病院に行かずに健康チェック KDDIが「スマホ de ドック」を提供開始

KDDIが3月16日、手軽に健康チェックが行えるサービス「スマホ de ドック」を発表した。第1弾はリージャーと提携して提供する血液検査サービスだ。

» 2015年03月16日 19時54分 公開
[園部修,ITmedia]
スマホ de ドック 専用の検査キットにより、自宅で少量の血液を採血して血液検査ができる

 KDDIが3月16日、医療機関にかかることなく、手軽に健康チェックが行えるサービス「スマホ de ドック」を2015年夏から提供すると発表した。URLは https://www.smartkensa.com/。専用の検査キットで血液などを送付し、スマートデバイスを利用して検査結果を閲覧する。家に居ながら健康チェックが可能になる。

 スマホ de ドックサービスの第1弾では、リージャーと提携して「生化学14項目血液検査サービス」を提供する。価格は検査1回につき4980円。この血液検査サービスでは、専用の検査キット「デメカル血液検査セット FF」を利用し、0.065ミリリットルの血液を採取して、専用検査センターに送付することで糖尿病の指標などを含む14の検査項目(中性脂肪、HDL-コレステロール、血糖、HbA1c、総コレステロール、LDLコレステロール、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総タンパク、アルブミン)の結果が確認できる。

 検査結果は、A〜Dの4段階に分けられ、その内容に応じて、医学的見地からのコメントや悪化要因、改善ポイントのアドバイスを提供する。また、自宅や勤務先から近い病院を検索する機能なども用意する。

スマホ de ドックスマホ de ドック スマホ de ドックのスマートフォン対応サイトの画面。検査結果がある場合は、検査の日時を選択する画面がすぐ下に現れる。検査の結果は8つの項目に分けられ、それぞれA〜Dの判定が行われる
スマホ de ドックスマホ de ドック 8つの項目の中身はさらに細かく確認でき、全体の平均値から自分の検査結果の値がどれくらい離れているかを知ることができる。結果を踏まえ、医学的見地からのコメントや、結果が悪化する要因、改善すべきポイントなども確認できる

 今後は検査キットの種類を増やして、メニューを順次拡大するほか、血液以外の検査や、生活習慣チェック、健康サービスなどへの拡大も検討している。健康保険組合での導入を収益源としていきたい考えだ。

 なお、サービス開始は2015年夏からの予定だが、それに先立ち20の自治体と2つの健康保険組合向けに、実証事業として無料でスマホ de ドックのサービスを提供する。

検査は少量の血液を採取して送るだけ

 スマホ de ドックで利用する血液検査キットには、指先をちょっと傷つける専用の器具と、採取した血液の保存容器が同梱されている。手指採血検査と呼ばれるこの方法では、病院では通常、医療従事者が5〜7ミリリットルの血液を採取するのに対して、0.065ミリリットル(1滴から2滴程度)の血液を、自分で容器に入れて郵送すればいい。

スマホ de ドック スマホ de ドックは、Webサイトからこの検査キットを購入し、血液を採取して返送することで利用できる。結果は1週間ほどでサイトから確認できるようになる
スマホ de ドック スマホ de ドックで提供する手指採血検査は、静脈採血検査と比べても相関は良好で、高い精度のデータが取れるという

 採取した血液は、希釈緩衝液で薄め、約37度くらいの温度になっても問題なく保存できる状態にしているという。このためユーザーは検査データをポストに投函するだけで検査機関に送付できる。

 希釈した血液での検査は、直接血清を分析するよりは精度は落ちるものの、健常者の生理的変動よりは小さい誤差で測定できる。

血液検査で身体異常の発見が可能

 発表会に登壇したリージャー 微量血液分析研究所 所長の大澤進氏は、血液検査の重要性を説いた。

大澤進氏 リージャー 微量血液分析研究所 所長の大澤進氏

 「血液は、全身の組織や臓器を循環しており、常に体の健康状態を反映している。遺伝子検査なども話題になっているが、遺伝子検査はあくまでも自分の体質や遺伝的要因が分かるもの。現在の病気を知るためには血液が重要で、将来の疾患リスクファクターの予知もできる。また、ウイルス感染症の有無の確認や、がんマーカー検査によるがん検診も可能。定期的に血液の検査をしていれば、異常の早期発見もできる」(大澤氏)

 また、スマホ de ドックは、「自宅で簡単に検査できるのもいい点」と評価する。通常、医療機関などで血液検査をする場合は、空腹時に採血をすることが多いという。しかし、こうしたケースでは、食事後に一時的に血糖値が上がる「隠れ糖尿病」は見逃されがちだという。リージャーの検査キットなら、食後1時間程度で採血をするため、隠れ糖尿病も見付けられるという。

 検査結果のデータは標準規格にのっとったものを提供する。

KDDIの狙いは「行動変容する人に対してサービスを提供すること」

岩崎昭夫氏 KDDI 新規ビジネス推進本部 担当部長の岩崎昭夫氏

 KDDI 新規ビジネス推進本部 担当部長の岩崎昭夫氏は、「個人が定期的に健康チェックができる新しい仕組みを作りたい」と話す。KDDIでは、今後は「自分の体の状態を分かった上で、何か悪いことなどがあれば行動変容を起こそうと考える人が増える」と予測。そうした人たちに、KDDIが提供する「Karada Manager」「au Smart Sports Run&Walk」といった健康・ヘルスケア関連のサービスを紹介したり、その紹介の結果、本当に健康になったかどうかを検査によって明確にしたり、といった取り組みを検討しているという。

 健康のためのサービスには、アプリなどで簡単にできるものから、ちゃんとした指導を受けたり、スポーツクラブなどに行ったりしたほうがいいものまで、幅広い。そのため、何か1つを提供すればいいというものではなく、それぞれのユーザーに合った情報やサービスの提供が重要になる。

 岩崎氏は、まだ具体的なプランがあるわけではないと前置きしつつ、「複数のサービスをパッケージ化してスマホ de ドックで提供したり、『スマートパス』のように、定額でいろいろ利用できる『健康パス』のようなものを用意したりすることも考えられる」と話した。

 4980円という検査キットの価格も、「14項目の検査ができるサービスとしては安い方だと思う」と自信を見せた。まずは血液検査を多くのユーザーに利用してもらい、そこができてから次のステップに進むという。

 なお、KDDIとしてこの検査キットの販売で大きな収益を得ようという考えはなく、まずは20代30代のうちから、家庭の中で簡単に血液検査などの健康診断を習慣づけることで、いち早く表記を発見でき、これが健康寿命の増加と医療費の削減につなげることを目指すという。

 また、集まったデータは個人情報と血液の情報という機微な情報が結び付くので、それを商用化し、販売していこうという構想は今のところないとした。

 KDDIでは、病院に行かずとも健康のチェックができるような仕組みを用意することで、定期的な健康チェックの習慣化を可能にし、医療費を含む社会保障関係費用の増加などの課題を解決していきたいとしている。

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