2006年はどうだったんよ――そして、2007年はどうなんよ?:くねくねハニィの「最近どうよ?」(その5)(1/2 ページ)
海外のゲーム動向で日本の市場が見えてくる。クリスマスも正月も返上でゲーム業界を憂うハニィの「最近どうよ?」5回目は、なんとなく今年を総括してみました。いろいろあった今年を振り返り、未来をしっかり見据えてみたのでよろしこ。
メリークリスマス! って特にクリスチャンでもありませんでしたわ。しかもすでに時期を逸してましたわ(これ書いている時がまさにクリスマスだったの)。海外ゲーム市場を語るくねくねハニィの「最近どうよ?」第5回目なのね〜。いよいよ年の瀬ってことで年内最終回だわ。欧州へ取材に行ってたんだけど、帰りの飛行機に乗り遅れて大変な目にあったわ。って自分が空港に行くのが遅れたんだけどね(涙)。このコーナーの更新頻度もそうだけど、ハニィってばまったく時間の概念がギリギリなの、って正々堂々言うことじゃなかった。ごめんあそばせ。年末年始は「風来のシレンDS」のやり過ぎと暴飲暴食にご注意くださいませ、と自分に言い聞かせてたりして。
さて、欧米で言うところの年末商戦とは9月末から12月初旬までを言うのね。読んで字の如く捉えれば、12月末まででは? と思うでしょ? でもね、それではもう遅いの。12月中旬以降にもなると、長い休みに入って(いわゆるクリスマス休暇ってやつ)皆様お出かけになったり、ホントにゆっくり休んでたりして、ゲームを買いに行ったりしないのよん。10月末のハロウィーン、11月末の感謝祭(サンクスギビング)ってのがヤマと言われていますのよ。でも、大手パブリッシャー様はそこを狙って発売をしかけてくるので、ビッグタイトルのてんこ盛り状態にもなったりするわけで、競争が一番激化するとき。ニッチなタイトルはあえてここを外して春に出したりすることもあるわけですな。ここはタイトルの特質に応じた販売戦略なので、年末に出ないからと言ってカリカリしては行けませんぜ。いいものとは言え、ユーザーのお財布や自由時間には限度があるから、その部分をついた販売スケジュールは大事ですねん。ステレオタイプに「欧米は年末に出さないとダメ」ってのはもはや無謀とも言えますです、はい。ちなみにワーナーブラザーズの数年前の映画「マトリックス」は、あえて年末などのタイトル乱立時期を避け、他に目立ったタイトルが少ない春に上映したことで、さらに盛り上がったと言われているの。「時期を外す」ってのも逆転の発想ですなぁ。
多くのパブリッシャーはできるだけ早い段階で出して長い間販売店の棚に並ばせるのを好むのですわ。というのも、海外は日本ほど「初動命」ではないの。売れるソフト(この定義は難しいけどね)は長い間売れるし、初動で売れなくても価格が下がれば(「最近どうよ?」第3回目を見てね)、売れるってこともあるから、年末商戦の早めの時期に出したがるんですの。実際は発売しようとしても開発が遅れたりして思い通りに行かないこともあるんだけどね〜。
年末なので、海外市場の動向をまとめて「どうなる2007年!」と決めてみようかなぁと思っているんだけど、2006年のすべての販売数値データが揃うのは来年1月末なの。だから、あくまでも海外の記事やパブリッシャーの感覚からお伝えすることになるんだけど、2006年は次世代機が出揃ったってことが大きなニュースだった。ただ、市場に供給された台数に限りがあったため、売上インパクトとしてはそれほどでもなかったの。次世代機の市場への影響は2007年に本格化するものと思われるんだわ!
2006年海外ゲーム市場
ハード
いまや旧ハードと言われるプレイステーション 2(以下、PS2)やゲームキューブも値段の引き下げがあってそれなりに売れたのも事実だけど、やっぱり気になるのが次世代だよね。欧州でのプレイステーション 3(以下、PS3)の発売は、来年の3月に延びてしまったけど、12月8日に発売されたWiiは発売後2日間で32万5000台を完売したと発表されていて、こちらも品切れ状態はしばらく続く模様。日本や北米から一歩遅れて発売されがちの欧州市場でも、今回のWiiはほぼ同時発売。小売店もユーザーも次の在庫を待っているようですな。
次世代ばかりが取り沙汰されているけど、見逃せないのが携帯ゲーム機。2006年の初めまではPSPとニンテンドーDSは販売台数は拮抗していたんだけど、5月の「New スーパーマリオブラザーズ」が発売されてからニンテンドーDSが一気に販売を伸ばして、北米だけで800万台を超えたと思われまする(11月単月で91万8000台も売り上げたの!)。一方のPSPは600万台程度。当初人気とされていたUMD映画の販売を北米大手スーパーチェーン(GMS)のTargetが撤退すると表明するなど厳しい状況が続いているの。
ただ、SCEも何も手立てをしていないわけではない。12月になってからFinancial Times紙が、ソニーが2007年初めにPSP向けに映画のダウンロードサービスをローンチすると報じたの。PCのインターネットを利用してメモリースティックにダウンロードするという方法以外は、値段とかどんなタイトルがあるのかとかは発表されてないけどね。これは要チェックっすね。
ソフト
次世代機が出揃う年末までは、PS2とXbox 360のソフトが拮抗して売れてはいたんだけど、10月までは北米でも買い控えが見られたんだ。でも、PS3やWiiが発売された11月は市場規模が前年比15%アップとなったと報じられている。ただ、これは業界自体がというよりは、マイクロソフトの「Gears of War」やスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXII」、任天堂の「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」などビッグタイトルがそれぞれのハードを牽引していると言われているの。ここで気になるのが、新ハードに向けたタイトルで売上げを牽引したのが「ゼルダの伝説」だけだったってこと。やっぱり出荷台数不足は大きいとアナリストの間では評論されてるんだわん。
でもこの「Gears of War」、欧米だけで200万本を売り上げたと発表があったので、これはお化けソフトだね。「Halo」と並ぶマイクロソフトゲーム機の冠タイトルとなったのは明白ですな。このゲームのおかげでXbox Liveに入ってくるユーザー(ネットアクセスユーザー)数がそれまでの50%増になったらしいのよ。必ずしも課金ユーザーが単純に増えたということではないんだけど、これこそ「ハードを牽引するソフト」なんだよね。パッケージにお金を払ってさらにネットでもお金を落とすって気持ちになるこのゲーム、日本での発売(2007年1月18日)が気になるハニィです。
ズバリ言いましょう! 2006年はニンテンドーDSの年でしたね。いい意味で期待を裏切りましたよ、ホント。日本でしか売れないだろうと言われていた「脳トレ」シリーズも堅調で、日本とまったく同じ「ブーム」現象が起こっているの。「nintendogs」は欧州で500万本、北米では200万本超えしてるし、「スーパーマリオ64 DS」、「New スーパーマリオブラザーズ」、「マリオカートDS」などミリオンタイトルが続出。それ以外でも6桁売上げタイトルはひしめいている感じ。出せば必ずそこそこ売れるっていうムードでしたねん。比較されたPSPのソフトは「グランド・セフト・オート:リバティーシティストーリーズグレイティストヒッツ」が100万本超えただけで、“コレぞPSPを代表するソフト!”ってのがなかったのが残念。
ニンテンドーDSは任天堂のソフトしか売れない、という批判もあるけど、ハニィに言わせればそんなの当たり前。だって、ローンチが発表された頃は、クールではない形状(失礼しました)のゲーム専用機であるニンテンドーDSよりも、ゲームもできるクールでかっこいいポータブルなマルチメディア機であるPSPに白羽の矢を立てたアナリストや業界関係者は多かったし、欧米のパブリッシャーやデベロッパーも一斉にPSP向けに開発ラインをシフトしていたからねん。そう考えると、フタを開けてみたらニンテンドーDSの健闘が目立ったよね。これは、WiiがE3で賞を受けた通り「イノベーション」の勝利だったと思うのだよ。高性能の機械と言う箱ではなく、ユーザーが遊びたくなるような、「遊び方」の勝利だったということ。「Touch!」はハードの性能を超えるほどセンセーショナルだったわけだ。
海外展示会の動向
E3が今までの形で存続しなくなったことは第1回の「最近どうよ?」で述べた通りでやんすが、ちびっとだけ繰り返すと、そもそもリテーラー(小売店)の開発中のソフトの評価および受注増のために行っていた展示会が、回数を重ねるたびにメディアや一般ユーザーが介在してきてしまったため、本来の目的を失ってしまったわけだ。ま、その恩恵を受けて我々はたくさんのラインアップを一気に見ることができたわけだけど、2007年からはサンタモニカ(ロサンゼルス近くの海岸リゾート地)のホテルで7月にひっそり行われるカンファレンスに姿を変えてしまうようですわ。
この、ポストE3、すごく人数は絞られるみたい。ただ、ブースでゲームソフトの紹介とかはないだろうと言われてたわりには、若干の展示要素はあるみたいですぜ。いずれにしても従来のE3と違ってそんなに大きなものではないし、イメージやニュアンスもちょっと変わってくるから、このままの名前じゃねぇ? って考えたのか、このイベント自体の名前を募集してるぞ。ぜひ「くねくねエキスポ」とか「エキスポハニィ」とかどうでしょう?
日本人にとっては、年に1回この展示会さえ押さえれば、PCやモバイルも含めた世界のゲームタイトル動向やトレンド、もっと言えばその年のパブリッシャーの技術力の向上などが見極められたのにさ。住んでいるわけではないところの情報を拾っていくのはホントに大変になっちゃうよね。しかも、E3末期ではNCソフトやWebzenなど韓国勢の勢いは否めなかったわけで、欧米のメーカーだけ見ていればいいわけではなくなった。こちらの動きも見ていかなければいけないから、ハニィを含めたメディアやアナリストは本当に大変な時代だよ……。あ、愚痴ではありませんぜ(笑)。
1月にラスベガスで行われるConsumer Electronics Show(CES)、いわゆる世界最大の家電ショー。2004年Comdex、つまりITの流れがCESへ統合されて、じゃあ、同様に2006年E3の流れがまるまるCESに統合されるのか? は、微妙。そもそも家電とITというのはそれほど「遠い」ものではないけど、これにエンターテインメントをくっつけるのはあまりに強引過ぎる気もする。もちろん、Xbox 360やPS3、Wiiなどの「ゲーム機」に関しては「家電」と言っても過言ではないし、今までだって展示されてきてたけど、E3同様にあの多くのパブリッシャーとそのタイトルが展示されるわけにもいかんでしょうな。
ってことで、ハニィはここで、今までのE3機能は下記のように「分散される」と考えておりやす。
- 1:ハード的アプローチ→CES
- 2:ソフト開発的アプローチ→Game Developers Conference
- 3:ソフト販売的アプローチ→Post E3
- 4:ユーザー向アプローチ→Game Convention、各パブリッシャーのプライベートショー
純ジャパニーズのハニィからすると、本当は東京ゲームショウがE3機能を引き継いでくれればいいのに……と考えてしまうのだけど、残念ながら欧米の年末商戦が始まってしまっている時期に開催されていることや、何よりも日本発の情報がそれほど珍重されなくなってきているってことを考えると、ちと厳しいってのが現実だねぇ。E3が大幅縮小されたことによって情報量の低下は免れませぬ。毎年5月に集まっていた情報がバラバラと分散されて入ってくることになるので、情報ソースや情報の優先度を考えていかにゃなりませんぜ〜。くねくねハニィの腕の見せどころかしら?
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