極寒の地で繰り広げられる戦いは壮絶で、やけどしそうなほどに熱かった:「ロスト プラネット−エクストリーム コンディション−」レビュー(2/2 ページ)
写実的な映像表現と、重厚なサウンドが素晴らしい
それでもプレイする意欲が最後まで持続するのは、「ロスト プラネット」にたくさんの魅力が詰め込まれているからだろう。雪と氷の世界と聞いていたので、「雪景色が延々と続いて、見飽きてしまうのかも」と思いきや、実際のフィールドは広大でありながらも実に変化に富んでいて、似たような風景の連続になっていない。見せ場となるようなシーンが次から次へと出てきては、プレイヤーの目を終始引きつける。
出色なのは、圧倒的とさえ思える映像美。人物、AK、VSの緻密なモデリングもさることながら、建造物などを含む風景全体の描写が写実的で、その美しさに思わず目を奪われる。Xbox 360が登場して約1年が経って、HDクオリティのゲーム映像も見慣れたつもりだったが、細部までこれだけ密に描き込まれた映像を見せられると、改めて“次世代”を強く実感する。
このゲームは、サウンド面でも感銘を受けるほどに優れている。BGMのオーケストラサウンドは重厚で、ゲーム中の至る所で荘厳な雰囲気を醸し出すのに一役買っている。特に、「メインテーマ〜ロスト プラネット〜」のスコアがとても良い出来。中ボスなどとの戦闘では勇壮なBGMが力強く鳴り響き、倒すとそれがすぅっとフェードアウトしていく演出もいい。BGMとSE音のバランスも良く、サラウンド環境ではそれらが渾然となってプレイヤーを包囲し、気分をいっそう盛り上げてくれる。
ストーリーについても、なかなかよく練られている印象。ミッションの前後に(一部はミッションの途中にも)ハイクオリティのリアルタイムデモが挿入されるが、その中でウェインが記憶を失った原因や、ハーモナイザーの秘密などが徐々に明らかになる。このイベントシーンがかなりのボリュームで、映画を観ているような感覚になる。
興味深いのは、この「ロスト プラネット」の中で起こる出来事をただトレースするだけでなく、キャラクター間の人間ドラマも丁寧に描かれていること。詳述は避けるが、信頼や使命感が劇中の根底に流れるテーマのようにも感じた。また、台詞の言い回し、表情、仕草など、登場人物たちの“演技”にも注目したい。欲を言えば、終盤、ちょっと幕引きを急いだかな?という感があったのと、ウェイン以外の人物描写をもう少し掘り下げると、より味わいの深いストーリーになったかもしれない、という点が心惜しい。
最大16人でプレイできる「オンラインバトルモード」が熱い
「ロスト プラネット」のもう1つの楽しみは、「オンラインバトルモード」。このモードでは、Xbox Liveを通じて、世界中のプレイヤーとオンラインで対戦または協力プレイが楽しめる。最大で16人まで同時に参加できるので、キャンペーンモード以上に熱いバトルが期待できそうだ。
オンラインバトルでは、本編で敵として登場した雪賊たちのキャラクターを使用し、服の柄などを自由に選択して参加できる。ゲームタイプは4種類ある。まず「サバイバル」は、全員が敵同士となる個人戦。「チームサバイバル」は、文字通りチーム(最大4チーム)に分かれての対抗戦で、いずれかのチームの戦力ゲージがゼロになるか、タイムアップまで戦う。「データポスト争奪戦」は、本編でも登場したデータポストを探し出し、より多くのデータポストを起動させたチームの勝ち。最後に「フォックスハンティング」は、その名の通り“狐狩り”で、ゲームのホストが逃亡役となり、それ以外の参加者はハンターとして逃亡役を追うというもの。どのゲームタイプでも、ホストが対戦時間や初期武装などのルールを設定できる。
このオンラインバトル、プレイしてみると非常にエキサイティングでおもしろい。タイムラグや処理落ちはほとんどなく、キャンペーンモードと同様の感覚で快適にプレイできるし、相手が人間だけあって次の行動が予測できず、ハラハラドキドキの連続。とりわけ「チームサバイバル」では、示し合わせたわけでもないのに不思議とチーム内での役割ができあがって、うまく連携が取れると喜びもひとしお。4種類あるゲームタイプの中でも、この「チームサバイバル」と「データポスト争奪戦」が人気を集めるのではないかと思う。オンライン対戦というのはどうも敷居が高く感じられて、参加するのに二の足を踏んでしまうが(わたしもその一人)、「ロスト プラネット」を入手したら思い切って飛び込んでみるといい。このゲームなら、プレイのうまい下手にかかわらず誰もが楽しめると思う。
FPSやTPS系のゲームに苦手意識を持つ方にもお勧めしたい傑作
月並みな表現だが、このゲームは本当に“すごい”。その一言に尽きると思う。ビジュアルやサウンドが実に素晴らしい出来で、目と耳から入るものに説得力があるし、世界観もしっかり構築されている。見せ場と呼べるようなシーンの連続で、最後までプレイヤーを飽きさせない。
難易度について「かなり高め」とは書いたが、それも決して理不尽さを覚えるようなものでなく、リトライする過程で敵や武器の配置が頭に入ってくると、どの順でどういった手段で敵を倒せばよいかという自分なりの戦略が見えてくる。その戦略に基づいて行動し、難攻不落のミッションを突破できたときの達成感は、格別のものがある。
また、一人称(FPS)や三人称(TPS)視点のアクションシューティングに苦手意識を持つ方も多いと思うが、「ロスト プラネット」に関して言えば、操作性、ゲーム内容ともそれほどマニアックになりすぎていないので、すんなり入り込めるのではないかと思う。フィールド上の地形や建物などの配置がよく練られているせいか、広大なフィールドを駆け回るミッションでも、どっちへ行けばよいのかが何となくわかって、途中で行き詰まることも少ない。
強いて難をあげるなら、Bボタンに「武器を拾う」「VSに乗る」「データポストを起動する」などさまざまなアクションが割り当てられているため、ときに想定外のアクションが出てしまうこと。例えば、武器を拾うつもりが殴るモーション(しかも隙が大きい)になったり、VSに乗ろうとしたのにVSの武器を取り外してしまったり、といった具合。もっとも、すでに全ボタンを使用していて、他に割り当てるのも難しいが、何か誤操作が少なくなるような工夫があれば理想的だった。
また、主人公ウェインをイ・ビョンホン氏が演じていることが、ゲームファンの間でどのように受け止められるのかも未知数……。確かに意表を突いたキャスティングではあると思うが、彼のファン層とXbox 360のユーザー層が重なるとはちょっと考えにくい。ただ、この「ロスト プラネット」を実際にプレイしてみて、それほど違和感はなく、ウェインのキャラクター像に意外とマッチしているように感じた。案外、このゲームの発売がきっかけで、イ・ビョンホンファンの奥様方がこぞってXbox 360本体をお買い上げ……となったら、それはそれでおもしろい。
関連記事
- すべてを駆逐する「ロスト プラネット」は先進的で力強い
毎週お送りしているXbox 360用ソフト「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」の紹介も4回目となる。今週はプレーヤーが使用するバイタルスーツについて。もちろんムービーも公開。 - すべてを食らい尽くす「ロスト プラネット」は圧倒的で恐ろしい
毎週お送りしているXbox 360用ソフト「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」の紹介。今週はプレーヤーと敵対するエイクリッドについて。もちろんムービーも公開。 - すべてを破壊し尽くす「ロスト プラネット」は厳しくも心躍る
発売に向けて露出が増えつつあるXbox 360用ソフト「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」。今週は主要キャラクターと使用武器について紹介する。アクションについては実際にムービーでご覧いただきたい。 - すべてを凍りつかせる「ロスト プラネット」は美しくも残酷である
徐々にゲームの全容が見渡せるようになってきた「ロスト プラネット エクストリーム コンディション」の凍てつく世界。改めて本作がどんなゲームなのかを紹介しよう。 - 多彩なアクションを駆使して生き延びろ――「ロスト プラネット 〜エクストリーム コンディション〜」
主人公ウェインのモデルに、韓国の人気俳優イ・ビョンホン氏を起用していることでも話題を集めているXbox 360用ソフト「ロスト プラネット」。最新スクリーンショットから判明したアクションなどを公開する。 - イ・ビョンホン氏「ゲームのキャラクターになりたかった」――「LOST PLANET」制作発表会
カプコンのXbox 360向け新作ゲームソフト「LOST PLANET EXTREME CONDITION」の発表会が、Xbox 360 LOUNGEにて行われた。本作の主人公を演じるのは韓国の人気俳優、イ・ビョンホン氏。会場には氏も来場し、さまざまなエピソードが披露されるなど、大盛り上がりとなった。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「大物すぎ」「うそだろ」 活動中だった“美少女新人VTuber”の「衝撃的な正体」が判明 「想像の斜め上を行く正体」
-
川で拾った普通の石ころ→磨いたら……? まさかの“正体”にびっくり「間違いなく価値がある」「別の惑星を見ているよう」【米】
-
中村雅俊と五十嵐淳子の三女・里砂、2年間乗る“ピッカピカな愛車”との2ショを初公開 2023年には小型船舶免許1級を取得
-
大きくなったらかっこいいシェパードになると思っていたら…… 予想を上回るビフォーアフターに大反響!→さらに1年半後の今は? 飼い主に聞いた
-
「壊れてんじゃね?」 ハードオフで買った110円のジャンク品→家で試したら…… “まさかの結果”に思わず仰天
-
猫だと思って保護→2年後…… すっかり“別の生き物”に成長した元ボス猫に「フォルムが本当に可愛い」「抱きしめたい」
-
なんと「身長差152センチ」 “世界一背が低い”30歳俳優&“世界一背が高い”27歳女性が奇跡の初対面<海外>
-
大谷翔平と真美子さん、「まさかの服装」に注目 愛犬デコピンも大谷家全員で“歩く広告塔”ぶり発揮か
-
「こんなことが出来るのか」ハードオフの中古電子辞書Linux化 → “阿部寛のホームページ”にアクセス その表示速度は……「電子辞書にLinuxはロマンある」
-
「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた