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BUZZNEWSが記事の盗用で謝罪、和解金支払いへ バイラルメディアを追い詰めたライターの執念と戦略ヨッピーさんインタビュー(2/2 ページ)

ヨッピーさんはどうやってBUZZNEWSを追い詰めたのか?

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「訴えても割に合わない」という現状

―― 9月ごろにヨッピーさんからお話を聞いたときには「本気で訴えようと思ってる」って言ってましたよね。今回「和解」という形になったのは?

ヨッピー 一番大きかったのは、相手がまだ若かったということと、改善のあとが見られたということです。今ではTwitterで画像を使っていいか聞いているようですし、謝罪文も出すと約束してくれました。

―― 裁判コストの問題もあった?

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ヨッピー そうですね、以前僕も調べて記事にしたことがあったんですが(まとめサイトの画像盗用にはどう対処すべき!? その道のプロに聞いた)、結局のところ、裁判に持ち込んでもメリットがほとんどないんですよ。まず第一に時間の問題。最低でも半年から1年、相手が控訴したりすればもっとかかる。それに費用の問題。僕の場合は友達の弁護士にお願いするつもりだったんですが、それでも100万円単位のお金がかかると言われました。

画像盗用について調べたヨッピーさんの記事「まとめサイトの画像盗用にはどう対処すべき!? その道のプロに聞いた

―― それで勝ったとして、どれくらいのお金がもらえるものなんでしょう。

ヨッピー 一概には言えませんが、そもそも画像や記事の盗用って「被害額」の算出が難しいんです。

―― 確かに、画像をパクられたとしても、それでどれくらいの被害が生じたのか具体的には出せないですよね。

ヨッピー そうなんです、あと「精神的苦痛を受けた」などで上乗せするケースもよくあるそうなんですが、これも実際にケガをしたとかでないかぎりは安い。結局、訴えても割に合わないんですよね。今回は同じような被害者を集めて和解を持ちかけましたが、1人で訴訟したらたぶん、勝っても負けても赤字だと思います。

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―― なるほど……。

「ゴミなんですか?」「はいゴミです」が一番腹立った

―― 気になったのが、和解条件にあった「各権利侵害については一定の金額を被害者に支払うこと」ですが、具体的な額はどれくらいに?

ヨッピー まだ具体的な金額については話し合っている最中です。あと実はBUZZNEWS側からの和解条件として「金額の公表は避けてほしい」というのがありまして……。

―― 確かに、バイラルメディア側としては「これくらい取れるんだ」という前例は作りたくないでしょうね。

ヨッピー まあ、「あいつこんなにもらったのか」って見られるのもイヤですしね。とりあえず僕がもらう分については、何か無駄なことに使って記事に還元するつもりでいます。

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―― 今後こうしたネットの著作権のあり方について、ヨッピーさんはどうするのがいいと思いますか?

ヨッピー バランスだと思います。ゴリゴリガチガチに守れ守れって言うのも息苦しいじゃないですか。かといって今みたいにユルすぎるのも良くない。もうちょっとネジは巻いてほしい。

―― なるほど。

ヨッピー 今回ちょっと代理戦争みたいな感じはありましたね。僕自身は当初そこまで怒ってなかったんですが、調べていくうちにどんどん腹が立ってきて。こんなに悪質なのがなんでのうのうとのさばっているんだと。

―― そうだったんですか。

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ヨッピー イベントで、あるバイラルメディア運営会社社長が「(バイラルメディアって)ゴミなんですか?」って聞かれて「はいゴミです」とか答えてるんですよ。あれが一番腹立った。

―― (笑)。

「和解金支払い」という大きな一歩

 ヨッピーさんの記事が掲載されたのは10月28日の午後。BUZZNEWSも同日夜にサイトを更新し、トップページに「一部報道について」という謝罪文を掲載しています。

 ヨッピーさんは記事内で、こうしたネットメディアの現状について「メディア間での競争が激化するにあたってどうしてもPV至上主義になってしまい、メディアとしてのモラルの優先順位が下がっている」と分析。これを踏まえ、「1:メディア間で著作権の取り扱いに関して協定を作る」「2:元ネタにはリスペクトを」「3:権利侵害については各運営が厳正に対処」という3点を今後の課題として提案しています。

 今回は訴訟にまでは至らず和解という形になりましたが、しかし「割に合わないから泣き寝入りするしかなかった」という現状で、一定の和解金支払いを確約させたのは大きな一歩と言えそうです。

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池谷勇人

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