこう。

 主人公シュウは、バイト中にナギという女の子と偶然知り合う。だが、2人とも事故に巻き込まれてしまい、命を落としてしまう。死んだはずの2人が目を覚ました場所は、現世と幽世の狭間に存在する学園「コンサヴァトリ」。この世界で開かれる1対1の対決式音楽コンクール「レコンコルソ」で勝利すると、なんと現世に戻る。つまり生き返ることができるのだ。

 だが、シュウの対戦者は、一緒に命を落とした女の子であるナギ。自分がコンクールで勝てばナギが死んでしまう。かといって、勝たなければ自分が本当に死んでしまう。コンクールに出場するか辞退するか、シュウに究極の選択が迫ってくる。

photo ストーリー冒頭から、主人公とヒロインが同時に死んでしまう

 いきなり主人公とヒロインに死が訪れ、目覚めた場所は謎の世界。そこで待ち受けていたのは、ひかれ合うもの同士が行う過酷な対決だった……これだけ聞くとずいぶんヘビーな内容に聞こえるかもしれないが、その日常は非常にホノボノとしたものだ。

 物語は、主人公シュウの視点で語られる。舞台が学園のため、学園内での生活が中心となる。生前は学生であったシュウたちにとって、今までの日常と変わらない穏やかな暮らしを楽しめる。そんな学園生活を送りながら、「レコンコルソ」のためにピアノの練習を行うというのが1日の流れである。

 ストーリーが進むと、音の妖精「ぴあのたん」が登場。彼女の記憶を取り戻すため、ナギと共演を行うことになる。この共演する部分が、先に触れたミュージックパートとなるわけだ。フリープレイでの経験を生かし、難易度は手堅くイージーにしようかとも考えたが、筆者は親から“やればできる子”と言われて育てられている。ゆえに、自分を信じてノーマルモードでチャレンジしてみた。

 ……結果はあえなく玉砕。やっぱり難しい。ミュージックパートをクリアしないとストーリーが進まないため、泣く泣くオプションで難易度をイージーに変更。“自動演奏を使うよりはマシだ。オレはイージーならできる子なんだ”と、自分の安いプライドを保ちつつ再チャレンジし、無事にクリアすることができた。なお、物語がこの後どのように展開していくかは、ぜひとも本作をプレイして確認してもらいたい。


photophotophoto 数日後には生死を賭けた対決を行うというのに、物語はどこかコミカルでほのぼのとした展開で進んでいく
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