レビュー
» 2006年10月31日 03時11分 公開

東京の山奥で「ホームスター ポータブル」を片手に愛をさけぶ(1/2 ページ)

500万個の恒星を映し出せるプラネタリウム「メガスターII コスモス」のデータがそのままPSPに。今回は普段のレビューと趣向を変えて、「ホームスター ポータブル」を持って実際に高尾山へ行ってきた様子をリポートする。

[立花裕壱,ITmedia]

500万個の星空は愛を語るアイテムとなるのか

 500万個の恒星を映し出せるプラネタリウム「メガスターII コスモス」。このデータを使用してPSPに星空を再現したのが「プラネタリウムクリエイター 大平貴之監修 ホームスター ポータブル」(以下、ホームスター ポータブル)だ。12月7日に発売が予定されている「PSP用GPSレシーバー」を本体上部のミニUSB端子に差せば、現在地の星空が表示され、懐かしの星座盤としても使える。

 星にそれほど詳しいわけでもないが、子供のころ割と科学館が好きだった筆者が「ホームスター ポータブル」の担当となった。ところが、編集長が驚くべき一言を発する。

編集長 普通に紹介するのもいいけど、「ホームスター ポータブル」で愛を語るってテーマはどうかな?

立花 は、はい?

 まったく意味が分からない。

編集長 プラネタリウムってカップルでいく定番のデートスポットじゃない? だからこれも恋愛のツールとしても使えそうだよね。

立花 は、はあ、なるほど……。

 確かに星空はロマンチックだ。織姫と彦星の話もあるし、関係ないけど星の王子様だって女性に人気だ。PSPになってせっかく持ち運べるのだから、デートに持っていくのも悪くない……かもしれない。

 というわけで、今回のレビューは趣向を変えて実録リポートでお届けする。

画像 ギネスに“世界で最も先進的なプラネタリウム”と認定された「メガスターII」(左)。従来と比べて小型ながら世界最多の恒星を投影できる。制作は大平貴之氏
画像 メガスターIIの星データをもとに、500万個以上の天体を収録した「ホームスター ポータブル」。軌道もリアルにシミュレートされている

星空は君へのプレゼント

10月某日

 “ホームスター ポータブルで愛を語る”。そこには2つの問題点がある。1つは、都内で星が見えるロマンチックな場所があるのか。もう1つは愛を語る女性がいるのか? 後者は大きな問題だ。

 よくある手っ取り早い手段を用いる即物的な考えがよぎったが、ひとまず唯一無二ともいえる大学時代の女友達を誘ってみることにした。ただし彼女にはもう何年も付き合っている彼氏がいる。しかし、それはどうでもいいことだ。「ホームスター ポータブル」の力で新たな愛のビッグバンが生まれたならば、仕方がない。とりあえず、メールを打つことにした。

件名:星とかに興味ある?
本文:仕事で星を見に行かなきゃいけないんだけど、行く人募集中!!


 迷った揚げ句、仕事をアピールしてみた。単純に“星を見に行こう”といっても引かれるのがオチだろう。とはいえメインテーマ“愛を語る”は内緒だ。

 しばらくして、そっけないが好感触のメールがきて、電話で話すことになった。

立花 「ホームスター ポータブル」っていうプラネタリウムのソフトを担当して、星を見にいかなきゃいけないんだ。ひとりで行ってもつまんないかなあって思ってさぁ。男の友達も誘ったんだけど、誰も星に興味がないって(←ウソ)。

彼女 いいよ。今、わりとヒマだから。「ホームスター ポータブル」って面白いの?

立花 結構スゴいよ。年代や日時も細かく設定できるし、観測位置を変えたり、時間を高速で進めたり、本当にプラネタリウムみたい。

彼女 へぇ〜。プラネタリウムかあ、懐かしいね。

立花 プラネタリウム風の解説もいろいろ入っていて、たとえば夏の大三角形とか……。

彼女 あったあった。冬の大三角形もあったよね。

立花 そうそう。それにGPSをつければ現在位置の正確な星空が表示されるから、どこにどんな星座があるかすぐ分かると思うよ。

彼女 そっか、面白そうだね。

立花 あとは近くで星が見れそうな場所があるといいんだけど。

彼女 山とかかなあ。

立花 山?

 それにしてもこんなに食いつきがいいとは! 500万個の星空を自由にできるマイプラネタリウム。これは女性でなくても魅力的だろう。ひとりで楽しむのもいいけど、コミュニケーションツールとしても重宝しそう。とりあえず、「ホームスター ポータブル」のおかげで“愛を語る”とばくちまではすんなりと来られた。

ケーブルカーは星空へ続く

 結局、場所は高尾山にした。東京では遠足の定番として親しまれている高尾山は、京王線で新宿から50分とアクセスが楽だ。決行は水曜日。週間予報で晴れマークが確実についていたのはこの日だけだったからだ。

 彼女はデザイン関係の仕事で、比較的時間に自由がきく。夕方17時前に京王線高尾山口駅で待ち合わせした。行きはケーブルカーで高尾山中腹の展望台へ、暗くなってから星を見て、帰りは歩いて下まで降りる、そんな計画だ。

10月某日(水)

 ついに当日。高尾山口の駅に着いた瞬間、すがすがしい山の空気が車内に流れ込んできた。気がはやっていたのか、待ち合わせ時間よりもかなり早い。どのくらい待ったか、やがて今日の主役が改札から出てくる。

彼女 思ったより寒くないね。

立花 そうだね、寒いって聞いてたけど。歩きやすい靴で来た?

彼女 一応スニーカーで来たよ。

立花 帰りはすごい坂道らしいよ。下りだけど。

 駅前はロータリーというか駐車場というか、やる気のないスペースが広がり、その向こうにはラブホテルがにぎにぎしくそびえ立つ。しばらく歩くと、参道のような道があり、左右にそば屋が並んでいた。奥がケーブルカーの駅だ。

画像 東京都の小学校に通っていたなら登ったことがある人も多いだろう高尾山。親しみやすい山としてデートするカップルも目立つ
画像 高尾山といえば名物はそば。「となりのト○ロそばかと思った」と彼女。お店は閉まっていてもうすっかり暗い

彼女 星、見えるかなあ。

立花 なんか曇ってきたね。晴れの予報だったのに。

彼女 山の天気は変わりやすい、の?

立花 うーん……。とりあえず、コンビニでお酒とかつまみとか買って高尾山で飲み会しようか。

彼女 うん、いいねぇ。星を見ながら飲むなんて初めてかも。

 コンビニでビールやカクテル、スナック菓子を買い込む。時間は17時20分、終電間近のケーブルカーに急いで乗ることにした。乗客はゼロ。胸のすくような貸し切りだ。

彼女 私たちだけのために走るなんてもったいないね。

立花 平日だし、夜は真っ暗になるみたいだから。これから登る人はいないよね。

彼女 なんかドキドキするね。

 片道470円。すっかり日も暮れてあたりの景色が闇に溶け込む。

彼女 「ホームスター ポータブル」、見せてよ。

立花 はい。

彼女 やっぱり、PSPの画面ってきれいだね。いつもDSをやってるから画面が大きく感じるよ。どうやって動かすの?

立花 いつの星空が見たい? 過去? 未来? ヒストリカルビューにすれば、恐竜時代や氷河期の空も見られるよ。

彼女 どうしようかな。

立花 じゃあ、キミの生まれた日はどう?

 彼女に教えられた日時を設定して、PSPを渡す。

彼女 うわぁ、すごい星の数だね。こんなに星があるんだ!

立花 徐々に星が動いてるでしょ。設定で移動速度も切り替えられるし、最高で16等星まで表示できるよ。

彼女 あっ、空が明るくなってきた。

立花 だんだんと日が昇ってきま〜す。

彼女 ふふふ、プラネタリウムの解説員みたいだね。

立花 Lがズームインボタン。アナログスティックでカーソルを動かすと、詳しい天体の解説も出るよ。

彼女 すごーい。ただ見ているだけのプラネタリウムより楽しいかも。

立花 こうすると、星座の絵も表示される。

彼女 本当だ。かに座はわりとカニの形をしてるね。へえぇ、かに座って女神に遣わされた化けガニなんだって。知らなかった。ふたご座の形は……無理があるかな。

立花 確かに、これを双子というのは強引だね。でも、こいぬ座はもっとすごいよ。ほら、星2つだけだし。

 黙々と登るケーブルカーは真っ暗なトンネルに吸い込まれた。

画像 夜空を彩る星を16等級まで表示してみる。ズームしていくと霞がかった光の塊が次々と星として現れる様子に感動。最大240倍までズームできる
画像 ヒストリカルビューでは恐竜時代、邪馬台国の時代や西部開拓時代といった時代の星空が見られる。恐竜の鳴き声のSEが入っているのは芸が細かい
画像 星座をつなぐ線や絵も表示できる。自分の星座がどんな形か、知らない人も多いのでは? 星座の由来も解説で読める
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