“宇宙最強”のゲーミングノートPC「Alienware M17x」を試すOC×SLI×SSD RAIDも可(2/2 ページ)

» 2009年07月10日 16時22分 公開
[後藤治,ITmedia]
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オーバークロックやSLI、RAID対応で圧倒的な性能を実現

 Alienware M17xが“宇宙最強”をうたう理由は見た目だけにあるのではない。その巨大なボディに格納されるハイエンドパーツは、ノートPCとしては群を抜くパフォーマンスを実現している。チップセットにグラフィックス統合型のNVIDIA MCP79(GeForce 9400M G)を採用する基本システムは、CPUの選択肢としてCore 2 Extreme QX9300(2.53GHz/2次キャッシュ6Mバイト×2/FSB 1066GHz)まで用意されており、BIOSからオーバークロック設定も行える。さらにグラフィックス機能は、GeForce GTX 260MまたはGeForce GTX 280MのSLI構成も選択可能だ。

 メモリは最大8GバイトのDDR3 SDRAM(1333MHz)、ストレージのBTOオプションにはHDDとSSDが並び、ドライブを2基搭載することによりRAID-0/1で運用することもできる。光学ドライブはスロットローディング式のDVDスーパーマルチ/Blu-ray Discコンボ/記録型Blu-ray Discドライブ。このほかIEEE802.11a/b/g/n(nはドラフト準拠)の無線LAN(MIMO 2×2)とBluetooth 2.1+EDRを標準装備している。OSは64ビット版のWindows Vista Home Premium/Windows Vista Ultimateだ。

CPU-Z 1.50の画面。評価機には最高のCore 2 Extreme QX9300(2.53GHz)が搭載されていた(画面=左)。GPU-Z 0.3.4の画面。SLI構成を選択すれば、チップセット内蔵グラフィックスとあわせて3つのGPUを搭載することになる。評価機はNVIDIA GeForce GTX 260MのSLIだった(画面=中央/右)

液晶ディスプレイの品質とキーボードの使い勝手は

17型ワイド液晶ディスプレイを搭載。評価機は1440×900ドット表示のパネルだった

 17型ワイドの液晶ディスプレイは、1920×1200ドットと1440×900ドットの2種類のパネルが用意されている。2灯タイプで輝度は高く、フレーム部まで光沢パネルがはめこまれており、発色も鮮やかだ。FPSゲームなど動きの激しいタイトルをプレイしやすいよう、パネルの応答速度は8msとノートPCの液晶としては高速だ。試用していて少し気になったのはディスプレイ部の重量で、巨大な鉄塊を思わせる天板は、開閉するときに両手を使わないと非常に重く、閉じるときはある角度を過ぎると自重で勢いよく閉じてしまう。このとき指を挟んだりしないように注意する必要がある。なお、評価機の液晶ディスプレイは解像度が1440×900ドットだったが、+1万2600円で1920×1200ドット表示にできるので、よほど予算に限りがなければ(そんな人はこのモデルを買わないと思うが)高解像度パネルを選択したい。

テンキー付きキーボード。日本語キーボードと英語キーボードを選択できる。写真は英語モデル

 キーボードは、17型ワイド液晶ディスプレイを搭載する幅広のボディにあわせて、テンキー付きになっている。BTOでは日本語キーボードと英語キーボードを選択可能だ。使い勝手はデスクトップPC用のキーボードに近く、タッチは柔らかめだがキーストロークは深い。また、キーボード右奥には、タッチセンサ式のメディアコントロールボタンとともに、音量調節や無線LANのオン/オフ、Alienwareコマンドセンターの起動ボタン、消費電力を最大240ワットから最大65ワットへ落とすステルスモードボタンが並んでいる。

 一方、タッチパッドのサイズは81×50ミリとボディに比べればやや狭く、ホームポジション(F/Jキー)にあわせて左寄りに配置されている。パッド表面には細かい蜂の巣状の模様がデザインされているのだが、指がパッド上をうまくすべらずに引っかかることがあった。パッド操作に慣れていない人は、普段使いのときでもゲーム用の外付けマウスを使うほうがいいかもしれない。

 なお、システム性能を最大に発揮する状態でベンチマークテストを行うと、3つのファン(SLI構成時)が高速で回転し、背面の排気口から熱風が吹き出て盛大な風切り音が聞こえた。ゲームプレイ時はどうしてもファンノイズが大きくなるので、ゲームの世界に没入したいときはヘッドフォンを利用するほうがいいだろう。深夜のWeb閲覧などゲーム以外の用途で使う場合は、ステルスモードやBinary GFXで内蔵GPU動作(GeForce 9400M G)に切り替えられる。Alienware M17xを冬のナマズみたいにおとなしくさせたいときに便利だ。

M17xの設定をまとめた「Alienwareコマンドセンター」から「AlienTouch」を呼び出せばタッチパッド関連の設定を行える。パッドの感度や垂直/水平スクロール、エッジモーションなどの調整が可能だ。また、外付けマウスを接続すると自動的にパッドがオフになる設定も可能で、マウスでゲームをプレイしているときの誤操作を防いでくれる

電源管理ツールの「AlienFusion」では、バッテリー/電源駆動にあわせて、CPUやGPUなどの動作を調整できる。もっとも、M17xをモバイルで利用するシーンはほとんどないと思われるので、常に最高パフォーマンスでもかまわないだろう

Webカメラを利用したセキュリティ機能「AlienSense」では、ユーザーの顔を識別してログイン認証を行う。初回時の認証だけでなく、別のユーザーの顔が映るとアカウントを切り替えたり、登録済みの顔が一定時間認識できなくなると自動的にロックがかかる設定などもある(写真=左/中央)。タスクバーの通知領域にあるアイコンを右クリックすれば、内蔵GPUと外付けGPUを切り替えられる(写真=右)

ベンチマークでシステム性能を検証

 最後に定番ベンチマークテストを実施した。ただ、今回評価したAlienware M17xは量産試作機であり、なぜかWindows Vistaのシステムプロパティが表示されず、Windows エクスペリエンスインデックスのスコアが算出できないなど一部で不具合が見られた。また、HDDにはHGSTの「Travelstar 7K320」(320Gバイト/7200rpm/2.5インチ)が2台搭載されていたが、これは現時点でのBTOには用意されていない構成だ(320Gバイト×1はある)。スペックは、CPUがCore 2 Extreme QX9300(2.53GHz)、メモリが4Gバイト、HDDが640Gバイト、グラフィックスがGeForce GTX 260M×2のSLI構成、光学ドライブがBlu-ray Discコンボ、液晶ディスプレイが1440×900ドット表示のパネルだ。

 なお、比較対象としてNVIDIA GeForce 9400Mチップセットを採用する15インチMacBook Pro(MB985J/A)にWindows XP Home Edition(SP3)を導入したときのスコアも掲載した。こちらはCPUがCore 2 Duo P8800(2.66GHz/2次キャッシュ3Mバイト/FSB 1066MHz)、外付けGPUがGeForce 9600M GT(256Mバイト)。ただしOSは統一されていないので参考程度に見てほしい。

PCMark05(画面=左)と3DMark06(画面=右)の結果

 PCMark05の結果は、CPUが8014、Graphicsが14357と、ノートPCとしては非常に高い値をマークし、特にグラフィックス性能が突出しているのが分かる。15インチMacBook Proに比べてHDDでも大きく差を広げているのは、2.5インチながら7200rpmの高速なドライブを採用しているためだろう。SSDを選択したり2台のドライブでストライピングすればさらに高い性能を期待できる。3DMark06のスコアも1万3000を軽く超えており、高い3D描画性能を要求するゲームタイトルでも快適にプレイできるはずだ。

3DMark Vantageの結果。EntryモードはGPUスコアが36736(画面=左)。STREET FIGHTER IVベンチの結果。初期設定から垂直同期をオフにし、フルスクリーンモードで実行している(画面=右)


 宇宙最強を名乗るだけあって、Alienware M17xは外観も中身も非常にアグレッシブな1台に仕上がっている。ただし、最小構成なら24万7240円からのスタートだが、評価機の構成でも40万円を超えており、上を求めていけば軽自動車が買える値段を軽く突破してしまう。性能面でも過度の期待は禁物で、ゲームタイトルによってはデスクトップPCでハイエンドのグラフィックスカードを1枚挿しで使ったほうがいいかもしれない。コストパフォーマンスを考えると、純粋にゲームを楽しみたいユーザーにはおすすめしにくいモデルだ。

 もっとも、ゲーム用にチューンされたデスクトップPCはすでに持っており、「LANパーティ用に持ち運べるマシンがほしい」という人や、何よりその外観に引かれるという人、「ただのPCには興味ありません、この中に宇宙人のPCがあったらわたしのところに来なさい。以上」という人にとっては唯一無二のモデルであることは間違いない。

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