実に17年ぶりに、クリフトを操ってみました:「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」レビュー(1/2 ページ)
名作RPG「ドラゴンクエスト」シリーズの中でも、「ロト」3部作に続く、「天空」シリーズの幕開けとなった「ドラゴンクエストIV」。ドラマチックなストーリー展開を盛り込んだ野心作が、DS版として登場した。
ザキを唱え続けたクリフトは今……
ファミコン時代から連綿とシリーズを重ね続け、RPGの代名詞として「ファイナルファンタジー」シリーズと並び称されている「ドラゴンクエスト」シリーズ。そのシリーズ第4弾である「ドラゴンクエストIV 導かれし者たち」(以下、ドラクエIV)は、1990年にオリジナルのファミコン版が発売され、当時の少年少女をとりこにしたゲームだ。
勇者ロトの血脈をめぐる冒険を、ドラマチックに描いた「ドラゴンクエストIII」。それに続き、ロトシリーズから舞台を一新、“天空の伝説”を機軸に据えたストーリーが展開されていく「ドラクエIV」。仲間に直接コマンドで命令できず、自動的に戦いつつ学習して賢くなるAI戦闘の採用や、章立てで操作キャラクターが変わるストーリー展開など、“新たな可能性を追求するドラゴンクエスト”として、当時は大きな注目を集めたものだ。
幼い頃からゲームっ子だった筆者は、当然ながら発売と同時にソフトを買い求め、「アリーナ強すぎ」、「クリフトはザキ唱えすぎ」、「ちいさなメダルはどこそこの床を調べると見つかる」などと、友人たちと話をはずませつつ、勉強もせずにプレイに励んだものだ。
そんな「ドラクエIV」がニンテンドーDSで登場した。このDS版、なんでも以前に発売されたプレイステーション版が、若干アレンジされているという。筆者はPS版は未プレイなので、「ドラクエIV」は20年近く前に遊んだきり。久々に勇者の気分に浸りたくなり、さっそくプレイしてみることにした。
勇者あまのんの奇妙な冒険〜第一部
さて、「ドラクエ」で最初にやることといえば、勇者の名前を決めることだ。筆者は、RPGをプレイするときは世界観に沿った名前をひねり出して使うのが常なのだが、今回はレビューであるため、筆者の名前をもじって「あまのん」という名を付ける。ちょっとアホっぽい感じがしないでもないが、これはこれで愛嬌があるのでよしとしよう。
いよいよゲームスタート。さっそく、王宮に使える戦士・ライアンで冒険が……始まらない。あれ、なぜか勇者の村で序章が展開されている。まったく記憶にないんだけど、こんなだっけ?
気を取り直して勇者あまのんを操り、村を散策。壷を割ったり樽を壊したり、人の家に入り込んでタンスを開けたりと、最初から黒勇者全開プレイを堪能する。「これこれ、これがドラクエだよな」と当時を懐かしむことしきり。幼なじみらしいシンシアが、モシャスで変身してあまのんをからかう……というイベントが思わせぶりで気になったが、序章はあっさりと終了してしまう。戦闘ぐらい、させてくれてもいーじゃない!
仲間の役割分担が大事なんです!
そして、やっとこさ始まる第一章。ヒゲとピンクの鎧のダンディ、ライアンが主人公の物語だ。北の村で行方不明事件が発生しているので、それを調査する……というストーリーだ。適当に装備を調えて村へ向かう途中、戦闘発生。プレイして驚いたのは、戦闘のテンポが格段に早くなっていることだ。とにかくサクサク進行するため、ストレスは皆無。ちょこちょこアニメーションするモンスターも愛嬌があって可愛らしい。このあたりは、さすがドラクエ、といったところか。
そうそう、ドラクエってダメージはメッセージで表示されるのが普通だけど、今作ではモンスターの上に数字でも表示されるように改良されている。「FF III」や「DQ VIII」でおなじみの、あのシステムだ。何を今更、という感じだけど、遊びやすくなった反面、ちょっぴりドラクエらしさが薄れてしまった気がするのは、オッサンだからでしょうか……。
さて第一章目玉は、なんといっても仲間となるモンスター、ホイミスライムのホイミンだ。後期のドラクエシリーズには、モンスターを仲間にして連れ歩くことができるものがいくつかあるが、ホイミンはそのハシリといえる存在。
とはいえ、仲間になってもそこはAI制御なので、思ったように動いてくれないのも事実。まずまず手堅い行動をするのだが、ライアンを回復して自分が死んでしまったりするところが、なんとなく健気でかわいい。
そうこうしているうちに、空飛ぶ靴でなぞの塔に進入、ズンズンと塔を探索していく。ホイミンのMPが心もとなくなったので帰ろうと思い、最上階でキメラのつばさを使ったのだが、町に戻れない。「これはヤバい!」とあわてたが時すでに遅し、2秒後にあっさり全滅してしまった。
ボスを倒した後で分かったことだが、最上階から飛び降りれば出られるという、単純かつ気づきにくい戻り方ができたらしい(忘れてました)。「そういえば飛び降りとかあったよなあ」と思わず苦笑してしまった。風のマントが必要なのは、「ドラクエII」だったっけ?
そんなこんなで第一章をサクッとクリアし、第二章「おてんば姫の冒険」に突入。個人的には、仲間たちのエピソードでの中でもっとも好きな章だ。LRでマップを回転させるという、3Dならではのギミックを新鮮に感じつつ、クリフトとブライをお供に旅に出る。
第二章の主役であるアリーナは、常に先手を取るすばやさと、“かいしんのいちげき”を連発する攻撃力が魅力のお気に入りキャラクター。お供のクリフトは、ザキでMPを無駄にする以外は攻守のバランスが取れた僧侶系で、ブライは華がないジジイだが、堅実な呪文を覚えるイブシ銀の魔法使い。
この3人の組み合わせは「ドラクエII」をほうふつとさせる堅実なトリオで、バランスもよくて非常に遊びやすい。途中、キリキリバッタというモンスターと出会い、猛烈な懐かしさを覚える。いたなあ、こんなモンスター(笑)。ドラクエのモンスターはシリーズ通して結構同じような印象があるけれど、実は各シリーズにしか登場しないヤツらっているのかもしれない。
……と、冒険中に何の気なしにBボタンを押すと、何やら仲間同士での会話メッセージが表示されるではないですか! しかも、冒険のヒントだけではなく、今いる町に関しての感想を語ったりと、結構バラエティ豊か。ドラクエだと、普段はあまり見られないキャラクターたちの考えがかいま見られるだけに、かなり楽しいシステムだ。
そんなこんなで順調に冒険は続く。最後の武闘大会でやくそうを買いそろえずに敗退する大失敗をやらかしたが、それ以外は特につまることもなく第二章をクリアー。もうちょっと難しかった記憶があるんだけれど、どうやらDS版は簡単になっているみたい。
これが本当の錬金術だ!
続く第三章は、これまでとはガラリと雰囲気の変わる「武器屋トルネコ」の話。ちょっとメタボ気味の商人トルネコを操り、ガツガツとお金を稼いで自分の店を持ち、海底トンネルを開通させるという、勇者の話とは程遠いストーリー展開がウリだ。店番をして武器の売買に一喜一憂したり、パズル的な要素があるダンジョンで楽しんだりと、この章もテンポよく進んで行く。奥さんのネネが毎日お弁当を作ってくれるのも、変わっていない。このお弁当を売って小銭を稼ぐのは、誰しもが通る道であろう。筆者だけですか?
エンドールの王から店を出す許可をもらうあたりで、ちょっと目的があやふやになって中だるみするものの、レベルを上げながらモンスターが落とす宝箱のアイテムを売り払っていけば、すぐにお金も貯まる。こうして自分の店を持ったら、怒涛の展開で金儲けができるようになるわけだ。
ここで、唐突に「第三章でお金を稼いで、第五章を楽に進めよう」計画が発動する。順調に貯まっていくお金、これぐらいあれば楽勝かな、というところで友人から電話が。気がついたらドラクエの会話になり、彼は筆者より相当先まで進んでいるようだ。で、先ほどの計画を話したところ、実は所持金は第五章に引き継がれない、というのだ。ガガーン!! だが悲観することはない、アイテムは持ち越せるらしい。つまり、稼いだお金で“はがねのつるぎ”やら“せいぎのそろばん”を大量に購入し、第五章でそれを売り払えば、楽に大金がゲットできるという仕組みなのだ。あぶないあぶない、電話がかかってこなければ罠にハマるところだった。そういえば、当時はよく友達とゲームの攻略について話したなあ。最近はすぐにネットで調べちゃうけれど、やっぱり友達とゲームについて話すのは楽しいものだ。
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