サンライズのアニメーションはこうして作られている売れるのには理由がある(2/3 ページ)

» 2013年03月29日 10時37分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
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手紙でキャラデザイン依頼

 内容が決まって、さあ、それでは人物キャラクターのデザインを誰にお願いしようかとなったとき、なかなかよい案が出ませんでした。メカものとはいえ、最低限、女の子が嫌うような、汗臭いだけのようなキャラは避けなければならない、ということは分かっていたのですが……。

 そんなとき赤坂の書店でCLAMP(クランプ)さんの作品を見て、いいなと。私も、もちろんCLAMPさんという存在、「魔法騎士(マジックナイト)レイアース」「カードキャプターさくら」など、アニメ化された作品は以前から知っていましたが、改めて見て、今回の作品にぴったりだと思ったんです。それで、監督や他のプロデューサーとの会議にダメもとで提案してみたんですね。

 そうしたら、みんな「いいね!」っていってくれたのはよかったんですが、「じゃあ、依頼よろしく!」ということにもなって、それまでCLAMPさんとサンライズはまったく接点がなかったし、私だって面識もなかったんですが……当たり前のようにいわれてしまいまして、どうやって依頼すればよいか非常に悩みました。

 後から、「よくCLAMPさんに頼めたね」といわれたのですが、やはり私もCLAMPさん原作のアニメ化ならともかく、「まさかキャラデザインなんて頼めないだろう……」と思っていたので、本当にダメもとだったんです。

 それで、かれこれ1カ月近く悩み続けていたある日、偶然にも弊社に「CLAMPさんとお知り合いの方が、打ち合わせに来ている」という情報が入りまして、さっそく会って事情を話したところ、「手紙くらいだったらお渡しできますよ」とおっしゃっていただいて。「手紙の書き方」本を見ながら、必死で手紙を書きました。

 それで快諾していただけたのですが、電子メールがある時代ですから、CLAMPさんは「手紙で仕事の依頼を受けたのは初めてです」とおっしゃっていましたね(笑)。

富野監督の異種格闘技的人選

―― 話題性もさることながら、CLAMPさんの絵柄とロボットが、意外と合うなと思いながら、当時テレビ放送を観ていたのですが。

河口氏 人選に当たっては、いわゆる熱血的な絵柄ではないものを、というのはもちろんありましたが、私が気をつけていることに、異文化交流的な要素を入れるということがあります。

 これは「ブレンパワード」の制作に参加していて、当時、富野由悠季(とみの よしゆき)監督と同席していたときのエピソードなのですが、某社のトップの方が、「ブレンパワード」のスタッフを見て「富野監督、いのまたむつみさん、永野護さんの組み合わせがすごくいい」とおっしゃったんですね。

 そのときの私はその真意がまだ分からなかったのですが、これが富野監督の意図する、強い個性同士の異種格闘技的人選なんです。普通は個性が強い者同士を合わせてしまったら、どうなってしまうか分からないから避けると思います。

 しかし、あえて個性が強い者同士を合わせる、チャレンジしてみることでそこから新たなものが生まれる、そういったことを富野監督には教えていただきました。

 まあ、もちろんうまくいかないこともあります。富野さん監督で子供向けアニメをやろうとしたことがあったのですが、皆が個性が強くて、企画が瓦解してしまったこともあります。富野さんは非常にチャレンジすることを重視されるので、子供向けアニメにも前向きだっただけに残念なことでした。

 私も未熟で、制作の知識はともかく、営業の知識もなく、ただただ「内容がおもしろければいいだろ!」と、突っ走っていたところがありました。会社の正式な企画の手続きもとばしていたので、ちゃんと手順を踏んで各方面の調整をしながら進行しなければいけなかったと反省しています。

画像 1998年にテレビ放送された「ブレンパワード」。総監督、富野由悠季。メインデザイン、いのまたむつみ/永野護

コンスタントにヒットを生む秘訣

―― テレビ版「コードギアス 反逆のルルーシュ」から、「コードギアス 亡国のアキト」制作開始までの流れはどういったものだったのでしょうか? 普通に考えると、テレビ版の総集編や、同じキャラが登場する前段の物語、後日談などが無難で手堅い企画だと思うのですが。

河口氏 私が企画のときに考えることは、「世間を『あっ』といわせる」ことができるか? ということです。昔読んだインタビュー記事、確かノートパソコン「VAIO」の開発者インタビューだったと思います。それで非常に感銘を受けた言葉なのですが、ジャンルは違えどもアニメーションもまったく同じだと思います。

 例えば、安易な続編ものを続けていれば、最初の何作かは楽しんで観てもらえるかもしれませんが、じきに先が読まれる(予想できる)ようになってしまいます。そんなものは誰も「あっ」と驚かないし、いわゆるマンネリのものは誰も観たくないと思うんですね。「いったい何をやるんだ、こいつら?」ぐらいに思ってもらえる作品でないと。

 だからあえて劇場版「コードギアス 亡国のアキト」はスタッフも登場人物も変えて、作品の世界を広げることにしたんです。そうすることで、テレビ版を観ていない方にも楽しんでいただけて、テレビ版を観た方にはその世界を継承した作品として楽しんでいただけるという効果もあります。

画像 2012年に第1章が劇場公開された「コードギアス 亡国のアキト」。監督、赤根和樹。脚本、赤根和樹/浅川美也

 劇場上映で連作という企画は、「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」がすでにありましたから、そのおかげで「コードギアス 亡国のアキト」の企画がやりやすかったということもあります。

 一連の「ガンダム」関連作品が「ガンダム」の名を冠しながらも、ただの続編に終始していない、ファーストガンダムの文法を使って作品展開している、いわばアニメ「機動戦士ガンダム」を原作としながらもオリジナル作品になっているというのも、いつも「あっ」と驚いてもらえ、コンスタントにヒット作が生まれるようにという仕掛けになっていると思います。

 また、弊社にはオリジナル作品が好きで得意で企画力のある、人のふんどしで相撲をとるのがイヤというプロデューサーがいる。そういう想いで作品の制作を続けていると、やっぱりオリジナル作品が得意な監督さんであるとか脚本家さんであるとか、力を結集しやすい土壌ができるのは強みです。

 ただあまり、オリジナル、オリジナルと言っていると「サンライズは、原作ものはダメなのか?」と思われてしまうかもしれません。でも、オリジナル作品で腕だめしできるので、原作もので無茶をやって、世界観が台無し、原作ファンの期待を裏切るといったことがないという利点があります。ですから、原作ものを預けていただくのも歓迎です。ちょっと逆説的ですが(笑)。

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