「エコノミー症候群」の恐れも? 在宅勤務の問題点について考える

テレビ会議が多用される今、多くのIT企業が在宅勤務(テレワーク)を導入しています。そこで、在宅勤務に潜む健康リスクを洗い出してみます。

» 2015年08月14日 06時00分 公開
[石原亜香利ITmedia]

 先日、IT企業インフォテリアが、気温35度を超えると予想される日に在宅勤務を推奨する制度を導入したと発表しました。こうした例のように、普段の業務において、テレビ会議を用いた遠隔地との仕事が当たり前のように行われているような会社では、在宅勤務、いわゆるテレワークの導入は比較的スムーズに実施できると考えられます。

 しかしながら、在宅勤務は日本においてはまだまだ制度としての歴史も浅く、未整備の点が多く見られるのもまた事実。よく指摘されるのはコミュニケーション面での不備についてですが、今回はちょっと目先を変えて健康リスクに着目してみましょう。

通勤ストレスはないけれど……在宅勤務の健康リスクって?

在宅勤務に潜む健康リスク……「運動不足」

 在宅勤務の一番の健康リスクとして浮かんでくるのは、座りっぱなしによる運動不足です。従来の通勤型勤務では、特に運動とは思っていなかった何気ない会社への行き帰りや、ちょっとしたコピー機とデスクの往復、会議室への移動など、たとえ内勤でも意外と運動チャンスはありました。

 しかし、在宅勤務の場合、工夫すれば外出を減らすことはできますし、必要なものもデスクから手の届く範囲に置いておけば、座りながら全ての作業が完結してしまいます。よって、自ずと運動不足に陥ってしまうというリスクが浮かび上がってきます。

果ては、エコノミークラス症候群や肥満に?!

 米国のシリコンバレーなどでは今、“Sitting is the new smoking”(座っていることは喫煙のように身体に悪い)という警句がうたわれていることをご存じでしょうか。いわゆるウェアラブルデバイスの代表的な製品として世の中に受け入れられている「Apple Watch」にも、1時間あたり1度、立ちあがって軽い伸びなどをすることを促す「Stand」機能が標準搭載されています。

 座りっぱなし生活を毎日のように続けることによって高まるリスクとしては、具体的にエコノミークラス症候群や肥満などが考えられます。エコノミークラス症候群とは、飛行機のエコノミークラスなどの狭い空間に長時間座っていることが原因で起きる症状。足の血流が悪くなって静脈の中に血栓ができてしまい、急に立ち上がったときなどに、肺に到着した血栓が動脈をふさぐことで、突然死を起こすこともある侮れない病気です。

 オフィス内でもこのような状況なのですから、ましてや在宅勤務では、さらにこうしたリスクが高まることは自明と言えます。ただし、家の中でもある程度の時間が経過したら立ちあがって歩いたり、トイレに行ったり、外へ買い物に行ったりすることを意識的に行うだけで、忍び寄るリスクを大きく軽減できるはずです。

通勤ストレスや食事時間の確保ができるのは良し!

 在宅勤務は、満員電車などの通勤時のストレスから解放されたり、不規則だった食事内容や時間が健全になったりと、心身の健康にプラスになる見込みもあります。ただ、一日中、誰とも話さない日もあるため、刺激が少ないことや、生活リズムを崩しやすくなるリスクについても、事前に十分把握しておく必要があります。

 通勤時間を短縮し、仕事効率も高めると言われている在宅勤務ですが、長期間行う場合にはこのような健康リスクを考慮し、適度な運動や生活リズムを崩さない意識付けが必要です。個人レベルではもちろん、組織としての対応や決め事の整備も、今後社会的に進んでいくことでしょう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/04/news045.jpg ヤマト運輸のLINEに「ありがとニャン」と返信したら…… “意外な機能”に「知らなかった」と驚き
  2. /nl/articles/2407/04/news034.jpg イヌワシが捕えて飛ぶのはまさかの…… 自然の厳しさと営みに感動する姿が660万件表示「こんな鮮明に見えるのは初めて」
  3. /nl/articles/2407/02/news189.jpg その発想はなかった……! ワークマンの1280円“サコッシュ付きTシャツ”の機能性がヤバい 高コスパなアイデア商品に「斬新」「え、すごい」
  4. /nl/articles/2407/02/news144.jpg 新生児を寝かしつけているのは……えぇーっ!? 思わず二度見の“おねんねタイム”が230万再生「なんじゃこの癒やしの塊は」「心臓ギュッとなった」
  5. /nl/articles/2407/03/news185.jpg 「鬼すぎない?」 大正製薬の広告が“性差別”と物議…… 男女の“非対称性”に「昭和かな?」「時代にあってない」
  6. /nl/articles/2407/03/news021.jpg 大好きな新聞屋さんに会えた柴犬、喜びを爆発させるが…… 切なすぎるお別れに「大好きがあふれてる」「帰りたくなくなっちゃいますね」
  7. /nl/articles/2407/04/news074.jpg こ、これは……! Netflixで見られる“幻のアニメ映画”に思わず二度見 「まさかネトフリでやってくれるとは!!」
  8. /nl/articles/2407/04/news011.jpg お義母さんに毎日「一口ちょうだい」と言い続けるドッキリ まさかの“感想”に「私もこんな義母がほしかった」「なんか涙出る」
  9. /nl/articles/2407/04/news030.jpg “新しい推しができたときのオタク”の現実を表したイラストが550万回表示 「マジでこれ」「これは真理」
  10. /nl/articles/2407/03/news164.png 新紙幣「一万円札と千円札の1の字が違う」SNSに違和感覚えるという声も…… 「1」のデザインが違う理由は?
先週の総合アクセスTOP10
  1. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  2. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  3. 皇后陛下、「淡いピンクの装い」に注目集まる 「天皇陛下のネクタイ」に合わせたコーディネートか
  4. レジンで生のイチゴを閉じ込め→4年放置したら……? “まさかの姿”に「100万年後に発見されて欲しい」
  5. 天皇陛下とチャールズ国王、“満面の笑みのショット”に反響
  6. 汚れたホースに綿を詰めて流したら…… 無色透明の水が“信じられない色”へ変化する光景に思わずゾッとする
  7. 「これが的を射たレビューってやつか」 セクシー俳優出演作を独自の視点で斬るレビュワーが大きな話題に 「ガチレビュー草」
  8. ビートたけし、数千万円級の“超高級外車”で商店街行く姿がエグかった……ギャップある光景に「威圧感あり過ぎ」「どう考えても映画のワンシーン」
  9. 「脳がバグる」「いやああああ」 市松模様に十字を書く→“とんでもないこと”になる錯視が約1000万再生の大反響
  10. 「昔のミスド良すぎる」「復活してほしい!」 30年以上前の“ミスドのドーナツ”に復活求める声相次ぐ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」