3Dでグリグリと動かせる通好みの箱庭ゲーム:「A列車で行こう8」レビュー(1/3 ページ)
鉄道に興味はなくともゲーム好きなら必ず名前を知っている、日本を代表する箱庭ゲー「A列車で行こう」シリーズ。地味ながらも愛され続けている「A列車」の秘密とは何か? シリーズ初心者にして鉄道マニアでもない筆者が体当たりでレビュー!?
日本を代表する箱庭ゲーム「A列車で行こう」の最新作が登場!
2008年3月21日、「A列車で行こう」シリーズの最新作として「A列車で行こう8」が発売された。本作は2006年12月にXbox 360用として発売された「A列車で行こうHX」のPC版移植にあたり(有料ダウンロードコンテンツだった車両の数々なども最初から付いている)、PC版「A列車」としては2003年6月に発売された「A列車で行こう The 21st Century」以来、5年ぶりとなる、“街を完全3D化した「A列車」”であるところも大きな特徴とされている。
と、概要を説明したところで。
タイトルが物語っている通り、「A列車で行こう」シリーズのメインは“鉄道”だ。そのため鉄道好きな人間にはたまらないだろうが、筆者のように「鉄道? うーん、別に……」という人間だと、逆に敬遠してしまうところがあると思う。ただ、それは単なる食わず嫌いと言っていい。そもそも「A列車でいこう8」のゲームデザインは、実に良くできていると感心させられるところが多いのだ。
基本は「駅」→「線路」→「車両」で
「A列車で行こう8」は“資金1兆円を目指して街を発展させながら鉄道会社を経営する”というゲームだ。もっとも、いわゆる箱庭ゲームなので“鉄道会社を経営する”ことそのものが目的だと言ってもいいだろう。
そのためゲームの基本は鉄道会社の経営、つまり“車両を走らせる”ことにある。
ただ、これが実は大きな穴で、車両を走らせているだけでは総資産を効率よく増やすことができなかったりする。現実の私鉄と同様、運輸業よりグループ関連企業のほうが業績をあげやすいものなのだ。当然、ゲームでもそのあたりが再現されているため、あくまで基本は基本と割り切ったうえで話を聞いてほしい。

「駅」と「線路」を建設し、「車両」を購入したうえで線路上に配置すると、駅周辺が自動的かつランダムに発展していく。同じ状況からスタートしても、結果はゲームをするたびに変わってくるため、それを見ているだけでも楽しめるのが特徴の1つさて。車両を走らせるうえで重要になるポイントは3つある。1つは“駅の周辺が発展していないと利用客が少ない”ということ。もう1つは“収益は車両が駅に到着した時点で発生する”ということ。最後は“路線の直線距離が長ければ利益率が上がる”ということ。つまり駅周辺が発展していない序盤では、できるだけ短い路線だけで運用すると収益が上がり、街が発展してきたら遠方と遠方をつなげていけば良いということになる。
ここでもう1つ重要になるのが“車両”だ。言うまでもないことだが、昔ながらのディーゼル機関車と最新式の新幹線では移動速度が桁違いと言っていい。つまり、序盤の短い路線では安い車両で地道に稼ぎ、これを少しずつ拡大していくとともに、より速度の速い車両などを導入&設定していき、さらに収益をあげていくというのがスタンダードな戦略になる。

登場車両は全200種。といっても全てを使いこなす必要はない。また、個人的にはわざと画質を落としたほうが鉄道模型っぽさを感じられて、見ているだけでも楽しかった。画面左はゲーム開始直後に配置だけをして撮影したものだが、これだけでもけっこうニヤニヤできるところはすごいまた「A列車で行こう」シリーズ共通なのだが、街が発展するためには“資材”が必要となる。資材は、駅と同じように建設できる“資材工場”で生産でき、これを“資材置き場”という場所に置くことで、初めて利用可能な状態になる。資材を移動させるのは“貨物車両”の役割だ。これを運搬、資材が使われていくことでも収益があがるため、どこに資材工場を置き、どのように貨物車両を走らせる線路を作るかも重要というわけだ。
そして駅前を活性化(?)させるために使えるのが多種多様の“不動産物件”――というべきなのだが、実際にはこれこそが収益増加の本筋と言えることは前述した通りだ。
「A列車で行こう8」では、純粋に住人を増やすための“住宅“から、物件そのものが子会社として利益をあげるコンビニなどの“店舗“や遊園地などの“娯楽施設“等、いろいろなものが用意されている。これらは建設する時、用地買収費と建設費を必要とするばかりか、種類に応じた数の資材(建設するマス目の15マス以内に資材の置かれた資材置き場がないと建てられない)が必要となるものだ。
ここでポイントになるのは用地買収費。駅を設置した直後は資材も少なく、物件を1つも建てられないのが普通だ。そしていざ建設できるようになる、駅前の一等地(ゲーム上の区分では無いが、駅に近い土地ほど利用客が増えると土地価格が上昇、物件の収益率も高まるため、本記事ではそのように表記する)は、駅が発展すると自然発生的に建てられてしまう民家や他会社の物件で抑えられていることが多い……
そこでよく用いられる手が、建設費用が一番安いもの、つまり線路そのもので、土地だけ確保するという作戦だ。こうして資材が溜まったところで順次、線路を潰して物件を建てていくわけだ。現実で言えば「○×予定地」という看板だけが立っている空き地を想像すればいい。それがゲームでは線路で埋まっている“ように見える”だけだ。うん、そこに線路が見えるのは、気のせいなんだよ。気のせい、気のせい。


ほとんどの物件は建設した時点で完成するが、高層ビルと超高層ビルの場合のみ、少しずつ建設されていくことになる。発展した駅前で他会社が競うように高層ビルを建設していく光景は、ある意味、このゲームの醍醐味と言える部分かもしれない納税は義務だけど倒産したら終わりなのよ
「A列車で行こう8」では赤字経営になると“倒産”し、ゲームオーバーになる。前作「A列車で行こう7」では削除されていた仕様だが、ファンはこれを喜んだというのだから「A列車」はまっこと業の深いゲームだ……ではなく。
倒産の原因は大きく2つに分かれる。1つは急激な路線拡張。駅前が発展しきる前に何本もの車両を走らせると、余計な路線が赤字路線と化し、坂道を転がり落ちていくというパターンだ。そしてもう1つが“納税”。「A列車で行こう8」では、毎月1日に「消費税」が引かれ、毎年の4月1日に「所得税」、5月1日に「資産税」が引かれる。それぞれの消費税が前月末、所得税と資産税が前年12月31日に納税額が確定するため、会社が発展すれば発展するほど、ここでドーンと引かれて倒産する場合が出てくるというわけだ。
もっとも、実際にやってみれば分かると思うが、あくまで鉄道経営を中心にプレイすると、税金はたいした問題にならない。ただ、資金1兆円を目指し、物件を建てまくっている時には、確定日と納税日の前日になると時間をとめて電卓を叩きまくるようになるはずだ。筆者は途中から別ウィンドウに表計算ソフトを立ち上げて「これとこれを売れば……いやいや、こっちとこっちを売って、納税後にこっちの開発に……」とやっていたが、まあ、そこまでやる内政好きシミレーションゲーマーは筆者ぐらいだろう。でも、至福の時間なのですよ、これがまた……。
なお、どうしても資金繰りに困った時には「銀行」に泣きつくこともできる。もちろん、借りたお金は返済しなければならないので、自転車操業に陥りやすいというデメリットを踏まえたうえで計画的に利用するべきだろう。また、資産を高める方法として「株取引」なども行うことができるが、これまた、初心者は手を出さないほうがいい。あくまで本業は運輸業。最初に触れた通り、「A列車で行こう8」は“鉄道会社を経営する“ことを楽しむゲームなのだから、そこに専念するべき……あっ、株価が……ここは買い時か?

ゲームオーバーになっても時間は止まらない。ただ、一切の設定変更が不可能になりため、ユーザーは黙って画面を見ていることしかできなくなる。納税日が近づくと警告が出るので、残り資金を確認し、必要となれば「MARKET」アイコンを選び、不動産の売却や銀行からの借り入れなどを行う必要がある先生、車両が多すぎて分かりません!
おそらく鉄道マニアではない人が「A列車で行こう8」をプレイした時、まず真っ先にぶちあたる壁が“車両の豊富さ”だと思う。なにしろ収録車両はオリジナルも含めて全200種類。「103系」と言われて「それってモハ? それともクモハ?」なんてことを気にする人ばかりではないのだ。筆者の友人がそれだったことは秘密ということで。
さて。正直微妙なところでもあるが、車両のことが良く分からない人は“オリジナル縛り”で遊ぶことをお勧めする。具体的には、以下の車両のみを使うというプレイ方法だ。
特に通勤車両「AR3」と貨物車両「DC4」は使い勝手が良いので、当面はこれだけでプレイしても支障はない。もちろん、名前を見るだけで車両の区別ができるようなプレイヤーであれば、ゲーム的な性能を見ながら自分好みの車両を使い分けていくべきだ。前述の筆者の友人は「俺のマシンは北海道だ!」と断言していたので、きっと、そっち方面の車両しか走っていないのだろう。それもまた「A列車」の正しい楽しみ方だと思う。
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