Apple Watchは失敗だったのか? 実機で気づいたメリットとデメリット:期待以上? 期待外れ?
Apple Watchの実機に触れて「これはすごい」と思ったところが多数あったのですが、期待していたのに残念だったこともありました。
2014年9月の発表会で“One more thing...”として「Apple Watch」が披露されてから約半年。現地時間3月9日の発表イベントで、ついにそのスペックや価格、発売日が明らかにされました。
この半年間、うわさを集めた記事や推測記事などを見たり、あるいは自分で書いたりしながらさまざまな情報に接してきましたが、そのうわさは多くが本当であり、発表の内容で驚かされることはあまりありませんでした。ですが、実際に実機に触れるタッチ&トライを経て、Apple Watchの理解が進み、驚いたこともあります。また、中には期待していたのに残念だったポイントもありました。今回はそんな「驚いたこと」と「残念だったこと」を挙げてみたいと思います。
想像していたより軽かったのに驚いた
高級感のある金属製のケースに、しゃれたデザインの留め具が付いた本革製のベルトなどが組み合わせられるApple Watch。そのサイズ感は絶妙で、腕に着けていても邪魔と感じないバランスには驚きました。ボディはステンレス製とアルミ製、18金製の3種類がありますが、腕に付けてみるとどれも軽量です。
特にアルミのケースを採用するApple Watch Sportは、バンドをしっかり締めても着けていることを強く意識しないほどの軽さです。Sportのアルミケースは、Appleが新たに生み出した高硬度アルミニウムを用いており、ステンレスケースのモデルより最大30%軽くなっているとのこと。38ミリケースの場合で、ケース部の重さが25グラム(スポーツバンドを着けると合計72グラム)、42ミリケースの場合でも、ケース部は30グラム(スポーツバンドを着けると合計81グラム)しかありません。
Apple Watchのステンレススチールケースは、Sportよりは重いですが、それでも腕にはめたときに軽快さがあります。本体は38ミリケースが40グラム、42ミリケースが50グラムです。クラシックバックルを付けると、38ミリケースのモデルで合計56グラム、42ミリケースのモデルで合計69グラム。ミラネーゼループやリンクブレスレットのような金属製のバンドを着けると100グラムを超える重さになりますが、それでも高級な腕時計にあるずっしりとした重さは感じません。
Apple Watch Editionは残念ながら着けてみることができなかったのですが、こちらの重さはステンレススチールケースのものより38ミリケースで14グラム、42ミリケースで17グラムほど重いので、もう少し重さは感じるでしょう。また、こちらのモデルには別の意味の重さもありますので、着けたときの印象は他の2モデルとは違うかもしれません。
Digital Crownのスムーズな操作性に驚いた
Appleが、機械式時計のリュウズ(竜頭)をヒントに新たに開発した新しいユーザーインタフェース、「Digital Crown」(デジタルクラウン)は、Apple Watchを軽快に操作できる仕組みとして注目です。どんなシーンでも押し込むと時計を表示し、上下に回転させるとメニュー項目の拡大/縮小や画面のスクロールがスムーズに行えるなど、とても機能的で、操作に習熟していなくても使いこなせます。
Apple Watchのディスプレイは小さいので、タッチパネルと言ってもピンチイン/ピンチアウトの操作をさせるのは少々無理があります。その点をダイヤルでカバーしている点は秀逸で、回転時のほどよい力加減も快適で驚きました。
Taptic Engineによる振動に驚いた
Apple Watchには、iPhoneへの着信をさりげなく知らせる機能などがありますが、これを実現するのが「Taptic Engine」という名のリニアアクチュエーター(駆動装置)です。これにより、手首に振動を与え、まるで軽くたたかれているかのような感覚を起こすのですが、いわゆるスマートフォンのバイブレーションとは異なる雰囲気なので驚きます。
コミュニケーション機能の1つとして、自分の脈拍と同期した鼓動や、指でコツコツとたたいた振動を相手のApple Watchに送る機能があるのですが、この振動が妙にリアルです。ぜひ店頭などで試してみて下さい。
バッテリーの駆動時間が18時間なのは残念
さまざまな面白い機能やすばらしい性能が実現されていても、バッテリーの駆動時間が最大18時間とされているのはとても残念でした。実際に使ってみないと、実使用時でどれくらいバッテリー持つのかは分からない部分もありますが、基本的に毎晩家に帰ったら充電しないといけないのは、デジタルガジェットとしては普通かもしれませんが、時計と考えると少々煩わしさがあります。
18時間という駆動時間は、38ミリケースのモデルで、時刻のチェックを90回、通知を90回、アプリケーションの使用を45分間、Apple WatchからBluetooth経由で音楽を再生しながらワークアウトを30分間行った結果に基づくそうです。
ちなみに連続通話時間は最大3時間、オーディオの連続再生は最大6.5時間、心拍センサーをオンにした状態でのワークアウトで最大7時間です。
1時間に5回(4秒間ずつ)時刻をチェックする程度なら、最大48時間は動作するとのこと。省電力モードを使用すれば、さらに伸ばすこともできるようですが、通知などは一切しない状態なのであまり実用的とは言えないでしょう。
腕を上げると時刻を表示する仕組みにより、バッテリーを節約しつつ、ユーザーが見たいときにはしっかり画面を表示できる点などは良く考えられていると思います。でも、時計なのに普段は画面が消えているのも残念。せっかくの美しいディスプレイが、1日のうちほとんどの時間消えているのはなんとももったいないと思います。
また使用中に充電しようにも、Lightning端子を備えるiPhoneのようにモバイルバッテリーをつないで、というわけにもいきません。専用の充電ケーブルを持ち歩き、カバンの中などに入れて充電する必要があります。
充電は、80%までなら約1.5時間、100%までは約2.5時間だそうなので、短時間で急速充電できるのはいいですが、やはり丸2日くらいは充電せずに使え、入浴中くらいの短い時間で急速充電できるくらいが理想的です。
交換用のベルトが限られていて、選べない色やデザインがあるのも残念
Apple Watchは、ケースとベルトの組み合わせをいろいろ用意していて、追加でベルトだけ購入したりしてバリエーションが楽しめるのが特徴になっています。ですが、実は組み合わせられないケースとベルトもあるのです。
Appleによると、これは「Appleによるキュレーション」なのだそうですが、ケースの色とバックルの色がちぐはぐになったりしない限りは、多くの選択肢が用意されていた方がうれしいと思うのです。上質な素材を用いていることから、交換用ベルトもスポーツバンド以外はけっこういいお値段です。
ここはぜひ、サードパーティーベンダーにもベルトが作れるようなエコシステム作りに期待したいところです。
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