初めての遺伝子検査――Webで確認する自分の体質、傾向、発症リスク(後編)遺伝子検査体験記

手法が簡易化され、価格も手頃になってきたことから、近年広まりつつある「遺伝子検査」。とはいえまだまだ体験したことのある人は少ないはず。体験記シリーズの後編をお届けします。

» 2015年01月16日 11時00分 公開
[杉本吏,ITmedia]

 自分の先天的な体質や疾患リスクを調べられる「遺伝子検査」。昨年末にだ液サンプルを送り、診断結果が届くのを心待ちにしていたが、それがついに先日届いたので内容をレポートしてみよう。

 普段の健康診断のイメージが強かったのか、筆者はなんとなく「結果は封書で届く」ようなつもりでいたのだが、実際には公式サイトからログインしてすべてWeb上で確認する形式となっている。

診断結果ページのトップ画面

Webで確認する診断結果

 ログイン後の画面には、「疾患名」と「論文オッズ」がずらりと並んでいる。論文オッズとは、自分と同じ遺伝子型を持つ人が、その病気にどれくらいかかりやすいか(発症しやすいか)を倍率で表したもの。数値が1より大きくなるほどリスクレベルが高くなり、「2型糖尿病:1.4倍」といったように表される。

 これが疾患ごとに最大330項目分あり、それぞれ疾患カテゴリ別や体質カテゴリ別、リスクレベル別など、複数の見方ができるようになっている。さらに各疾患の詳細情報ページも個別に用意されており、ボリュームはかなりのもの。結果が封書で届かないはずである。

疾患カテゴリ別サマリ。リスクレベルが1.49倍を超えるとHigh、1.49倍〜1.01倍がMiddle、1.00倍以下はLowとして表示される
体質カテゴリ別サマリ。いわゆる「病気」だけでなく、髪の太さや肌タイプ、速筋型・遅筋型など体質的な傾向も分かる
リスクレベル別サマリ。疾患カテゴリとリスクレベルをクロスした表になっており、これが最も見やすいかもしれない
オッズ別サマリ。リスクレベルが高い方から順に疾患名が並ぶ。賭け事と違って、どれもあまり的中してほしくないものばかりだ

 表中でそれぞれの疾患名をクリックすると、詳細情報ページに飛ぶ。ここでは各疾患の簡単な説明と自分の発症リスクレベル、その予防と対策を読むことができる。診断の根拠となる「個別遺伝子型結果」や「遺伝子詳細」「参考文献」といった情報もあり、これがつまりは診断結果のソースとなる。

気になる疾患のページを見てみる

 なにしろ診断項目が330もあるので、一つ一つを細かく見ていくのは大変だ。以下、普段自分が気になっている項目を重点的に見てみた。筆者はお酒が好きでよく飲む方なので、痛風肝臓周りの評価がどうなっているのかが気になる。

まず見たのはアルコール代謝。日本人は先天的にアルコール分解能力が低い人が多いと聞くが、筆者はどうやら強い方のようだった。良かった……?
「風が吹くだけでも痛い」と言われる、こわいこわい痛風。発症リスクは1.35倍でMiddleだった
肝臓がんの発症リスクは1.33倍。「特に飲酒量には気を付ける必要あり」との記述に身を引き締める

 アルコール関連以外にも、男性ならやはり気になる「髪の毛」についての事情や、食生活全般肥満タイプについても見てみた。

 まず「男性ハゲのなりやすさ」については1.48倍でMiddle評価。決して気が抜けない(下手なジョークを言いそうになったがやめた)数値だ。食生活については、先にも述べたアルコール代謝やカフェイン代謝、甘味や苦みの感知度などさまざまな項目があったのだが、興味深かったのが「マヨネーズ苦手」との評価。そうだったのか……(いや、筆者自身は決して苦手ではないのだが、同じ遺伝子型の人はそういう傾向が、という話です)。

 肥満タイプについては、男性に多いという「りんご型」(おなか周りに脂肪がつきやすい)ではなく、女性に多いらしい「洋なし型」(おしり周りに脂肪がつきやすい)とのことだった。そんなところの脂肪など気にしたこともなかったが、なるほどそういうものか、と思わされる。

 その他でも、発症リスクが特に高い項目には「6.25倍」や「4.79倍」といった数値が示され、何やら軽く緊張する。「むずむず足症候群」という、病名は分かりやすいが症状は非常に恐ろしいらしい疾患のリスクが高いことも分かり、思わずいろいろと調べてしまったりもした。

重要なのは「環境的なリスク」を抑えること

 今回こうした結果を知ることで、自分の遺伝子型が持つ潜在的なリスクを把握することができた。が、これらの数値だけを見て一喜一憂することは、遺伝子検査本来の役立て方からは外れているだろう。

 先天的なリスクはあくまでも確率の話であって、当然ながら数値が高くても発症しない場合もあれば、低くても発症してしまうこともある。重要なのは、ここから「環境的なリスク」を整えていくことだ。たとえば肝臓周りの疾患リスクが高いのであれば意識して飲酒量を減らすなど、いかにこの結果を普段の生活に反映していけるかが肝要になってくる。結果を基にむやみに不安がるのは本末転倒で、具体的に気になる部分があれば医師などに相談してみるのももちろんひとつの方法だろう。

 個人的には、初めての遺伝子検査ということで非常に興味深い体験となった。今後、同様に遺伝子検査を受ける人が増えていけば、サンプル数も増え、診断結果の精度はさらに上がっていくとのこと。近いうちに――それこそ数年のうちに、誰もが当たり前のように遺伝子検査を受けるようになる将来がやってくるのだろうか?

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