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» 2010年11月09日 17時44分 公開

二つの映像をメガネで切り替え――多重化映像システム「Scritter」が提案する、新たなe-Sports観戦の形とは日々是遊戯

神奈川工科大学で先日、ちょっと変わったe-Sportsイベントが開催されました。e-Sports中継にぴったりの多重化映像システム「Scritter」とは一体……?

[池谷勇人,ITmedia]

メガネをかけるだけで、二つの映像を任意に切り替え可能

 去る11月6日、神奈川工科大学の学園祭にて、「スーパーストリートファイターIV」を使った、ちょっと変わった学生トーナメントが開催されました。

 ユニークだったのはその観戦方法。今回は神奈川工科大学・白井研究室で開発された多重化映像システム「Scritter」が用いられ、観戦者は特殊なメガネを通してスクリーンを見ることで、異なる二つの映像を自由に選んで見られるようになっていました。

 もうちょっと詳しく説明しますと、例えば片方ではリュウVSケンの試合が行われていて、もう片方では春麗VSガイルの試合が行われているとします。このとき正面のスクリーンには二つの映像が常に「重なった」状態で映し出されており、そのままではどうなっているのかよく分かりません。

 ……が、配布されたメガネを通して見るとあら不思議。右目をつぶるとリュウVSケンの試合が、左目をつぶると春麗VSガイルの試合がはっきりと見えます。今回使用したメガネは右目・左目で映像を分けていましたが、「左・左」のメガネと「右・右」のメガネを用意すれば、メガネをかけかえることで任意の映像を選択することも可能だそう。これを使えば、同時に複数の試合が行われていても、好きなキャラクターや好きなチーム、好きなプレイヤーの映像を常に選択して見ることができるというわけです。

 今回実際に使用されたのは、プロジェクター2台と、手作りの240インチシルバースクリーンで構成された「Giant Scritter」と呼ばれるもの。Scritterシリーズは白井准教授が東京工業大学の学生と研究をはじめたもので、それをe-Sports観戦に応用する――というのは神奈川工科大の学生のアイデアだったそうです。

 「基本的な仕組みは3D映画と一緒です。3D映画では左目用映像、右目用映像をそれぞれ映し出していますが、ScritterではそれをAチーム、Bチームの映像に分けているんです」(神奈川工科大学 情報学部情報メディア学科 白井暁彦 准教授)

 またe-Sports観戦以外にも、「例えば映画なら日本語字幕と英語字幕を同時に映すことができる。リビングのテレビに導入すれば、野球中継が見たいお父さんとゲームで遊びたいお子さんが一つのテレビで共存できます」と白井氏。映像の多重化だけでなく、応用として「電気的な装置を使わずに、裸眼では見えなかった映像が見えるようになる技術」も実現しているとのこと。「SF映画の世界が体験できますよ」(白井氏)

 イベントでは「スパIV」トーナメントのほか、IGDA日本デジタルゲーム競技研究会の松井悠氏と、ホリの村松洋明氏、天野幸一郎氏を招いたe-Sportsについてのトークイベントも実施(松井氏はトーナメントにも参加し、見事優勝をさらって会場からブーイングを浴びていました)され、約3時間にわたるイベントは最後まで和気あいあいとした雰囲気のなかで幕を閉じました。

 「こういうイベントが大学で行われるようになったことに意味がある。研究分野のひとつとしてゲームが認められつつあるということだと思います」と松井氏。今回は対戦格闘ゲームでしたが、個人的にはFPSやRTSなどの中継でより効果を発揮しそうなシステムだと感じました。近い将来、Scritterがe-Sports観戦のスタイルを変える日も来るのかもしれません。

会場で配布された専用メガネ。左目と右目で異なる映像が見られます
プロジェクタ自体はごく普通のもの。レンズ部分に偏光フィルタが張ってあります
専用の240インチシルバースクリーンは学生による手作りとのこと

これがメガネを通さずに見た状態。スクリーンがシワシワなのは急ごしらえのため
メガネをして見ると、それぞれの映像をはっきり見分けることができます。映像がちょっとシワシワなのはご愛きょう

神奈川工科大学 情報学部情報メディア学科 白井暁彦 准教授
今回「Giant Scritter」を製作した、白井研究室の荒原一成氏
2位、3位の二人には賞品として「リアルアーケードPro.VX SA」が送られました(松井氏は賞品を辞退!)

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