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ガーミン、ForeAthlete610でランニング! 心拍数、健康維持に適切な運動についてスポーツ生理学の専門家に聞く散歩するガジェット(3/3 ページ)

腕時計タイプのGPS内蔵ランニングコンピュータ、ガーミン、ForeAthlete610とオプションのハートレートセンサーを使って健康維持のための運動にトライ! 運動と心拍数の関係や、健康維持のための適切な運動とは。

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―― 本格的に取り組んでいる、ランナーへのアドバイスもお願いします。

藤牧先生 スポーツ生理学的にいうと、「楽でもなく、きつくもない」適切な運動強度は血中乳酸値で決定します。30分以上続けても血中乳酸値が上がってこなければ楽な運動、そうでなければ激しい運動ということです。多くの研究からも、運動を続けて血中乳酸が上がるか上がらないかの境目あたりが、適度な運動であることが分かっています。では血中乳酸を計測してみようと思っても、簡単に計測できないのが難点です。心拍数であれば胸に手を当てたり、手首(撓骨動脈)やくび(頸動脈)に指を当てたりして計測できますし、胸に電極付きのベルトを巻き、腕時計式に心拍数を見られる心拍計も市販されています。

 説明してきたように心拍数は、運動の強度と比例関係にありますから、運動時の心拍数と血中乳酸を同時計測して、血中乳酸が上がるか上がらないかの境目に相当する心拍数を見つけるという方法もあります。マラソン、自転車レース、トライアスロンなどに本気で取り組みたい人はいちど測定してもらうと良いのですが、体育系大学のスポーツ生理学研究室などでないと難しいのです。

 基本的に個人の方の測定は行っていないのですが、関東地方でスポーツ指導をしていたり学校で部活動の顧問をしてらっしゃる方が部員の測定をしたい場合、あるいは個人でも本格的にその種目に取り組んでいてプロのスポーツ選手を目指しているといった場合であれば、私が以前勤務していた、横浜市スポーツ医科学センターが対応できる場合もありますので相談してみると良いと思います。

 また、乳酸にこだわらず、無理なく長時間続けられる心拍数を見つけたい人は、ランニング学会の主催するランニングクラブに入会すれば、適切なアドバイスがもらえると思います。

 それから、心拍計をうまく使えばマラソンを完走するのは難しくないのです。自分の目標心拍数を確認しながら走るんですね。目安がないと、走り始めの元気なうちは「今日は調子がいいな!」と感じるものなのでオーバースピードでも気がつかないんですね。本人は気分が良かったりして。でも、実はそんなとき心拍数はいつもより高かったりするものなんです。もちろん自分の身体の感覚は大事ですが、人間、調子が良いと思うとついついやりすぎてしまいがちですから、正しいスポーツ生理学の知識を持って心拍数などの指標を活用するのが良いですね。

ForeAthlete610で実際にトレーニング

 藤牧先生のお話で漠然としていた、心拍数と運動の関係、健康を維持するための適切な運動とはなんぞやというものが、門外漢の筆者にも分かってまいりました。次はいよいよForeAthlete610を使用した実践に移りたいと思います。しかし、腕を振るランニングでは自転車に比べて表示をちょくちょく確認しにくいということがあります。走り慣れているランナーならともかく、筆者はまともに走るのは学生時代以来、何十年ぶりか? という状態ですからなおさらです。どうしようかとForeAthlete610に年齢や体重など設定しながらマニュアルを見ていたところ、藤牧先生がおすすめだとおっしゃっていたのと同じような、休み休み走るインターバルトレーニングモードがあるのを見つけました。

 実際の操作は、タッチパネルを「トレーニング」「ワークアウト」「インターバル」「トレーニング開始」とタッチするとトレーニングが始まるというものです。特に難しいことはないのですが、GPSが受信状態になるまで数分要します。このあたり、GPS機器を使用したことがある読者諸兄姉ならば言わずもがなでしょうが、空の見えない場所では衛星の電波を受信できませんから注意が必要です。GPSさえ受信されていれば、あとはどんなコースを走っても走行距離が自動的にカウントダウンされていきますから、何かを距離の目安にして同じコースを延々行ったり来たりする必要はありません。

画像 インターバルトレーニング画面。表示は上部が全4回走るメニュー中の1回目という意味で、下部が1回、1キロメートル走るという意味。内蔵GPSによって移動を計測して、移動距離に応じて距離が減っていく。0メートルになると、休憩時間になり60秒のカウントダウンが始まる

画像 インターバルトレーニング終了。走った距離が4キロメートルを超えているのは、休憩中に歩いていたため。長時間走ったという感じではなかったのだが、30分間走っていたことになる。奥はいっしょに走れば良い運動になるだろうと連れてきた娘。完全に飽きてしまっている。保育園児にランニングはまだ早かったか

心拍数の変化はパソコンで確認可能

 さて、天候不順などあって今回、データを取ることができたのは2日分になります。まず1日目は、自宅から出て自動車が来ない道へ、来ない道へと走って行き、最終的には歩行者用の遊歩道のような道に入って行ったり来たりしました。どこかに「走りに行くぞ!」と気合いを入れなくても、自宅を出てすぐ走り出せるのがものぐさな筆者にはありがたいところでした。

 そして2日目は、休日で保育園が休みなためエネルギーありあまている娘を引っ張り出して近所の公園をいっしょにぐるぐる周回しました。筆者は学生時代から、グラウンドなど同じコースをぐるぐる走るというのがすぐに飽きてしまい苦手だったのですが、走れば走るほどForeAthlete610の表示がどんどん減っていくので、それを見ながら楽しく走ることができました。

 ただ、ゆっくり自分のペースで走れば大丈夫だろうと、ほとんど何も考えず初期設定のまま1000メートルを4本、4000メートルを2日間連続で走ったのは運動不足の筆者にとっては無謀だったのかもしれません。走った次の日から2日間ぐらいは背中と腰から下の関節がちょっと痛み、全身が軽い筋肉痛になってしまい、走るというのは全身運動なのだということを身をもって知ることとなりました。ただ3日目ぐらいからは関節の痛みもとれ、血行が良くなったのか肩こりがずいぶん軽くなりました。

 肝心の心拍数なのですが、筆者は走っているだけで精一杯という状態でトレーニング中はほとんど確認できませんでした。でも、大丈夫です。先述のごとく、ForeAthlete610にはUSBメモリ状のデータ転送ユニット、USB ANTスティックが同梱されておりパソコンにデータを送信することができるのです。

画像 ForeAthlete610の画面でも、心拍数や平均心拍数、消費カロリーなどのデータは確認できるが、それだけでなくデータをパソコンに転送して管理することもできる

画像 ガーミン、日本総代理店いいよねっとのホームページから無料でダウンロードできる "Gamin Training Center" でForeAthlete610から、パソコンへ転送したデータの確認、管理が可能だ。上が走った経路で、下のグラフ(赤いライン)は、縦軸が心拍数で横軸が時間

画像 走った経路が円になっているのは、公園を周回したため。今回は使用していないが、ガーミンが運営するインターネットサイト「Garmin Connect」(英語サイトだが言語切替で日本語表示も可能)を利用すればデータの管理や公開も可能だ

 このように、走っている際には走った距離やタイムしか確認していなかったとしても、後からそのときの心拍数を照らし合わせて確認することができます。走りながら心拍数が確認できるということに加えて、記録にも残すことができるForeAthlete610は、マラソン愛好家だけでなく、健康を維持するためにこれから走りだしたい人にとっても有効な機器であるといえるのではないでしょうか。藤牧先生がおっしゃるように、心拍数などの指標があれば有効なトレーニングをする助けになりますし、日々データが蓄積していくのを見るだけでも継続のモチベーションになるのではないでしょうか。筆者も2日間だけのデータだけでなく、もっと続けてデータを比較してみたかったと思いました。

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