小浜良いとこ「アメリカ大統領選挙」:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(3/3 ページ)
今回はヘクトの「アメリカ大統領選挙」。現実の選挙から1カ月近く経って、やや旬を逃したような気もしますけど、ここで取り上げなかったら次は4年後なので。もちろん今回行ったのは、あの町です。
小浜市の魅力的な風景
小浜の漁港近くにある若狭フィッシャーマンズワーフには、団体・ツアーの観光客が大勢いて、大型バスが何台も止まっていた。ここからは蘇洞門(そとも)という、6キロにわたって続く断崖絶壁の、景観を見られる遊覧船が出ている(時間が合わなくて私は行けなかった)。
御食国(みけつくに)若狭おばま食文化館は、小浜の食べ物に関するミュージアム。小浜が、朝廷に食物を納めてきた「御食国」であり、鯖街道の起点でもあり、北前船の寄港地でもあったことが解説されている。蒸しカレイ作りの様子を再現したジオラマや、小浜藩医だった杉田玄白が提唱した「養生七不可」、そして「ちりとてちん」のセットも展示。また地元の伝統工芸品、特に塗り箸について詳しく解説されていた。
いづみ町というアーケード街には今でも魚屋が多いが、ここは江戸時代初期から魚の問屋や仲買人が集まり、京都へ向かう鯖街道の拠点となっていた。小浜で鯖に塩を打って京都の出町柳へ運べば、着く頃にちょうどいい塩梅になったという。「京は遠ても十八里」という言葉が残るように、京都とのつながりが深い土地だったのだ。
ちなみに、小浜で食べた焼き鯖は、やっぱりうまかった。
三丁町を始めとした西部地区の、町屋の連なる風景もまたいい。町並み保存資料館は、江戸時代後期の町屋を修理した建物。裏庭に生えた柿の木が、素朴な彩りを添えていた。
小浜は海岸からの眺めも良く、対岸の山々がいい風景を形作っている。ただし、この風景が左右にかなり広がっているので、写真に収めてしまうとその魅力が今ひとつ伝わりづらい。夕暮れどきはことさらきれいなので、ぜひ一度当地まで来て、実際に眺めてみることをお勧めする。
私も単に、この記事のネタにするためだけに小浜まで来たのだが、海や町並みの風景、食べ物、伝統工芸といった小浜の魅力に、すっかり引きつけられてしまった。「オバマ候補を勝手に応援する会」の思うつぼである。
市街地を中心に歩き回ったので、山のほうまでは行かなかったが、市内の山々には“海のある奈良”とよばれるほど古刹が多く、それも見どころとなっているようだ。特に明通寺は、本堂と三重塔が国宝に指定されている。
もう1回プレイしてみたら事態が進展
小浜から帰ってきた後、画面写真を撮影するためにアメリカ大統領選挙をプレイしたら、はからずも予備選を突破して、全国党大会まで進んでしまった。
今までよりも頻繁に世論調査を行なったのが良かった。マニュアルと首っ引きで、州の民意と候補者のポリシーの合致点を3つ探して、それらを政策項目に選ぶ。政策値を少しずつ調整して、その都度世論調査を行い、支持率の増減を確かめる。政策値を動かすと直ちに支持率に反映されるので、プレイヤーの行動によって選挙の情勢を変えられる。
政策を賛成・反対の2択ではなく、どの程度の賛成・反対かゲージで調節して決めるシステムは、「新たな支持者を増やすために従来からの主張を緩めたら、従来からの支持者が減ってしまう」という、大統領選にありがちなジレンマを、うまく表現したシステムといえる。強く主張すれば支持率が上がるとは限らないのだ。
私はゲームをプレイしている間に、各政策項目についてもっと知りたくなり、当時の(一部は現在まで続く)さまざまな問題について、ネットで調べるきっかけになった。
メーカーのヘクトはこの後、株の売買をテーマにした「株式道場」や、M&A(企業の合併・買収)を描いたアドベンチャーゲーム「ビジネス・ウォーズ」、日本の政界をパロディにした麻雀ゲーム「麻雀倶楽部 永田町」などを発売する。いずれもヒットしたとは言い難いが、早すぎた“シリアスゲーム”だったと言えるだろう。
サッシャー候補で再プレイして、見事、党の大統領候補として指名を受けることができた。次はいよいよ本選挙だ。各州ごとに勝者独占方式で選挙人を選び、過半数である270人以上の選挙人を獲得した候補が、次期アメリカ合衆国大統領となる。
本選でも予備選同様、48項目の中から3つの政策を選んで政策値を決める。やはり小まめに支持率をチェックして、政策値を微調整する必要がある。政策値を決定して、テレビCMの予算配分を終えたら、全国遊説へと移る。だが遊説の内容はゲーム中には描かれず、そのまま11月8日の投票日を迎えた。
サッシャー、デカキス両候補ともに政策が似ていたためか、予備選で主張してきたのと同じ政策では決定的な差をつけられず、カリフォルニア、ニューヨーク、テキサスなど、選挙人の多い州を取られて敗れてしまう。
何度も再挑戦を繰り返した末、サッシャー候補のポリシーだったが、予備選では1回も主張していなかった「財政支出の抑制」を掲げてみた。これが決め手になったのか、支持率でデカキス候補を引き離し、ついに大統領選に勝利することができた。
やっぱり日本を叩くだけでは、大統領になれないということが良く分かった。……選んだ3つの政策の中には、しっかりと「新包括貿易法案」も入っていたけど。
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