任天堂岩田聡氏による基調講演「Disrupting Development」:Game Developers Conference 2006
既報のとおり、現地時間の23日米国サンノゼで開催されているGDC 2006において、DS「ゼルダ」と、メガドライブとPCエンジンのタイトルをレボリューションでは配信すると発表した。基調講演の様子を改めて報告しよう。
現地時間の23日、任天堂代表取締役社長・岩田聡氏の基調講演を聞こうと、会場となるSan Jose Civic Auditoriumの前には多くの開発者が列をなした。
現在、米国サンノゼで開催されている「Game Developers Conference 2006」(GDC 2006)において「Disrupting Development」(破壊的開発)と題して講演が行われ、既報のとおり2006年末発売予定のニンテンドーDS用ソフト「ゼルダの伝説 Phantom Hourgalss」が紹介。さらに任天堂の次世代ゲーム機レボリューションのダウンロードサービス「バーチャルコンソール」では、自社タイトルのほか、セガのメガドライブで発売されたタイトルやハドソンがNECと共同開発したPCエンジンのタイトルをダウンロードできるようになると発表された。
冒頭岩田氏は、“戦略の再検討”“ビジネスの再定義”“市場の拡大”の3つを任天堂のビジネスモデルとしていると紹介する。ペプシが業界シェアNO1になったのも、制約を受けることなく他食品に進出したことなど、破壊的戦略によってライバルを追い抜いたと例を挙げる。任天堂も同じことをしていると、ニンテンドーDSの成果を発表した。その成果については先日行われた「ニンテンドーDS カンファレンス!2006.春」に詳しいのでそちらを参照していただくとして、その後北米で展開される「東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング」(以下、脳トレ 英題:「BRAIN AGE」)のコンセプトが語られた。
今後高齢化社会を迎えるにあたり、シニア向けのゲーム開発を取締役の浅田篤氏に勧められ、さらに財務の責任者が実際に脳トレをやっていたことことをきっかけに川島教授へのアプローチがはじまったと明かす。こうして脳トレは誕生することになる。しかし、当初ゲームの説明を販売店の方に説明してもいまいち反応は薄かったと語る。それが今では大ヒットであると、開発への背中を押した浅田氏と財務担当のおかげと会場を沸かせる。
その後、北米版の脳トレ「BRAIN AGE」を実際にプレイしてみせる。「BRAIN AGE」には日本版とは異なり、全世界で流行している数独が加えられている。ここで登場となるのが、同日基調講演を控えていたWill Wright氏。開発者とともに4人でトライアル版を遊んでみる。
その後はWi-Fiコネクションが、たった18週目で100万人のユーザーを獲得するにいたった経緯を説明。また、破壊的タイトルばかりではないと、既存のものでも素晴らしいものはこうして待ちわびてくれる人がいると「メトロイドプライム ハンターズトーナメント」を紹介した。ここでも同じく開発者が招かれ4人同時対戦をやってみせる。ほかにも「テトリスDS」や「New スーパーマリオブラザーズ」を紹介すると、盛り上がる会場に集まった皆さんのためにと、「ゼルダの伝説 phantom hourglass」のムービーが流された。
こうして参加者を魅了させるといよいよ次世代機レボリューションの話へと続ける。レボリューションの特徴ともいえる特殊なコントローラについて、なぜこんな形になったのかと聞かれるのだそうだ。それについて岩田氏は、4つの理由を挙げる。それは“ワイヤレス”であり、“手になじみやすく”、そして“洗練されたもの”でなくてならず、“革命的”でなくてはならない。既存のコントローラだと複雑すぎてそれを手に取ることをためらう人も少なからずいる。どの家庭にもあるリモコン型のコントローラになった経緯を語りながら、これだけの試行錯誤を重ねてきたのだと、さまざまなプロトタイプを紹介する。
また、昨年のE3でレボリューションのバーチャルコンソール機能を発表した際に、他メーカーのタイトルは扱わないのかとよく質問されたと明かす。その答えがこれだとばかりに画面にはセガとハドソンのマークが表示される。
こうしてレボリューションのバーチャルコンソールにおいて、セガのメガドライブおよびジャネシスのタイトル、ハドソンのPCエンジンタイトルがダウンロード配信されることを発表した。両社合わせて1000タイトル以上のライブラリーがあり、これらすべてとはいかないが、かなりの数のタイトルを確保していきたいとぶちあげた。どんなタイトルになるかは今後の発表を待たなくてはならない。
最後に岩田氏は、バーチャルコンソールはユーザーのすそ野を広げるためのコンテンツでありビジネスだと理解していると語る。任天堂は今後もさまざまな挑戦を続けると、力強く観衆へ訴えかけた。
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