アメリカンなハードにほとばしるジャパニーズ・サブカルチャー:「テイルズ オブ ヴェスペリア」レビュー(1/2 ページ)
「テイルズ オブ」シリーズのマザーシップタイトルが、初めてXbox 360に登場。そこには日本独自のRPGと、さまざまな日本のサブカルチャーテイストが満載。米国人はこの作品で現代日本文化を知ることになる! ……かもしれない。
これこそまさに“J-RPG”
コンピュータRPGの歴史を紐解けば、古くは「ウィザードリィ」にさかのぼる。そこからテーブルトークRPGをディスプレイで再現しようとする欧米、特に米国での努力が続き、それがやがて日本に輸入されてアレンジされ、ジャパニーズスタイルのRPGが作り出された。
日本におけるRPGの特徴が何かと言えば、“主人公のキャラクターが明確に造形されている”“ストーリーがシナリオに沿って進んでいく”“主人公たちが若く、基本的に少年少女である”という3点に集約できるだろう。そして21世紀初頭の現在、このスタイルは逆に欧米へと輸出され、海外のゲーム事情に変化を与えるに至っている。
そうした日本流のスタイルによって作られたRPGを、ここでは“J-RPG”と呼んでおく。J-POP、J-ホラーなどと同じ感覚の言葉だと思ってもらいたい。
さて、「テイルズ オブ ヴェスペリア」(以下、TOV)は“これぞまさにJ-RPG”と呼ぶにふさわしい作品である。「テイルズ オブ」シリーズそのものがそうした伝統を持っているのだが、歴代の諸作と比べても、TOVはとりわけその傾向が強い。個人的には記念すべき第1作「テイルズ オブ ファンタジア」にも匹敵する。それはすなわち、シリーズ最高傑作と呼んでも過言でない出来栄えを意味している。
いきなりハートをわしづかみ。オープニングに刮目
もういきなり、オープニングから“おっ!”と思わされる。
ヒロインであるエステリーゼ、通称エステルが振り向くところから始まり、主人公であるユーリ、序盤で仲間になる魔物狩りギルドの少年カロル、魔導士の少女リタの3人が短いカットで続けざまに登場してくる。この時の彼らの表情を見れば、どんな性格をしているキャラクターなのか瞬間的に理解させてくれる。
そして4人を紹介した後でタイトルが入る。この構成により、物語の中核にいるのが誰なのか、映像で説明してしまう。そう、これこそがオープニングムービーなのだ。どんなにキレイでも、あるいはどんなにカッコよくても、それだけでは何の意味もない。
オープニングムービーとは、プレイヤーを世界に引き込むため、もっと言えばゲームに対する関心をあおるためにある。そのためには、これから操作することになるメインキャラクターたちがどんなパーソナリティを持っているかを示さなければならない。それを果たしてこそ、初めて役割をまっとうできるのだ。これほどのオープニング、そうはない。もうこの数秒で“いける”と思わせてくれる。
そして続くシーンからはアクションのつるべ打ちとなり、これまでに出てきた4人に加え、敵味方双方の主要キャラクターを交えた魅せるためのシーンが続く。これらのキャラクターの中には、プレイヤーが操作できる、いわゆるパーティキャラクターも含まれている。ただし、ユーリ、エステル、カロル、リタ、それとユーリの愛犬であるラピード以外はマニュアルにもキャラクター紹介はなく、その意味でバイプレイヤー的な扱いになっている。
これに伴う形で、オープニングの後半部分は、メインクラスのキャラクターの格好よさを見せながら重要な脇役の紹介、さらには彼らが敵か味方かという情報を併せ持つ構成になっている。ある程度ゲームを進めてから見直せば、また違った面白さを発見できるだろう。この辺りにも熟練の技芸を感じさせる。
さらには背後に流れるBONNIE PINKの曲も王道を行くJ-POP。このように見てくると、TOVのオープニングはクオリティの高さもさることながら、J-RPG、ジャパニメーション、J-POPの要素を融合した構成になっていることが分かる。これはXbox 360というハードゆえに海外のプレイヤーを意識した選択といえるが、同時に日本人自身が日本のサブカルチャーを意図的に見せているという点で興味深い。
過不足のない絶妙の説明。技芸が冴えるプロローグ
そしてオープングを受けて続くプロローグがまたよい。
最初にテルカ・リュミレースという世界の名前が示される。これは一種の儀式なのであまり気にすることはない。それよりも注目すべきは続きである。要約すれば、以下のようになる。
この世界では人間の力が非常に弱く、大地や海の大半は魔物が支配していること。人間は街の周囲に“魔導器(ブラスティア)”と呼ばれる装置で結界を張り、どうにか安全を守っている。しかし、大多数の人々は結界内部の快適な環境に慣れてしまい、自分たちの境遇を忘れかけている。
いかがだろうか。
エンターテイメントの基本は、普段できないことを疑似体験させることにある。見たことのない世界を旅して、見たことのない事物に触れる。RPGが根強い人気を維持している背景には、人間が本来的な欲求としてセンス・オブ・ワンダーを持っているからにほかならない。TOVはそれに応えることを、プロローグのセリフひとつで明らかにしているのだ。
テルカ・リュミレースにいる住民の大半は、自分が生まれ育った街しか知らない。もちろん世界全体がどうなっているかなど知るはずもない。この設定を示すことで、まだ見ぬ世界を探訪する面白さがゲームにぎっしり詰まっていることを教えてくれている。これはJ-RPGの枠に留まらない、RPGというジャンルの根源的魅力に関わってくる。TOVの作り手が、RPGの楽しさがどこから生まれるのかを熟知している証といえるだろう。
そして魔導器の設定。圧倒的に弱者である人間がかろうじて文明社会を保てるのは、すべてこのテクノロジーのおかげである。もし魔導器が失われ、結界が機能しなくなれば、その街は壊滅の危機にひんしてしまう。
プロローグではそうした変動の兆しをも示し、世界が危機に向かっていることを伝えている。これにより目的意識が明確になる。世界を支える根本的なテクノロジーを示し、プレイヤーにゲーム世界にいる間、もっとも重要視すべきことが何かを教えてくれているのだ。これもRPGというゲームを楽しむためには不可欠な情報である。
こうした一連の情報を与えた後、いよいよゲーム本編がスタートする。最初に起こるのは、主人公ユーリが暮らす帝都ザーフィアスの下町で、水を管理している魔導器が壊れたという事件だ。
プロローグがまだ頭に残っているこのタイミングで聞けば、どれほどの一大事なのか即座に理解できるだろう。それだけに主人公が行動を起こすに値するだけの動機付けになる。いかにしてプレイヤーを冒険に出すかはキャラクターをあらかじめ設定しているJ-RPGではもっとも難しい部分なのだが、それを鮮やかに解決している。この辺りも実にすばらしい。
なお、プロローグから本編へのスムースな移行も見逃せない。一瞬プロローグが終わったことに気づかないほどで、これ以降も操作時のキャラクターがそのまま動いてイベントに入るという作りは崩れない。すなわちTOVは、プレイヤーが自分で動かすアニメというスタイルを採っているのだ。これがプレイ時の感情移入を高めるのにどれだけ有効かは、改めて言うまでもないだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
不二家の「プレミアムショートケーキ(国産苺)」が半額に! 3日間限定キャンペーン
-
中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
-
日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
-
動物病院の会計中、振り返って愛犬を見たら…… “柴らしい”もん絶級の光景に「天使かよ!」「帰れるもんねw」
-
「ハンガー・ゲーム」出演俳優、撮影中の性的暴行被害を告白 泣きながら撮った当時の写真添え「すごくつらかった」と胸中明かす
-
ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
-
上沼恵美子さん直伝「ホタテの一番おいしい食べ方」に絶賛の声続々! 「発想が主婦目線」「マネして作ってみます」
-
【今日の計算】「8×4−2+1」を計算せよ
-
1歳赤ちゃん、寝ぼけまなこの謎行動が150万再生突破 「仕事の疲れ、吹っ飛んだ」「少し出ちゃったの可愛すぎ」
-
「めざましテレビ」“新お天気キャスター”が「美しすぎる」と注目 ミス東京GP獲得から約4カ月で
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
- 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
- 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
- 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
- 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
- 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
- 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
- パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
- “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
- 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
- 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
- 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
- 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
- “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
- 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」