PS3が可能にする“次世代ゲームの裏側”に迫る――「RESISTANCE〜人類没落の日〜」Insomniac Games現地取材(その1)(2/4 ページ)
PS3のケタ外れなCPUパワーはゲームにどう活かされるのか
従来のコンシューマ機は、世代を経るたびに急激な進化を遂げてきた。PS3は、Cellをうまく使いこなせばスペック的には現行機ではおそらく最強のハードと言われているが、肝心なのはこうした“強力なCPU”(Cell)を搭載することでPS3のゲームがどう変わっていくのか、だろう。
「レジスタンス」のリードプログラマーを務めるマックス・ガーバー氏によれば、「PS3の本当の力はCellによってコリジョン、物理演算、アニメーション(モーション)をリアルタイムに計算できる点にある。わたしたちは今回、PS、PS2のノウハウを活かすことでPS3用に高性能なレンダリング、物理演算処理能力、新しいエフェクトシステム、進化したアニメーション、AIシステムを含めた新しいシステムを開発することができた。現時点で極限の性能を引き出せたと思うが、将来的にはもちろんこれ以上のことができるよう研究は進めている。PS3は本当にパワフルでチャレンジし甲斐のあるハードだと思う」とミーティングの冒頭で語り、具体的な例として2つのデモを解説してくれた。なおインソムニアックでは、こうした物理エンジンはHavokやUnreal Engine3といった既存のものは使わず、すべて独自で制作し、フルスクラッチのものを使っているとのこと。
謎に満ちたストーリー、PS3で可能になった世界観の表現
プログラマーであるガーバー氏に続いては、ストーリー&アートのパートを担当したジョシュ・ウォール氏、ダレン・クァーチ氏が登場。ストーリーに関してはソフトが発売されればいずれ明らかになることではあるが、主人公である米軍兵士のネイサン・ヘイルは「イギリス軍と一緒に行動しているが普通の兵士ではなく、世界でただ一人だけキメラを止める力を持っている」(ウォール氏)ということが明かされた。
ゲーム世界のタイムラインでは、アメリカは第一次世界大戦に参戦せず、アジアから侵攻してきた謎の生命体キメラがヨーロッパ全体を制圧しようとしている。孤立状態にあったアメリカは1951年7月にヘイルを含む米陸軍をイギリスに送り込むが、到着して部隊はすぐ行方不明となり、本編ではその後の4日間が描かれると言う。
本作の特徴のひとつに、“1950年代のイギリス”という独特な世界設定も挙げられる。この理由を聞いたところ「ロシアからイギリスに侵攻してきたキメラにはある目的がある。それに(アメリカ人にとって)イギリスはなじみ深い場所だし、ロケーション的に面白い部分が多い。また1950年代はアメリカにとって“明るい時代”だったことを、今の世代なら知っているから、そこであえて“暗い時代”の世界を作り上げることで真実味や没入感を高めることができた」とクァーチ氏。
また、「最初のレベル(漁港のステージ)は人間の世界が破壊されたものだが、ゲームが進むとキメラの世界が次第に見える作りとなっている。PS3は従来と比べてスケールが大きくても細かなディティールの表現ができるから、現実世界にあるものと実際に存在しないものをまぜあわせる作業は非常にクリエイティブだ。以前手掛けた『ラチェット&クランク』もそうだが、今回もできるだけ多くの環境を用意するよう心がけている」(クァーチ氏)とのこと。また今回はゲームの全体的なムードを形作るため天気やライティング表現にも力を入れており、没入感の高い環境が再現されていると言う。
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