「サクラ大戦」裏話を広井氏が大暴露!?――「太正浪漫堂&Sakura Cafe」閉店イベント
3月9日に開催された「太正浪漫堂&Sakura Cafe」閉店イベントには広井王子氏と中嶋聡彦氏、武田滋裕氏が登場。舞台「歌謡ショウ」のエピソードや、大神一郎役に陶山章央氏が決まったエピソードなどをたっぷりと語った。
3月30日に閉店してしまう太正浪漫堂&Sakura Cafeだが、2月に閉店が発表されて以降、毎週末に「サクラ大戦」のスタッフ・キャストによるトークイベントが開催されている。3月9日はシリーズ総合プロデューサーの広井王子氏とともに、親方役の中嶋聡彦氏、ベロムーチョ武田役(ダンディー団)べろ武田(武田滋裕)氏が登場した。
広井氏は「(ほかの出演者は)みんな歌を歌ったんでしょ? でもおれたち歌ないし。『サクラ大戦』の思い出話しかないから」と来場者を笑わせながら、スペシャルトークセッションをくり広げた。
広井氏は、中嶋氏は第1回公演「帝国歌劇団・花組特別公演『愛ゆえに』」(以下、愛ゆえに)から出演しているが、当時の役名(?)は「ただのハゲ」だったことを暴露。「目立ったヤツがどんどんと役付になっていくんだけど、そのいい例。けいこ場で目立つと出演が増えてそのうちに役名がついていく(笑)」(広井氏)。このほかに“皆勤賞”なのは武田氏だけという。武田氏によると「べろ武田」という名前は、広井氏と2人で付けたとか。「芸名にはしないだろう」という広井氏のツッコミに、「目立つけど、仕事取りにくいと言われました」と笑う武田氏。
そして、3月19日に発売されるニンテンドーDSソフト「サクラ大戦 〜君あるがため〜」を紹介。広井氏は、本作のタイトルについて与謝野晶子の「火の鳥」という歌集に収録されている「幸ひの ゆきもどりして 目放たぬ 身と思へるも 君あるがため」から取ったことを披露した。広井氏はまた、「18人と行きつ戻りつするわけだから、“18人はおれのもんだ”というゲーム。さくらに『止まれ』って言ったら止まるわけだから。あとはかわいい子ばっかりぞろぞろ連れて行ってもいいし。ただし、それはゲームの中だから好きなことができるわけ。ここだけでやって外には持ち出さないでくれ(笑)」と語る。
武田氏はこれまでの「歌謡ショウ」などの舞台について、本番初日前日に幕間の転換が間に合わないと分かったことがあり、そこで出演することがいきなり決定し、武田氏に加えて、広井氏と中嶋氏で、1日で脚本を作り、芝居をしたこともあったというエピソードを紹介する。このほかにも「舞台のソデで書き換える」とか「始まる前に2ページ渡される」といった“ぶっつけ”が多かったと武田氏は笑う。
武田氏と中嶋氏が初めて会ったのは、「愛ゆえに」のけいこ場だったとか。ただしけいこの期間は「3日だけ」(中嶋氏)。「本番合わせて1週間くらい? よくあんなものやりましたね」と語る広井氏。けいこ場もニッポン放送のスタジオだったそうで、しかもあれだけの曲数の振り付けも、よく3日でこなしたと、武田氏は昔を振り返る。
これまでの舞台について、声優さんに“バク宙”などを毎日やらせるのは、さすがにヒヤヒヤしたと語る広井氏だが、ここで大神一郎役の声優・陶山章央氏のことに話が及ぶ。「スー君(陶山氏)の場合は、客席にいたいんだよ。おもしろくなればなるほど後ろに下がってっちゃう(笑)」と広井氏。実際に「客席で見たいんですよ」と陶山氏に言われたそうだが「あれがメインでっ、大神一郎の役でなければっ、おれはすぐにたたき出していた!」と広井氏が語ると場内大爆笑。
そして陶山氏が大神一郎役に決まったエピソードも紹介。「サクラ大戦」を制作した時に、予算も決まって制作に入り、録音が始まったときにある日、大神一郎の役だけが決まっていないと言うことを伝えられたそうだ。「『しゃべるの?』って聞いたら『3つだけしゃべります』って言うんだよ」(広井氏)。もう予算を使い切っているし、新たに依頼する時間的余裕もない。その当時、陶山氏を紹介されて知っていたそうだが、広井氏がスケジュールを聞いたら空いていたので、すぐに決定したそうだ。「隊長ですよ?」と武田氏がツッコミを入れ、場内にいた人も知らなかったエピソードだが、「だってこんなに長く続くとは思わなかったもん」と広井氏が語ると場内はまた大爆笑に。
また「サクラ大戦」をセガから出す時に、発売本数について「50万本行きますかね」と、当時の入交昭一郎社長から聞かれたエピソードについても紹介。キャラクターゲームは好みがあるので数値では計れないので何とも言えない。「△■※ん万本ですかね」とごまかしたが、どうしたら制作を早く終わらせて、逃れられるかを考えていたとか……。そのあたりの状況もあって「陶山君でいいよ! と決めた。もめるのやだから」と冗談交じりに話す広井氏だが、クリエイターにまつわる苦労をかいま見た気がする。「もう時効だから、言っちゃってもいいよね」(広井氏)。
武田氏はここで、陶山氏がトイレの鏡で踊りを練習していたエピソードを美しく紹介。しかしそれに対して広井氏は「陶山君はね、鏡がないとダメなの。自分の姿を見ないと。究極のナルシストですね」と語るとここでも大爆笑。また、武道館ライブでの奈落転落事故にふれ、「陶山君に舞台での位置を真剣に見なさい、と10年間注意していたのにダンサーとばかりしゃべってたからおっこっちゃうんだよ(笑)」と語る広井氏。実際には流木の着ぐるみを着ていた人が下にいたおかげで無事だったそうだが、「これまでは運がよかっただけ。あそこで落ちてよかったんですよ。1回落ちれば注意しますよ、これからは。実際に危ないですからね。まかり間違えば大事故になるし」(広井氏)。
そして「歌謡ショウ」などを上演した青山劇場のエピソードを語る。最初はゲーム関連のイベントということで、どちらかというと対応が冷たかったそうだ。だがそれも回を経るに従って変わってきたとか。いまでは事務員の人も楽しそうに見に来るようになったり、深夜のカウントダウンイベントについても、初めて許可を出したのが「サクラ大戦」だった。「でもそれもすべて、お客さんがいたからですよ」と広井氏は続ける。「見に来てくれるお客さんがみんな暖かい。“共犯関係”というか、ゲームだからなのか“ロープレ”が分かっていて、お客さんが“ロール(役割)”を演じてくれる。だからかけ声がちゃんとかかったりとか、『浴衣で来ようね』といったら何人も着て来てくれたりとか。10年間お客さんと舞台が一緒に遊んでいたんですよ」(広井氏)。広井氏は、とちったり、幕が下りないトラブルがあっても、お客さんが「頑張れ」と応援してくれるひと言で救われる、とも。
広井氏によると、これまで「歌謡ショウ」などを作ってきた“サクラ組”のスタッフは帝国劇場などのステージを担当している優秀な人たちだとか。このためさまざまな場所でスタッフに出会うという。「『今日照明やってんだよ。見ていく?』なんて声をかけられたり(笑)。いろいろな劇場にスタッフがいるから、そのうち顔パスで都内の劇場に入れるようになるんじゃないか(爆笑)」(広井氏)。
ただし、これまでの舞台はスタッフにとってもかなりきついものだったという。「初めてのことばっかりやるから。普通やらない、いろんなことやるので」(広井氏)。照明についても、芝居の明かりと、ショーの明かりとはまったく違う。音響も、演じている時の音声と歌の声という演出が混ざる音響設定はやりにくいそうだ。「それを同時にやるので大変」(広井氏)。
ここで話は「意味が分からない」という舞台用語に話がおよび、「雪舟する」という言葉から、いまの日本について語る広井氏。この用語は、早川雪舟が背が低く、台の上に乗って背を高く見せていたというところから、かさ上げするという意味だが、「大正時代の人はすごかったですよね」と広井氏。早川雪舟はハリウッドで大活躍する日本人役者だった。「何でいまはそういう人がいないんでしょうね。国力が落ちてる?」(広井氏)。「サクラ大戦」を作る時に大正時代のことを調べていたそうだが、銀座のメニューにも英語で書かれていたし、洋行帰りの人は英語をしゃべっていた、と広井氏。「いまは文化の程度が低い? これだけ英語習ったのに、英語をしゃべることはあまりできないし。1人でふらっと“ハリウッド行ってくるわー”って、オーディション受けることもないし。きっと昔の人は、ひゅっとカバン持って行ったんだよ。(隣の武田氏を見て)行ってこいよオーディション(と突っ込む)」(広井氏)。
広井氏は最後に、立ち見まで出たため長時間立つことになった来場者に気を遣いながら「『サクラ』のゲームが売れたらまた特別イベントとかで会いましょう。4月には会社からフリー宣言しますので」と語り、イベントは終了した。
1時間少しのトークセッションだったが、あっという間に過ぎてしまった。ラジオやイベントで広井氏のトークを聴いた人なら分かるかと思うが、広井氏特有の“毒舌(?)トーク”も、来場者を楽しませようとしてのもの。普通ならステージのソデから登場してそのまま帰っていくのだが、広井氏は場内を1周してから席に着き、終わったあとは後ろにいた人にまで声をかけて帰っていった。「今日はおれが前座だから。メインはお客さん」という言葉通り、ファンを大切にする広井氏ならではの、楽しく暖かみのあるイベントであった。
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