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» 2009年01月21日 13時05分 公開

業界の突破口はネットワーク?くねくねハニィの「最近どうよ?」(その29)(2/3 ページ)

[くねくねハニィ,ITmedia]

定説が覆されたのか? 北米の日本化か!

 北米市場の報告で書いた通り、任天堂のソフトはジワジワと長く売れるものがあるんだけど、そのタイトル数は発売されてるタイトル数に比べると多くはないよね。11月に北米で新発売されたWiiのタイトルは50タイトル、DSのタイトルは69タイトルあるけれど、旧作がランキング上位を占めている。つまり、たくさん売れるものと、まったく動かない(売れない)ものに二極分化されているのよね。

 あ、任天堂プラットフォームの二極分化って話がしたいんじゃなくて(笑)。北米ではこんな感じで新作と旧作の混ざったランキングってのはフツーなので、リピートが続いて売れ続けるタイトルがたくさんあるってのが定説でしたの。国土が広いことやゲームがそれほど一般に認知されているものではないので、発売されたら買うってよりは、面白そうだから買う、友人がやってるから買う、ってのが当たり前(コアユーザーを除く)。そういう意味では、任天堂のソフトは究極の口コミ広がりを地で行ってるってことでしょうな。

 ところが、最近任天堂以外のハード(PS3、Xbox 360)のソフト売上で異変を感じるのはハニィだけかなぁ。いやぁ、日本と同じ状況になってるかな、と。つまり「初動命」、発売月にそのソフトが売れるか売れないかを決定される状況になっちゃってる、ってこと。おっかしいなぁ……。

 例をあげると「Grand Theft Auto」シリーズは、「San Andreas」までは、発売後長い間ランキングに入っていた(シリーズ次作が発売されるまでプライスプロテクション<要は値下げ>もまったくしないで売り続けた)んだけど、今回は発売された4月29日から5、6月と一気に売れたものの、その後ランキング外に落ちてしまったの。「Metal Gear Solid 4」に関しても同様。決して売れてないってことではなく、長く売れ続けなくなったってこと。

 これは、ハイスペック機がコアゲーマーに集約されつつあることを考えると当たり前の話なのかも。コアゲーマーは気に入ったタイトルをチェックして発売日に買いたいからねぇ。でも、深刻な原因としては「中古」があると思う。せっかく口コミが広まっても、ひと通り遊んだユーザーが中古で売ってしまうから、第2弾口コミによるユーザーは安い中古品に流れてしまうのも事実。ついでに任天堂ソフトだけロングランする、ってのも日本と同じ現象。ある意味日本化がグローバル化ってこと? みたいな妄想に囚われちゃいそうだよ〜。

 ちなみに任天堂ハードのソフト装着率が5本以下になってしまった理由としては、「満足度が高い」とざっくり前述したけど、そもそも任天堂の戦略でいわゆるゲーマーではない人たち(老若男女)にまで行き渡ったことも起因しているんじゃないかと。ゲーマーたちはハードを稼働させるソフトを貪欲に求める人たちだけど、ライトユーザーと言われる任天堂ハードを所有するユーザーたちは、稼動率も新しいものへの貪欲さもゲーマーたちに比べればそれほどでもないはず。

 そういう点では、今までのゲームユーザーに対するアプローチでは動かないのだね。ライトユーザーが「買いたい」って気持ちを喚起するソフトじゃないとって意味では、ゲーム業界が今まで対象にしていた人たちじゃない新しいユーザーに向けて商品を作っていかなきゃいけない。産みの苦しみがないわけがないではないすか!

あれ、オリジナルが? ハリウッド化さらに進む!?

 冒頭にも書いたけど、EAのオリジナルタイトルは散々な数字だったのね(それなりに大したもんでしょうけど、EAにとってはという意味)。今までは日本も含めて、ハードの入替時期には必ず新しいビッグフランチャイズが生まれる(ま、Xbox 360には「Gears of War」ってのが生まれたんだけど)ってのが定説だったんだけど、これも玉砕した。日本はハリウッド化して、北米が日本化するというアベコベな話(笑)かも。

 もともと北米は映画ライセンスやスポーツライセンスがさかんで、オリジナルが生まれにくい状況だったんだけど、PS2以降北米のパブリッシャーたちが頑張って、「Guitar Hero」や「Fallout」、「Call of Duty」などなど、いろいろなフランチャイズが生まれた。マルチプラットフォーム化によるリスク回避と、業界底上げムードのダイナミズムを持って翻弄したわけ。

 ところが、このEAのオリジナル不調と不況が相まって、「オリジナルはリスクだ」ってムードが広がってるってのがハニィの懸念となっているのだよ。安パイである過去フランチャイズの続編やライセンスタイトルだけがフィーチャーされ、勝負に出なくなるパブリッシャーが多くなることが容易に予想されるからね〜。

 市場がそうさせてるのではなくて、ハイスペック化による開発費高騰によってリスクを張れないってのと、不況なんで博打はしない、っていう業界側の都合。前回の記事で書いたように、ユーザー層は広がってるのに、だ。せっかく広がってるユーザーニーズに対して多様なソフトを出していけなくなったら、市場自体が冷え込むのでは? と、とっても心配しているわけです。

 ブランド力と莫大な開発費を用いて大きな看板タイトルが幅を利かせて、リスクを回避するハリウッド的タイトルは過去にもあったけど、それに加えて“イノベーティブ”とか“新しい”って遊びを生み続けてきたからこそユーザーが「エンターテインメント」として受け入れてくれたこのゲーム業界の歴史を考えると、ショボ〜ンな傾向かなと。

オンラインがカギかもぉぉ!

 今回のハードの世代交代による開発費の高騰はものすごくて、1本49.99ドルで売ってたものを59.99ドルで売ったからと言って埋められる溝ではないはず。だからこそ、マルチプラットフォーム(欧米の場合はPCも含む)対応でリスクを回避するわけだけど、インストールベースや経済状況を見るとどうしたもんかなぁと。

 ではどうやってこの状況を乗り越えていくのかな〜と考えるる、すでに始まっているビジネス的アプローチのお話をしてみましょうっ! 不況や業界の雰囲気のせいにするのは簡単だけど、その波に呑まれてしまうのか、それとも、その波を乗り越えていくのか、って言うのは、波の変化を察知してどう対処するかって準備をしてるかどうかでしょ? さらにその波に乗ってサーフィンまでできたらすごいよね。

 ゲームはエンターテインメントであり、アートであり、クリエイティブなものではあるから、すばらしいものを作り上げることは大事。でも、ビジネス側からみているハニィとしては、お客さんが価値を認めて買ってくれる……、もっと言うと、お客さんが認めてくれたら「儲かる」ってことが最大の見返りかと考えとります。

<広告モデルの検証>

 5年以上前から海外ではアド(広告)モデルを使って開発費の回収に回せないかとの試みをしてきているんだよね。それまでの概念だと、ゲーム中に企業のロゴやサービスを入れるには「ライセンスの使用許可」が必要で、ゲーム会社がその企業にお金を払って借りていた。

 その発想を転換して「広告してあげるのでお金ちょうだい」って言う、真逆のモデルがアドモデル。例えば、スポーツゲームにスポーツ用品のブランドが出てるとか、ってのが分かりやすいかな。最近ではオバマさんが、Xbox 360向け「Burnout Paradise」で大統領選の広告をしたってのは有名だ。

 ただ、スタンドアローンのパッケージ商品であれば、どれだけ効果があったかという効果測定も難しく、アフィリエイトモデルも不可能だった。しかーし! 世はインターネット時代。ゲーム中でチラ見させたり紹介したりすることによって、どれくらい効果があるのかを証明できる準備が整っている。こういう発想って早くからPCオンラインをやってる欧米の会社ならではって感じよね。メーカーは赤字を出さなくても良質のコンテンツが制作できて、広告主は効果的な宣伝ができて、ユーザーは今までの値段でハイスペックのゲームが遊べる! みんなハッピーじゃないですか!

 でも、実際は「売れる」と確約されてるタイトルに広告が集中するので、これから売り出すってタイトルにどれだけ広告主が魅力を感じてくれるのかとか、いろいろな課題はあるのも事実。だから、大型タイトルだけさらに大型になるという、もしかしてハリウッド化に拍車をかけるもろ刃の剣かもしれないんだけどね〜。

<ダウンロードコンテンツへの道>

 いつも言うダウンロードコンテンツ(XBLAとかWiiウェアとか)については、しつこいと言われそうだから今回は控えめにして、若干違う趣きのお話を。パッケージを売り切っただけで開発費が回収されないなら、パッケージに加えてダウンロードコンテンツを売ればいいじゃないかと。世はハードのシステム自体もオンラインでパッチをあてて機能を追加する時代。コンテンツだって追加しましょうよ。日本ではバンダイナムコゲームスの「アイドルマスター」が有名だけど、パッケージにコンテンツを追加しても良いではないかな?

 良質の大作ゲームが長い時間遊ばれて、新しいソフトを買ってくれない、って声も聞かれる昨今ですから、パッケージ売り切りで延々と楽しんでいただくと業界はあがったりなわけですよ。ってことで、楽しんでる分チャージさせていただきましょうよ!

 北米が「初動命」になってしまった原因としてもあげた、「中古」のけん制にもなる訳で受益者負担(楽しんだら楽しんだ分お金を払う)って観点ではとっても理にかなったものだと思うけどね〜。

 PCの世界では既にこの試みがかなり前から始まっていて、ダウンロードコンテンツにチャージするってのは今や当たり前の話。特にコンバージョン(海外移植)費用のかさむRPG(翻訳代が大変!)などはこの方法で回収していくという考え方もできるよね。

 あらゆる意味で、オンライン機能をつけるかって判断は、選択肢ではなく必須と考えるべきではないかなぁと。今後の可能性を考えると「方向」としては「行く」しかないのだ。

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