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「99のなみだ」はどうして生まれたのか?CEDEC 2008(2/2 ページ)

「自分や自分に似た人に向けた製品を作りたい」――。ニンテンドーDS用ソフト「99のなみだ」の起源は思いがけないものだった。

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制作でのこだわり

photo 鈴木氏

 鈴木氏は、磯氏、青木氏たちの中で出来上がっていた、大まかなプログラムやモードのイメージを実行するにあたり、まず不明瞭(めいりょう)な部分はないか、ゲームに抜けがないか精査する作業を行った。

 まず、だれでも短期間で大量のショートムービーを作れるツール、限られた曲数で使い回す感を出さなサウンドシステムを開発。また女性ならではのこだわりの仕様「ランプ点火、吹き消し」や「1日1話制限仕様」のような、ある意味奇抜とも言えるアイデアを、ユーザーに受け入れられるようアレンジすることを心がけたと鈴木氏。「(1日1話制限仕様に関して)プレイヤーの時間を勝手に奪うという仕様は強引だったため、推奨という形にとどめました」(鈴木氏)。また「時にはもめたこともありまして、最低限譲れない方法まで掘り下げる。お互い納得のいく方法をとりました」とエピソードが語られた。

photo
女性ならではのこだわりの仕様

「99のなみだ」のプロモーションは?

photo 石田氏

 石田氏からはプロモーション展開について紹介された。同タイトルはイメージキャラクターに入山法子さんを起用したり、製品の向上のため秋元康氏、おちまさと氏、サッカーの高原直泰選手の作品を収録するなどのプロモーションが話題となっている。

 またソフト発売の2カ月前に小説版を発売。「日ごろゲームをしない20代、30代の女性をターゲットとしていました。女性は、ゲームショップには足を運ばれないですし、ゲームの専門媒体を読みません。『99のなみだ』を読んで心が暖まるいい話を集めたというイメージを読者の方にもってもらいたかった」と石田氏。小説は9月6日に発売された第2弾も合わせて、シリーズ累計37万部を突破。石田氏は今後も細く長くアピールしていきたいと意気込みを語っている。

新機軸のゲームタイトルを作る3つのポイント

 「本当にそんなこと(「99のなみだ」の開発)を続けて意味があるのかといった意見もありました。でも地味に耐えて製品化までたどり着いた。こんなの売れるのか、本当に作れるのか。もっともな質問ですし、言っていただいてありがたかったなと思う」と青木氏。新機軸のゲームタイトルを作る3つのポイントとして、青木氏は次のように述べている。

 1つに魅力的なコンセプトであること、次に作れる見込みがあること(早稲田大学の教授との研究裏付けなど)、最後に青木氏が「これが一番大切だった」と挙げたポイントは簡単にあきらめない根性があることだった。

 そして青木氏は「99のなみだ」の課題についても言及し、受講者へのアドバイスとした。「正直現状の売り上げ本数は厳しいです。魅力的なコンセプトではあったけれど、中身が伴っていなかったなど、具体的にみんなで考えている段階です。今後につなげられればいいなと思っています」(青木氏)。

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