第33回 watchOS 2がもたらすAppleとApple Watchの変化:“ウェアラブル”の今(1/2 ページ)
WWDC 15でお披露目されたApple Watchの新しいOS、「watchOS 2」には、さまざまな改善が盛り込まれていた。今後、Apple Watchの一目で分かることを重視するデザインが、Appleの他のソフトウェアにも拡がっていきそうだ。
Appleが6月8日(現地時間)から、米国サンフランシスコで開発者向けの年次会議「WWDC 15」を開催した。iPhone/iPad向けの「iOS 9」、Mac向けの「OS X El Capitan」に加えて、Apple Watch向けの「watchOS 2」も披露された。
いずれのOSも秋に正式リリースする予定だが、開発者向けにはすでに公開されている。今回は、この最新OSとApple Watchがもたらす変化について考えていこう。
watchOS 2による進化とは
watchOS 2でApple Watchにもたらされる変化をまとめると、以下の通りだ。
- 文字盤が新たに追加される
watchOS 2では、写真やアルバム、タイムラプスビデオなどの新しい文字盤が追加される。タイムラプスはあらかじめ用意された、香港、ロンドン、マック湖、ニューヨーク、上海でそれぞれ24時間撮影されたビデオが用意される。また、写真やアルバムは、Apple Watchに転送してある自分の写真を指定することができる。
- コンプリケーションを、アプリ開発者に開放
これまで、文字盤をカスタマイズする際に選べる情報表示「コンプリケーション」は、時計機能やカレンダーなど、Appleが用意したアプリのモジュールのみを指定することができた。これが、アプリ開発者に開放される。デモでは、フライト情報や自宅のシャッター、車の充電状況、スポーツの試合経過などを試していた。
- 「タイムトラベル」
これまで、Apple Watchを使っていても、意外とDigital Crownの使い道がなかったが、「タイムトラベル」という意外な機能でその使い道が拡がりそうだ。時計の文字盤でDigital Crownを回すと、時間をさかのぼったり進めたりすることができる。前述のコンプリケーションは、過去の状態や、未来の状態を表示することができるようになる。
- ナイトスタンドモード
Apple Watchの弱点としてバッテリーが上げられるが、夜寝ている間に枕元で充電するような場合に、Apple Watchの画面にシンプルなデジタル時計とアラームを表示するモードが追加された。
- ネイティブアプリ開発
watchOS 2の最大の関心事は、ネイティブアプリが開発できるようになった点だ。この点については後で詳しく述べる。
- アクティベーションロック
Apple Watchの弱点として指摘されてきた盗難対策。驚くべきことに、現在のApple Watchは、盗まれてパスコードが破られれば、アクティベーションをし直して、他のiPhoneとペアリングできる。watchOS 2ではApple Watchのアクティベートに、iPhoneのようにiCloud・Apple IDパスワードが必要になる。
ポイントは、アプリへの入り口の多様化
watchOS 2で我々ユーザーがすぐに体験できる進化は、控えめなものと言える。ただし、開発者にとっては、自分のアプリをApple Watch上で活用してもらいやすくするための仕組みが用意された。
これまで、Apple Watchのアプリを使うには、アプリを開く、グランスで情報表示をしてアプリへリンク、通知からアプリへリンク、という3通りが用意されてきた。
今回、文字盤カスタマイズのコンプリケーションが一般アプリに解放されたことから、ユーザーは、文字盤に表示されている情報からも、アプリを開くことができるようになる。
コンプリケーションは、常に文字盤に表示され、最新の情報にアップデートされていく。例えば現在対応しているアクティビティや株価は、文字盤を見るごとに最新情報に更新されており、刻々と変化する情報を簡単に追いかける手段にもなる。
同時に、コンプリケーションは機能を呼び出すショートカットとしても利用できる。
例えばApple Watch標準の機能である「タイマー」は、タイマーを使っていないときには「セット」という文字列が表示されているだけだ。これをタップすればタイマーの時間設定を行うことができ、すぐに利用し始めることができる。
ちなみに、コンプリケーションのカスタマイズを加えると4通りだが、Apple Watchにはもう1つ、アプリを利用する手段が残されている。それはSiriだ。前述のタイマー設定の場合、文字盤を表示させて「Hey Siri… 13分のタイマーをセット」と話しかければ、タイマーを設定することができる。
watchOS 2では、アプリの個別の機能をSiri経由で呼び出すことができるようになり、Siriもまた、アプリ利用のきっかけとして機能するようになる。
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