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ドアノブがトンファー、店内に打撃台 空手をテーマにした沖縄のバー「DOJO Bar」に行ってきた

沖縄に行ったら「コンセプトは空手」というユニークなバーを発見。おそるおそる入ってみると、そこは各国の空手家と仲良くなれるステキなお店だった。

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 入り口のドアノブがトンファーで作られている変わったバーを沖縄で見つけた。那覇市の国際通り付近にある、空手をコンセプトにしたバー「DOJO Bar」だ。

「DOJO」のネオンが光る
入り口のノブがトンファー

 お店の外壁には蹴りや構えのポーズを決めた空手家のシルエットが描かれ、「DOJO」のネオンが青々と光っている。貼ってあったポスターによると、店長は海外出身の方で、世界中の空手ファンをターゲットにしたインターナショナルなバーらしい。空手なんて習ったことがない日本人の筆者でも楽しめるのだろうか……不安を抱えながらトンファーを握って戸を引いた。

表に貼られたポスター。ちょっと入るのに勇気が

 最初に目に入ったのは、赤いサンドバックだった。店の作りは、奥にカウンターを構えてフロアにテーブル席を設けた基本的なバーだが、壁にいろんな空手グッズが飾られている。空手の道着に、空手家の写真、棒や鎌といった武器。打撃台と拳の握り方の説明書きもあった。空手好きたちが酔って打ち込んだりでもするのだろうか。なんにせよバーにしては異様な闘気だ。

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テーブルの横にはサンドバックや空手着が
著名な空手家の写真もたくさん飾ってある
古武道で使う矛と盾……(るろ剣の魚沼宇水思い出す)、バーカウンターは奥に
カウンターにも空手関連の写真やオブジェがいっぱい
上にも古武道の武器が飾られている
壁には打撃台も。ご自由にお打ちくださいってこと?

 別の壁は来店客が書き残していったメッセージで埋め尽くされていた。「また来るぜ!」「DOJO Bar最高!」みたいなことが、英語のほかフランス語、ポルトガル語、スペイン語などいろんな言語でびっしり。「SHOTOKAN」「SHORINJI RYU」など、空手の流派を示した単語も目立つ。空手の世界への広がりを感じずにはいられない。

 カウンターに座って注文してみる。メニューは「オリオンビール」はもちろんのこと、数々の泡盛の銘柄に、素麺ちゃんぷるーといった沖縄ならではのドリンクや料理がずらり。さらにこうした沖縄メニューと同じくらいの割合で、「バスエールビール」など海外のビールやカクテルもそろっている。沖縄のブランド豚「あぐー豚」のベーコンを使ったピザは、琉球文化と欧州文化の融合を感じる一品だった。

オリオンビールはもちろんのこと
「あぐー豚」のベーコンを使ったピザ。焼きたてが出てきてこれがまたうまい!

 「TOBIGERI(飛び蹴り)」「SUIKEN(酔拳)」など空手関連の名称を付けたオリジナルカクテルも15種類あった。アルコール度数の高い順に並び、一番強いのはハブ酒・ソーダ・シークァーサー・にじる砂糖を使った「ICHIGEKI」。筆者は5番目のダークラム・クワントロ・レモン・シークァーサーの「TEKKEN」を飲んでみた。甘酸っぱくてかなり飲みやすいが、ラムのアルコールが強くてなかなか重いパンチであった。

空手っぽい名前が連なるオリジナルカクテルメニュー
筆者が飲んだ「TEKKEN」。柑橘系の甘酸っぱさがおいしいけど、アルコールが強いよー

 どうしてこんなお店を開こうと思ったのか、店長のジェームス・パンキュビッチさん(41歳)に聞いてみた。

「沖縄は空手や古武道の発祥の地。世界中の空手家たちにメッカとして知られています」

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 ジェームスさんはイギリス出身だが日本語はペラペラ。22年前に英国で空手を始め、日本の関西大学へ入学。沖縄出身の今の奥さんと結婚した後にロンドン暮らしを経て沖縄へ移住し、2011年7月にDOJO BARを開いた。

「沖縄には空手の道場が数えきれないほどあって、世界中の空手家が練習をしに集まってきます。なのに沖縄や外国の空手家と会いたくても、道場以外に会える場所がない。もっと空手家同士が気軽に交流できる場が欲しくて店を開きました」

 なるほど、ここは空手界の「ルイーダの酒場」というわけだ。

トイレのドアにあった空手着を着たシーサー

 バーが位置する泊(とまり)村は、空手道の三大系統の1つ・泊手が生まれた空手の歴史ある地区。近くには有名な空手専門店もあるため国内外を問わず多くの空手家がお店を訪れるという。「空手の日」である10月25日あたりは連日、各国の空手家でいっぱいだそうだ。

 隣の席にいたフランス人男性のジュリアンさんは空手歴12年の29歳。空手の練習のために1カ月間の沖縄滞在中だった。

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 「沖縄に来てから2週間、道場以外の空手家と出会えなかった。今日初めてDOJO Barへ来てみたらさっそくほかの空手家と知り合えたので嬉しい」と笑うジュリアンさん。聞けばフランスにも空手の道場はたくさんあり、去年の世界大会の優勝者はフランス人だったそうだ。ジュリアンさんは無知な僕にも空手のことをいろいろと教えてくれ、最後はオリオンビールを1杯おごってくれた。

左から、空手歴22年のアイルランド人2人、ジェームスさん、店員のゆりさん、ジュリアンさん。みんな礼儀正しくいい人!!

「空手は沖縄だけのものではないですが、沖縄を中心に広がっていっている。DOJO BARもその中心になれたらうれしい」とジェームスさん。

 実は沖縄が空手の発祥の地だったことすら知らなかった筆者。ふと立ち寄ったバーでこんなに空手を楽しく学び、フランスの空手家と友だちになれるなんて思ってもみなかった。帰りに店の戸を開けるとき、ドアノブのトンファーはまったく物騒に見えなかった。

<店舗情報>

DOJO Bar

沖縄県那覇市安里 101(沖縄都市モノレール線「ゆいレール」牧志駅から徒歩5~10分)

TEL:098-911-3601

営業時間:午後7時から午前1時まで(金・土曜は午前2時まで)

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